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漂流研究室

時空のずれ

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 ・・・おかしい。どうも、時空がずれている。
 ここは、非連続の世界だ。
 我々がいた『ワールド』とは連続していない場所だ。
 エスエフ小説のカテゴリーでは、つまり『パラレルワールド』とでも言うのだろうか・・・。
 それもいいだろう。
 それもいいじゃないか、私はそう思うのだった。
 我々は、蔵財団の、研究所ごとタイムスリップしたようだ。あの銀色のメタリックな研究所は、いまや、砂に埋もれていた。私は点呼した。「おーい!みんな、大丈夫か?私、須久麻ショーンは、ここだ!あ、今は、ジョーの方が通りがいいか。」空はどんよりとしている。厚い雲に覆われている。雲の合間では、青白い稲光が光っている。雷鳴も聴こえる。見渡すくらいの砂漠だ。メタリックの研究所は、3分の2は砂に埋まっている。私は皆の名を呼んだ。「馬画酢!ギャルソン!モモ!オレンジボーイ!タカクラ!リックちゃん!キムリー!私、ジョーはここだ。」砂丘の陰から馬画酢の声がする。「おい、ジョー、そこにいるのか?君以外の七人は、みんなこの砂丘の陰だ。私以外は気絶している・・・。日頃からジャンプトレーニングをしていたから、私はあの時空歪曲の振動に耐えられたが・・・。まあ、しばらくしたら気が付くだろう。」
 私は馬画酢(バーガスの華人筆記法)のそばに駆け寄った。砂丘の陰はサンライトを避けられるから、やや居心地はいい。とはいえ・・・、我々は完璧に別の時空に来てしまったようだ。ある種のグレートリセットと言えるだろう。そうだ、ここは、我々の元居た時空の常識や時間軸が通じない未知の『パラレルワールド』だ。(私と馬画酢は、砂丘の陰で語らいのトキを過ごした。)

 そうだな、ここで、プレジデント・バーガスがさっき教えてくれた彼の人生について語ろう。こんなトキでもなきゃ、彼と語り合う事はほぼない。いうまでもなく、馬画酢は兎のような男だ。彼の本拠地は極東アジアの兎の島にある。そう彼は言うのだ。それがどこなのか、私は深くは突き詰めぬ。それがこの私、須久麻ショーン(通称ジョー)だからだ。だが、我々の人生は何故か極東アジアを中心に回っている。何故だろうか、それは分からない。その辺は神のみぞ知る。馬画酢は五十三歳だ。『ハーフ・ア・チャンス』って映画があったが、あれで、六十五歳のアランドロンが、六十七歳のジャンポール・ベルモンドに向かって、彼のヘリ・アクションを賛辞しながら、言うんだ。「あの歳でよくやるよ。」昔観た時は素通りしたんだが、よく考えたら、六十七歳で、あのアクションはパネエよ。

 


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