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番外編
嫉妬という勘違い 2 ★
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本項目はR-18描写を含みます。
あらかじめご了承の上、お楽しみください。
********************************************
どうしてこんなことになったのか、マリエンヌはちっともわからなかった。
つい先ほどまで、わざわざ自分を訪ねてきてくれたビアードと一緒に、たわいもない会話に花を咲かせていたのだ。
そのほとんどは目の前に迫る愛しい夫のことばかりだ。
彼の学生時代の話、会社を継いでからの話――そして、マリエンヌを伯爵家の呪縛から解き放つために、ビアードを通じてあれこれと考えてくれたという話……
そこに感じたアルフレッドの不屈の精神と、マリエンヌへの愛に関し、彼女は強い驚嘆と感銘を覚えていたのだ。アルフレッドが帰ってきたら真っ先にお礼を言うつもりで、わくわくしながら待っていたのに……。
(よりにもよって、ビアード様との逢い引きを疑われるなんて)
あんまりだ。もし神様がいるなら、なんて意地悪なことをするのかと泣きたくなってくる。
またしても訪れるすれ違いの予感に、マリエンヌは否応もなく焦り、切なくなっていた。
つい先日、ようやく色々な誤解が解けて、ふたりは心から愛し合うことができるようになったのに。
下手をすれば、またあのときのような苦しい生活に逆戻りしてしまう。
いや、愛するひとに愛される幸せを知った今では、きっとさらに苦しい日々を味わうことになってしまうだろう。
もう二度と、愛する彼と離れるようなことにはなりたくない。
(けれどいったい、どうすれば……)
途方に暮れるマリエンヌに、アルフレッドが言葉を重ねる。
「さぁ、ドレスを脱ぐんだ。やましいことがなければできるだろう」
マリエンヌは下唇を噛みしめ、覚悟を決めた。
実際、やましいことなどなにもないのだ。彼に信じてもらうためならなんでもする。彼の愛を失うことに比べたら、一時の羞恥などなんでもない。
なにより、アルフレッドの灰色の瞳には、ほんのわずかだが……懇願の色が見えた。
彼もまた、マリエンヌを信じたいのだ。だから無茶な要求をしてくる。
もしマリエンヌが望み通り動くことで、彼が安心を得ることができるなら……マリエンヌはそれを叶えてあげたい。
震えないよう気をつけながら、マリエンヌはそっと手を上げ、襟元を止めるリボンを解いた。
しゅるりと音を立ててリボンが落ち、マリエンヌは襟のボタンに手をかける。
自分から服を脱ぐなど初めてのことだ。いつもは気づけばアルフレッドがすべて脱がせてしまっている。
まるで自分から彼を誘うような気がして、まだ日も高いだけに、マリエンヌはかぁっと頬を赤らめてしまった。
それでもなんとかボタンを外し、袖から腕を引き抜く。
重たいスカートをペチコートごと脱ぐと、下着だけの頼りない姿が明かりの下に晒された。
「コルセットの紐が緩んでいるようだが……?」
アルフレッドが目敏く言う。
紐が緩んでいるのは、彼が激しい口づけを仕掛けてきたせいだ。おかげで紐どころか、その下のシュミーズにまで皺が寄ってしまっている。
「か、壁に押しつけられたせいよ。あなたが揺さぶってくるから……紐がほどけてしまったの」
押しつけられた一物の熱さを思い出し、マリエンヌはますます赤くなる。
膣に沈められて激しく出し入れされるのもたまらないが、堅い剛直で秘所をこすられるだけでもため息が出るほど気持ちいいのだ。
おかげでマリエンヌの秘所は先ほどから熱く潤んでしまっている。こんなときでさえ淫らに反応してしまう身体が、今ばかりは疎ましかった。
「フン……どうだかな。さぁ、早く裸になるんだ」
下着姿にしただけでは満足できないらしい。マリエンヌは再び唇を噛みしめ、後ろ手でコルセットの紐を解いた。すでに結び目が解けていたので、軽く引っ張っただけで堅いコルセットはすぐに落ちる。
押し上げられていた小さな胸が弾みでぷるんと揺れて、すでに勃ち上がった乳首を男の目に意識させた。
アルフレッドの視線を痛いくらいに感じながら、マリエンヌはシュミーズも脱いで、ドロワーズの紐に手をかける。
「……っ」
息を止めて一息に引くと、しゅっと音を立てて紐がほどけた。
はらりと薄い布が落ちてしまえば、マリエンヌはもう一糸まとわぬ姿になる。
アルフレッドが、細く息をつくのが聞こえた。
それが落胆なのか感嘆なのかわからず、マリエンヌは上目遣いで夫を見やるが……。
「脱いだだけで証明できると思うか? ……足を開くんだ」
さらなる要求に、マリエンヌは恥ずかしさを通り越して絶望的になる。まさかアルフレッドは、本気でマリエンヌの不貞を疑っているのだろうか? 本当に?
