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第七十四話 力比べ
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遠征道具を丁寧に整理していると、いつの間にか深夜の時間帯になっていた。いつもなら外にいる虫たちの涼しい音色が聞こえてくるのに、今夜は全く聞こえてこない。珍しいこともあるものだと思い、窓から外を覗くとテレサが剣を振っていた。
「こんな夜中にどうしたんだ?」
「別に何かあったというわけではないぞ。ただ無性に剣が振りたくなったのだ」
「騎士団として訓練で剣を振ってるのだろう?」
「厳しい訓練を団員に与えているし、私も彼女たちに負けないように剣をともにしている。夜の警護では剣を振ることはあまりないので、深夜のこの経験が生きてくるというものだ」
俺は暫くの間、綺麗な太刀筋で剣を振る彼女を見ていた。
「こんな夜中に、テレサ姉とおっちゃんがいやらしいことしてる」
テトラがクスクス笑って、からかってきた。
「ば、バカ! な、なんてことを言うんだ」
辺りは真っ暗な闇だったが、テレサの顔が朱に染まっていくのが判った。
「お前も鍛錬に参加するか」
「私、魔法だし、負けるはず無いでしょ」
テレサの顔が変わる。
「面白い! 練習相手になって貰いましょう」
(仕方のない奴だな…… まず煽られ耐性を早く身に付けろ )
テレサは右手に持った木刀をカンカンと打ち付ける。
「じゃあ、試合始め」
試合開始の合図を一言発した。
「貴方の負けです」
一瞬にしてテトラの喉元には、木刀の剣先が突きつけられていた。よく漫画で見るやつやこれ……この後モブがもう一度と言うはず。
「合図より先に動くのは反則です!」
(うわ~モブが本当にいっちゃったよ)
「判りました、おっちゃん悪いのですがもう一度合図を掛け直して下さい」
「試合始め」
今度はテレサは刀を構えたまま微動だにしない。
テトラの両手から風が巻き起こり、魔法がテレサに直撃したと思えた瞬間、テトラの頭に『コツン』と木刀が入った。
「どうしてぇ???????」
「魔法が強いからといって、人間を舐めてはいけません!」
しゅんとなって俯くテトラ。
いつの間にか、それを横で見ていたレイラが笑う。
「新米冒険者をいじめてやるな」
「これは教育です!!」
「テレサは剣の腕は化け物だから気にするな!」
俺はフォローする。
「まあ、俺はもっと強いけどな」
レイラが煽る、煽る。
「貴方はたしか私に負けましたよね」
「負けてね―し、一回も戦ってねーし」
完全に子供の口喧嘩である。
夜中に、庭先で大声を出してわちゃわちゃ騒いでる。
「うるさくて眠れない」
騒いでいる俺たちの後ろから声がした。そして頭にポコっと軽い衝撃が来た。
「あたしが一番つよい」
ルリがあくびをしながら部屋に戻っていく姿を、法力を掛けられた四人は身体を動かせず、見送るしかなかった……。
「こんな夜中にどうしたんだ?」
「別に何かあったというわけではないぞ。ただ無性に剣が振りたくなったのだ」
「騎士団として訓練で剣を振ってるのだろう?」
「厳しい訓練を団員に与えているし、私も彼女たちに負けないように剣をともにしている。夜の警護では剣を振ることはあまりないので、深夜のこの経験が生きてくるというものだ」
俺は暫くの間、綺麗な太刀筋で剣を振る彼女を見ていた。
「こんな夜中に、テレサ姉とおっちゃんがいやらしいことしてる」
テトラがクスクス笑って、からかってきた。
「ば、バカ! な、なんてことを言うんだ」
辺りは真っ暗な闇だったが、テレサの顔が朱に染まっていくのが判った。
「お前も鍛錬に参加するか」
「私、魔法だし、負けるはず無いでしょ」
テレサの顔が変わる。
「面白い! 練習相手になって貰いましょう」
(仕方のない奴だな…… まず煽られ耐性を早く身に付けろ )
テレサは右手に持った木刀をカンカンと打ち付ける。
「じゃあ、試合始め」
試合開始の合図を一言発した。
「貴方の負けです」
一瞬にしてテトラの喉元には、木刀の剣先が突きつけられていた。よく漫画で見るやつやこれ……この後モブがもう一度と言うはず。
「合図より先に動くのは反則です!」
(うわ~モブが本当にいっちゃったよ)
「判りました、おっちゃん悪いのですがもう一度合図を掛け直して下さい」
「試合始め」
今度はテレサは刀を構えたまま微動だにしない。
テトラの両手から風が巻き起こり、魔法がテレサに直撃したと思えた瞬間、テトラの頭に『コツン』と木刀が入った。
「どうしてぇ???????」
「魔法が強いからといって、人間を舐めてはいけません!」
しゅんとなって俯くテトラ。
いつの間にか、それを横で見ていたレイラが笑う。
「新米冒険者をいじめてやるな」
「これは教育です!!」
「テレサは剣の腕は化け物だから気にするな!」
俺はフォローする。
「まあ、俺はもっと強いけどな」
レイラが煽る、煽る。
「貴方はたしか私に負けましたよね」
「負けてね―し、一回も戦ってねーし」
完全に子供の口喧嘩である。
夜中に、庭先で大声を出してわちゃわちゃ騒いでる。
「うるさくて眠れない」
騒いでいる俺たちの後ろから声がした。そして頭にポコっと軽い衝撃が来た。
「あたしが一番つよい」
ルリがあくびをしながら部屋に戻っていく姿を、法力を掛けられた四人は身体を動かせず、見送るしかなかった……。
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