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第百二十七話 親子の時間
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「ググーー」っと、大きな腹の虫が鳴る。レイラは自分の腹を見ながら、そっと贅肉をつかむ。思いのほか大きな褐色のお餅が一つ出来た。
「ちょっとヤバイかも……」
レイラは小さく呟いた。
おっちゃんの料理が出来るまでのんびりと、ベッドの上で筋トレを始めることにした。両足をまっすぐ上にあげ、お腹に付加をかける。背中をつけ足を円を描くように足を回す。そうして、あげた足をゆっくり下ろしながら呼吸を整えた。暫くの間トレーニングを続けていると、扉を叩く音がする。いや、ひっかく音がした。ゆっくりと扉を開くと隙間から、ソラが飛び込んでくる。「キューーン」オレに抱いてくれと甘えるように鳴いた。
こういう行動をソラがするときは、たいてい台所でおっちゃんに、追い払われたときが多い。忙しく食事を作っている最中、ギャースと鳴きながら、おっちゃんの足にまとわりつくソラの姿が想像出来た。オレはそんな甘えん坊のソラをベッドの上に置いた。
オレンジ色の瞳を大きく広げ、こちらをじっと見つめてくる。ソラのあざとい仕草に、鼻先を指で軽く弾いてやった。
「フシューー」
ソラは不満をレイラに漏らす。
「そういうのは、好きな男にやるもんだぜ」
そう言うと、ソラは見透かされたのが恥ずかったのか、オレのお腹に頭をギューッと押しつけてきた。
「仕方がない奴だ……」
赤ん坊を抱くように、ソラを抱え上げ背中を優しく撫でてやった。
「キュピーーン」
ソラは目を閉じ、オレに身体を預ける。
「初めはこんなちっちゃかったくせに、今では抱えるのも大変と思えるぐらいに大きくなったよな」
卵から生まれたばかりのソラを思い出す。
「キュピピピ」
「小さいくせに結構重かったんだぜ」
ソラは尻尾でレイラを軽く叩き否定した……。
「キュピピピピピーー」
「そんなに怒るなよ」
ソラを抱えたまま、左右にあやすよう揺らす。
「キュピピピピーー」
もっと激しく動かせとソラは催促してくる。
「ソラとは会うことも少なくなるかもしれないが、お前はどちらを選ぶんだろうな……」
レイラは悲しみの表情を浮かべた――
「キュピキュピ……」
「まだ、赤ちゃんだから分からないか」
彼女はソラを見ながら少し寂しげに笑う。
「ほーら、高い! 高ーーーーい」
ソラを抱え上げ遊んでやる。
「キュピキュピピーーー」
「もっと、高い高ーーーーーーい」
「キュピピピピーーーーーーー」
「楽しいか! ソラ」
ソラの目がすーと細くなり、レイラに冷たい視線を向けた。
「コンドハオトサナイデネ」
レイラの顔が真っ青になった――そしてあの日のことを、卵に見られていたかと思うと、今度は耳の付け根まで真っ赤に染まっていく――
※ W複線回収だ(笑)。第47話・第102話参照
「ちょっとヤバイかも……」
レイラは小さく呟いた。
おっちゃんの料理が出来るまでのんびりと、ベッドの上で筋トレを始めることにした。両足をまっすぐ上にあげ、お腹に付加をかける。背中をつけ足を円を描くように足を回す。そうして、あげた足をゆっくり下ろしながら呼吸を整えた。暫くの間トレーニングを続けていると、扉を叩く音がする。いや、ひっかく音がした。ゆっくりと扉を開くと隙間から、ソラが飛び込んでくる。「キューーン」オレに抱いてくれと甘えるように鳴いた。
こういう行動をソラがするときは、たいてい台所でおっちゃんに、追い払われたときが多い。忙しく食事を作っている最中、ギャースと鳴きながら、おっちゃんの足にまとわりつくソラの姿が想像出来た。オレはそんな甘えん坊のソラをベッドの上に置いた。
オレンジ色の瞳を大きく広げ、こちらをじっと見つめてくる。ソラのあざとい仕草に、鼻先を指で軽く弾いてやった。
「フシューー」
ソラは不満をレイラに漏らす。
「そういうのは、好きな男にやるもんだぜ」
そう言うと、ソラは見透かされたのが恥ずかったのか、オレのお腹に頭をギューッと押しつけてきた。
「仕方がない奴だ……」
赤ん坊を抱くように、ソラを抱え上げ背中を優しく撫でてやった。
「キュピーーン」
ソラは目を閉じ、オレに身体を預ける。
「初めはこんなちっちゃかったくせに、今では抱えるのも大変と思えるぐらいに大きくなったよな」
卵から生まれたばかりのソラを思い出す。
「キュピピピ」
「小さいくせに結構重かったんだぜ」
ソラは尻尾でレイラを軽く叩き否定した……。
「キュピピピピピーー」
「そんなに怒るなよ」
ソラを抱えたまま、左右にあやすよう揺らす。
「キュピピピピーー」
もっと激しく動かせとソラは催促してくる。
「ソラとは会うことも少なくなるかもしれないが、お前はどちらを選ぶんだろうな……」
レイラは悲しみの表情を浮かべた――
「キュピキュピ……」
「まだ、赤ちゃんだから分からないか」
彼女はソラを見ながら少し寂しげに笑う。
「ほーら、高い! 高ーーーーい」
ソラを抱え上げ遊んでやる。
「キュピキュピピーーー」
「もっと、高い高ーーーーーーい」
「キュピピピピーーーーーーー」
「楽しいか! ソラ」
ソラの目がすーと細くなり、レイラに冷たい視線を向けた。
「コンドハオトサナイデネ」
レイラの顔が真っ青になった――そしてあの日のことを、卵に見られていたかと思うと、今度は耳の付け根まで真っ赤に染まっていく――
※ W複線回収だ(笑)。第47話・第102話参照
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