「アルフ……!」
「開け。見せるんだ」
マリエンヌは熱くなる目頭を感じながら、涙をこらえるようにきつく瞼をつむった。
そうしてそろそろと、できるだけゆっくり、足を開いていく……。
踵がシーツに擦れるたびに、しゅ、しゃ、と軽い音が立つ。まるで彼に激しく抱かれているときのような音に、マリエンヌは軽く頭を反らした。
こうして目を閉じて彼の視線だけ感じていると、自然と情事が思い出されて身体の奥が疼いてくる。
「もっと大きく開け。それから、指で恥ずかしい入り口を開くんだ。もしなにもなければ、こぼれてくるものもないだろう?」
アルフレッドの口調は相変わらず冷たかったが、声音には微妙に情欲が浮かんでいる。
彼が自分の身体で興奮していると思うと、マリエンヌはますます昂ぶってしまった。
「んっ……、んん……」
震える指先を足のあいだに持っていき、マリエンヌはそっとみずからの割れ目にあてがう。震える襞に人差し指と中指をわずかに潜りこませ、そっと左右に開いた。
くぱ……と卑猥な音がして、待ちきれないように蜜がとろりとこぼれていく。
後孔のすぼまりへとこぼれる蜜の軌跡を感じ、マリエンヌはたまらず身をよじるが、アルフレッドは口元をシニカルに歪めるだけだった。
「なにかあふれてきたようだぞ……? まさか男の精じゃないだろうな?」
「ち、違うわ……っ」
「ならばこれは、あなたの蜜か? 口づけだけで、見られただけでこれほど濡れるのか?」
マリエンヌは唇を噛みしめる。否定したいのに、こうしているあいだもとろとろと蜜があふれて、シーツにゆっくりと染みを作っていた。
「……も、もう充分でしょう……? お願い、もう許して……」
「だめだ。まだ奧に残っているかも知れない。自分で指を入れて、掻き出してみろ」
挙げ句、自慰の真似事まで強要され、マリエンヌはとうとう首を振った。
「いやっ。アルフ、そんなことさせないで……っ」
「やましいことがあるのか? だからできないんだろう?」
「違うわ……! お願い、信じて。ビアード様とは、なにもなかったのよ」
「今、あの男の名前を口に出すな」
アルフレッドが凶悪な声で唸る。ビアードは彼にとっても親友のはずなのに、どうして信じてくれないのだろう?
