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ラブスターミッション2

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 この目の前に突然現われた娘は何なのだ? なんかやばい。これは、なにかエネミーの仕業ではないだろうか? 私はその場を脱兎のように走り逃げる選択をした。だが、娘はついてくる! みたところ娘はアジア系。チャイナドレスを着ている。上海では珍しい事ではない。コールガールか? 交通大学の脇の小道を走りぬける。娘はなかなかしつこい。
「おい、君はいったい、誰だ?」私は走り逃げながら問う。
「私、モモよ!」



 モモ? 聞いたことも無い名だ。なぜ、私があの電話ボックスにいるって知ってたんだ。この娘は、あきらかに私を追いかけている?! どういうこと?
 逃げる私。追いかけるモモ。われわれは、めくるめく交通大学脇の赤いランタンが無数にぶら下がる商店街ストリートを駆け抜けた。われわれの全力のランも、だれも見向きもしない。これが上海だ。窓ガラス奥に照り焼きダックがぶら下がる酒店。チャーハン、チョーメン専門テイクアウトショップ。ゴールドブッダのリリジャスグッズの卸売りショップ。流れる景色の中の南京東路は、きらびやかで魔都に酔った。汗が吹き出す。まだ、モモは追いかけて来るのか? このままではミッションに支障が出る。
「そうか。なにがしか、あの電話ボックスを使って、あそこを待ち合わせにして、このコールガール・モモを呼んでいたに違いない。それで、当の本人は何かしらあって帰ってしまって、そこへ私が現われたものだから、彼女は私を客だと思って追いかけてきてるんだな。困ったな。しかし、国連軍秘密部隊もとんでもないところを待ち合わせ場所にしたもんだな。わらっちゃう。わらっちゃうぜ。まあ、いい。そろそろ、この鬼ごっこも終わりにせねば」
 私はモモに叫ぶ、「私はある人物に今から会わなきゃいけないんだよ!」
「しってるよ。それが、私だっての!」とモモ。
 また、わけの分からんことをいう。たしか、ある人物は男性のはず。
「いや、だから、私はあんたの客じゃないっての!」私は途方にくれながら走り続けた。彼女は完全に私が彼女を呼んだと思い込んでるのか。なんてタイミングなんだ。まあ、しょうがない。彼女にちゃんと話して帰ってもらおう。
「私があの電話ボックスで会うはずだった人物は、君ではない!」と私。
 モモは叫ぶ、「私は、アンタが会おうとしてたひとを、知ってるわ!」

 は?

 モモは叫ぶ、「そのひと、私のボーイフレンドなのよっ!」

 はあ?

 私は足を止める。
 なんてこった。
 この娘は、わが国連軍チームメイトのガールフレンドなのか。
 だが、しかし、そもそもガールフレンドに自分の行動をしゃべっちゃいけないだろ。国連軍の機密なんだから。
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