「親友だからこそ許せないこともある。さぁマリエンヌ、潔白だというなら証明してみせるんだ。おれを愛しているなら」
ハッとマリエンヌは目を見開く。意外と近くにあったアルフレッドの顔はひどく真剣で、どこか苦しそうでもあった。
「あなたを信じさせてくれ、マリエンヌ」
「……――」
マリエンヌは涙を浮かべながらも、やがてそろそろと、中指をみずからの秘所に潜りこませた。
「ンう……っ」
ぬち……、と小さく水音が響いて、細い指がゆっくり膣に入り込んでいく。
ここを自分でいじるのはこれで二度目だ。前回はアルフレッドの剛直を口でしごきながらの行為だったが、今回も同じくらい恥ずかしい。明るい中、彼の目の前でみずからの秘所をいじるなんて。
「はぁ……っ、はぁ、ふっ……」
指先が気持ちのいいところをかすめて、危うく声を上げてしまいそうになる。
ほんの少しの刺激でも膣壁はうねるように震えて、もっと激しい刺激が欲しいと訴えているようだった。
「さぁ、ただ挿れるだけじゃなく、中を掻き出すように動かすんだ。早く」
「んっ……、あ、あぁ……、んンぅ……っ」
指をわずかに折り曲げ、そのままくちゅくちゅと出し入れさせると、熱い蜜が一緒にとぷりとあふれてくる。
身体がどうしようもなく震えて、上半身を起こしておくために、開いている腕を突っ張らなければならない。そうすると秘所を彼の前に差し出すような体勢になって、あまりの淫らさに目眩がするようだった。
「はぁっ、あぁ……、あぁ、もう……っ」
「どんどんあふれてくるな……。蜜なのか精なのか、これではわからないだろう」
「そ、そんなこと言ったって……っ」
掻き出せと言ったのは彼だ。マリエンヌが感じやすいことは、彼が一番わかっているだろうに。その上でそんなふうに言うなんてひどい。
だがなじるよりも身体に兆した疼きのほうが重要で、マリエンヌはつい物欲しげに腰を揺らしてしまった。
「一本では足りないだろう。好きなだけ指を入れて、掻き回すといい……」
「はぁ、はぁ……あ、ふぅっ! っ……、んあ……っ」
まるで操られているように、マリエンヌは二本目の指を差し入れる。広げられる圧迫感が大きくなると、彼の剛直を咥え込んでいるときが思い出されて、さらなる疼きが下腹の奧から湧きあがった。
ぞくぞくする熱さと疼きに背が反り返り、マリエンヌは身体を支えきれずに倒れ込んでしまう。
「あ、あぁっ……っ、ひぁあぁ……っ!」
それでも指を動かすのを止められない。彼がそうするように素早く出し入れしたり、ねじるようにすると、身体が勝手にびくびく震え、気持ちのいいところをかすめると、悲鳴じみた嬌声が漏れた。
「空いている手で胸をいじってみろ。先ほどから乳首がずっと勃っているぞ」
「ンんぅっ!」
アルフの言うとおり、一度もさわっていないにもかかわらず、薔薇色の乳首はすっかり尖って硬くなっている。
掌で転がすように刺激し、そのまま乳房ごと揉みしだくと気持ちよさが倍になって、マリエンヌはひっきりなしに甘い声を漏らした。
「あぁ、いやぁぁ……っ、あ、アルフ、もう……、もうだめっ、きちゃう……っ!」
耐え難い疼きが身体の奥を焦がして、膣の中が火傷しそうなほど熱くなる。媚肉が勝手に蠢動して指をきつく咥え込もうとするのを感じ、マリエンヌはたまらず助けを求めた。
「イくといい。みずからの指でイくところを、夫に見せるんだ……!」
「ひあっ、あぁ! う、……あぁっ、ひぁぁあ……っ!!」
アルフレッドの声を耳元で聞いて、マリエンヌはあっという間に上りつめる。
膣壁がぎゅうっときつく締まって、腰が高くつき上がる。ひゅっと息を呑んだマリエンヌは、次のときにはぐったりと身体を投げ出していた。
「は、ぁ……、あぁ……」
唇が震えてうまく呼吸が紡げない。銀色の糸を引く指先が秘所から離れて、シーツの上にぱたりと落ちた。
「あ、あ……? だ、だめ……っ、あぁあっ!」
絶頂で力が入らない中、それまで腕を組んで見ているだけだったアルフレッドが身を乗り出してきた。
そしてマリエンヌの太腿を抱え込むと、それまで以上に大きく広げて固定してしまう。
うろたえるマリエンヌに構わず、アルフレッドは舌を突きだし、未だ蜜のこぼれる秘所に顔を埋めてきた。
「いあぁぁあっ!」
痺れたままの秘所を無遠慮に舐められ、マリエンヌの頭の中で星が瞬く。
それまで慎重にふれずにいた花芯まで舐め上げられて、マリエンヌは悲鳴を上げた。
「だ、だめ……! いやぁぁ……っ、そこはぁ……!」
淡い茂みに隠れた芽をあっという間に剥き出しの状態にし、アルフレッドは割れ目に指を沈めてさらに掻き回してくる。
小さな絶頂の波が絶えず腰を震わせ、マリエンヌは激しく身をよじらせた。
「もぅやめて……っ、あっ、いや、またぁ……!」
「何度でもイくがいい。蜜をこぼせばこぼすだけ、あなたの潔白は証明されるのだから」
「あっ、あっ……、はぁぁあ――っ!!」
じゅる、と音を立てて花芯を吸われ、マリエンヌは絶叫した。
あらかじめご了承の上、お楽しみください。
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どうしてこんなことになったのか、マリエンヌはちっともわからなかった。
つい先ほどまで、わざわざ自分を訪ねてきてくれたビアードと一緒に、たわいもない会話に花を咲かせていたのだ。
そのほとんどは目の前に迫る愛しい夫のことばかりだ。
彼の学生時代の話、会社を継いでからの話――そして、マリエンヌを伯爵家の呪縛から解き放つために、ビアードを通じてあれこれと考えてくれたという話……
そこに感じたアルフレッドの不屈の精神と、マリエンヌへの愛に関し、彼女は強い驚嘆と感銘を覚えていたのだ。アルフレッドが帰ってきたら真っ先にお礼を言うつもりで、わくわくしながら待っていたのに……。
(よりにもよって、ビアード様との逢い引きを疑われるなんて)
あんまりだ。もし神様がいるなら、なんて意地悪なことをするのかと泣きたくなってくる。
またしても訪れるすれ違いの予感に、マリエンヌは否応もなく焦り、切なくなっていた。
つい先日、ようやく色々な誤解が解けて、ふたりは心から愛し合うことができるようになったのに。
下手をすれば、またあのときのような苦しい生活に逆戻りしてしまう。
いや、愛するひとに愛される幸せを知った今では、きっとさらに苦しい日々を味わうことになってしまうだろう。
もう二度と、愛する彼と離れるようなことにはなりたくない。
(けれどいったい、どうすれば……)
途方に暮れるマリエンヌに、アルフレッドが言葉を重ねる。
「さぁ、ドレスを脱ぐんだ。やましいことがなければできるだろう」
マリエンヌは下唇を噛みしめ、覚悟を決めた。
実際、やましいことなどなにもないのだ。彼に信じてもらうためならなんでもする。彼の愛を失うことに比べたら、一時の羞恥などなんでもない。
なにより、アルフレッドの灰色の瞳には、ほんのわずかだが……懇願の色が見えた。
彼もまた、マリエンヌを信じたいのだ。だから無茶な要求をしてくる。
もしマリエンヌが望み通り動くことで、彼が安心を得ることができるなら……マリエンヌはそれを叶えてあげたい。
震えないよう気をつけながら、マリエンヌはそっと手を上げ、襟元を止めるリボンを解いた。
しゅるりと音を立ててリボンが落ち、マリエンヌは襟のボタンに手をかける。
自分から服を脱ぐなど初めてのことだ。いつもは気づけばアルフレッドがすべて脱がせてしまっている。
まるで自分から彼を誘うような気がして、まだ日も高いだけに、マリエンヌはかぁっと頬を赤らめてしまった。
それでもなんとかボタンを外し、袖から腕を引き抜く。
重たいスカートをペチコートごと脱ぐと、下着だけの頼りない姿が明かりの下に晒された。
「コルセットの紐が緩んでいるようだが……?」
アルフレッドが目敏く言う。
紐が緩んでいるのは、彼が激しい口づけを仕掛けてきたせいだ。おかげで紐どころか、その下のシュミーズにまで皺が寄ってしまっている。
「か、壁に押しつけられたせいよ。あなたが揺さぶってくるから……紐がほどけてしまったの」
押しつけられた一物の熱さを思い出し、マリエンヌはますます赤くなる。
膣に沈められて激しく出し入れされるのもたまらないが、堅い剛直で秘所をこすられるだけでもため息が出るほど気持ちいいのだ。
おかげでマリエンヌの秘所は先ほどから熱く潤んでしまっている。こんなときでさえ淫らに反応してしまう身体が、今ばかりは疎ましかった。
「フン……どうだかな。さぁ、早く裸になるんだ」
下着姿にしただけでは満足できないらしい。マリエンヌは再び唇を噛みしめ、後ろ手でコルセットの紐を解いた。すでに結び目が解けていたので、軽く引っ張っただけで堅いコルセットはすぐに落ちる。
押し上げられていた小さな胸が弾みでぷるんと揺れて、すでに勃ち上がった乳首を男の目に意識させた。
アルフレッドの視線を痛いくらいに感じながら、マリエンヌはシュミーズも脱いで、ドロワーズの紐に手をかける。
「……っ」
息を止めて一息に引くと、しゅっと音を立てて紐がほどけた。
はらりと薄い布が落ちてしまえば、マリエンヌはもう一糸まとわぬ姿になる。
アルフレッドが、細く息をつくのが聞こえた。
それが落胆なのか感嘆なのかわからず、マリエンヌは上目遣いで夫を見やるが……。
「脱いだだけで証明できると思うか? ……足を開くんだ」
さらなる要求に、マリエンヌは恥ずかしさを通り越して絶望的になる。まさかアルフレッドは、本気でマリエンヌの不貞を疑っているのだろうか? 本当に?
「アルフ……!」
「開け。見せるんだ」
マリエンヌは熱くなる目頭を感じながら、涙をこらえるようにきつく瞼をつむった。
そうしてそろそろと、できるだけゆっくり、足を開いていく……。
踵がシーツに擦れるたびに、しゅ、しゃ、と軽い音が立つ。まるで彼に激しく抱かれているときのような音に、マリエンヌは軽く頭を反らした。
こうして目を閉じて彼の視線だけ感じていると、自然と情事が思い出されて身体の奥が疼いてくる。
「もっと大きく開け。それから、指で恥ずかしい入り口を開くんだ。もしなにもなければ、こぼれてくるものもないだろう?」
アルフレッドの口調は相変わらず冷たかったが、声音には微妙に情欲が浮かんでいる。
彼が自分の身体で興奮していると思うと、マリエンヌはますます昂ぶってしまった。
「んっ……、んん……」
震える指先を足のあいだに持っていき、マリエンヌはそっとみずからの割れ目にあてがう。震える襞に人差し指と中指をわずかに潜りこませ、そっと左右に開いた。
くぱ……と卑猥な音がして、待ちきれないように蜜がとろりとこぼれていく。
後孔のすぼまりへとこぼれる蜜の軌跡を感じ、マリエンヌはたまらず身をよじるが、アルフレッドは口元をシニカルに歪めるだけだった。
「なにかあふれてきたようだぞ……? まさか男の精じゃないだろうな?」
「ち、違うわ……っ」
「ならばこれは、あなたの蜜か? 口づけだけで、見られただけでこれほど濡れるのか?」
マリエンヌは唇を噛みしめる。否定したいのに、こうしているあいだもとろとろと蜜があふれて、シーツにゆっくりと染みを作っていた。
「……も、もう充分でしょう……? お願い、もう許して……」
「だめだ。まだ奧に残っているかも知れない。自分で指を入れて、掻き出してみろ」
挙げ句、自慰の真似事まで強要され、マリエンヌはとうとう首を振った。
「いやっ。アルフ、そんなことさせないで……っ」
「やましいことがあるのか? だからできないんだろう?」
「違うわ……! お願い、信じて。ビアード様とは、なにもなかったのよ」
「今、あの男の名前を口に出すな」
アルフレッドが凶悪な声で唸る。ビアードは彼にとっても親友のはずなのに、どうして信じてくれないのだろう?
「親友だからこそ許せないこともある。さぁマリエンヌ、潔白だというなら証明してみせるんだ。おれを愛しているなら」
ハッとマリエンヌは目を見開く。意外と近くにあったアルフレッドの顔はひどく真剣で、どこか苦しそうでもあった。
「あなたを信じさせてくれ、マリエンヌ」
「……――」
マリエンヌは涙を浮かべながらも、やがてそろそろと、中指をみずからの秘所に潜りこませた。
「ンう……っ」
ぬち……、と小さく水音が響いて、細い指がゆっくり膣に入り込んでいく。
ここを自分でいじるのはこれで二度目だ。前回はアルフレッドの剛直を口でしごきながらの行為だったが、今回も同じくらい恥ずかしい。明るい中、彼の目の前でみずからの秘所をいじるなんて。
「はぁ……っ、はぁ、ふっ……」
指先が気持ちのいいところをかすめて、危うく声を上げてしまいそうになる。
ほんの少しの刺激でも膣壁はうねるように震えて、もっと激しい刺激が欲しいと訴えているようだった。
「さぁ、ただ挿れるだけじゃなく、中を掻き出すように動かすんだ。早く」
「んっ……、あ、あぁ……、んンぅ……っ」
指をわずかに折り曲げ、そのままくちゅくちゅと出し入れさせると、熱い蜜が一緒にとぷりとあふれてくる。
身体がどうしようもなく震えて、上半身を起こしておくために、開いている腕を突っ張らなければならない。そうすると秘所を彼の前に差し出すような体勢になって、あまりの淫らさに目眩がするようだった。
「はぁっ、あぁ……、あぁ、もう……っ」
「どんどんあふれてくるな……。蜜なのか精なのか、これではわからないだろう」
「そ、そんなこと言ったって……っ」
掻き出せと言ったのは彼だ。マリエンヌが感じやすいことは、彼が一番わかっているだろうに。その上でそんなふうに言うなんてひどい。
だがなじるよりも身体に兆した疼きのほうが重要で、マリエンヌはつい物欲しげに腰を揺らしてしまった。
「一本では足りないだろう。好きなだけ指を入れて、掻き回すといい……」
「はぁ、はぁ……あ、ふぅっ! っ……、んあ……っ」
まるで操られているように、マリエンヌは二本目の指を差し入れる。広げられる圧迫感が大きくなると、彼の剛直を咥え込んでいるときが思い出されて、さらなる疼きが下腹の奧から湧きあがった。
ぞくぞくする熱さと疼きに背が反り返り、マリエンヌは身体を支えきれずに倒れ込んでしまう。
「あ、あぁっ……っ、ひぁあぁ……っ!」
それでも指を動かすのを止められない。彼がそうするように素早く出し入れしたり、ねじるようにすると、身体が勝手にびくびく震え、気持ちのいいところをかすめると、悲鳴じみた嬌声が漏れた。
「空いている手で胸をいじってみろ。先ほどから乳首がずっと勃っているぞ」
「ンんぅっ!」
アルフの言うとおり、一度もさわっていないにもかかわらず、薔薇色の乳首はすっかり尖って硬くなっている。
掌で転がすように刺激し、そのまま乳房ごと揉みしだくと気持ちよさが倍になって、マリエンヌはひっきりなしに甘い声を漏らした。
「あぁ、いやぁぁ……っ、あ、アルフ、もう……、もうだめっ、きちゃう……っ!」
耐え難い疼きが身体の奥を焦がして、膣の中が火傷しそうなほど熱くなる。媚肉が勝手に蠢動して指をきつく咥え込もうとするのを感じ、マリエンヌはたまらず助けを求めた。
「イくといい。みずからの指でイくところを、夫に見せるんだ……!」
「ひあっ、あぁ! う、……あぁっ、ひぁぁあ……っ!!」
アルフレッドの声を耳元で聞いて、マリエンヌはあっという間に上りつめる。
膣壁がぎゅうっときつく締まって、腰が高くつき上がる。ひゅっと息を呑んだマリエンヌは、次のときにはぐったりと身体を投げ出していた。
「は、ぁ……、あぁ……」
唇が震えてうまく呼吸が紡げない。銀色の糸を引く指先が秘所から離れて、シーツの上にぱたりと落ちた。
「あ、あ……? だ、だめ……っ、あぁあっ!」
絶頂で力が入らない中、それまで腕を組んで見ているだけだったアルフレッドが身を乗り出してきた。
そしてマリエンヌの太腿を抱え込むと、それまで以上に大きく広げて固定してしまう。
うろたえるマリエンヌに構わず、アルフレッドは舌を突きだし、未だ蜜のこぼれる秘所に顔を埋めてきた。
「いあぁぁあっ!」
痺れたままの秘所を無遠慮に舐められ、マリエンヌの頭の中で星が瞬く。
それまで慎重にふれずにいた花芯まで舐め上げられて、マリエンヌは悲鳴を上げた。
「だ、だめ……! いやぁぁ……っ、そこはぁ……!」
淡い茂みに隠れた芽をあっという間に剥き出しの状態にし、アルフレッドは割れ目に指を沈めてさらに掻き回してくる。
小さな絶頂の波が絶えず腰を震わせ、マリエンヌは激しく身をよじらせた。
「もぅやめて……っ、あっ、いや、またぁ……!」
「何度でもイくがいい。蜜をこぼせばこぼすだけ、あなたの潔白は証明されるのだから」
「あっ、あっ……、はぁぁあ――っ!!」
じゅる、と音を立てて花芯を吸われ、マリエンヌは絶叫した。
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