ハーレムエンド後のギャルゲーの主人公が勇者になってヒロイン達と魔王を倒して世界を救うようです

ユウジン

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第二章 逃亡者と幼馴染

誘い

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「……タケル」

美月は静かに呟くと、入院している病院のベットの上で眠るタケルの手を握る。

先日突然眠ったまま目覚めなくなってしまった幼馴染。

どんなに呼び掛けても反応はなく、だが生命活動は維持している。とタケルの母が医者の先生から聞いたらしい。

同時にレイジも目覚めなくなった。タケルとレイジが同時期に目覚めなくなった。これは無関係なのだろうか?いや、無関係とは思えない。しかしどういう因果関係なのかの説明も出来ない。

無関係ではない気がする……位しか思えなかった。

「ねぇタケル。私どうすれば良いかな」

タケルの手を握りながら、美月は口から言葉を紡ぐ。

「子供出来ちゃった。誰が父親だか分からない。でも卸すにも色々手続きがいるし、でもこの子供を産みたくない。だって愛せないもん。尊い命だよ?でも私にとってはレイプされた時にできた子供だもん。愛せないよ……どうすればよかったのかな。最初からタケルに話してたら違ったかな?どうしたら良かったかな……」

ポロポロと涙を流し、美月は言葉を口にしていると、

「ここにいたんだね」
「え?」

そこに病室の扉が開かれ、そこに立っていたのは魔実だ。

「杖島先輩?」

何でここに。と言うニュアンスで美月が聞くと、

「いや、ちょっと知り合いが教えてくれてさ。タケル君の病室の場所。もしかしたら居るかなって思って来たんだ」

少し話したい。そう魔実が言うと、美月は何となくタケルについてだと感じ、大人しく着いていく。

連れて来られたのは病院の屋上だった。そして病院の屋上でくるりと魔実は振り替えると、

「一つ聞かせて。タケル君のこと怒ってる?ホントは憎かったりしない?」

突然の問いかけだ。しかし美月は首を横に振り、

「そんなまさか。嫌えたらもっと楽ですよ」

そうだよね。と魔実は笑みを浮かべ、美月を見る。

「嫌いになんかなれないよね。幼馴染って奴はさ」
「はい」

少し何かを思い出したように喋る魔実に、美月は首をかしげつついると、

「よし、ねぇ和賀さん。一つお願いがあるの」
「お願い?」

一体なんだろう?そう思った美月に、魔実は提案する。

「タケル君と会って欲しい」























「よし、準備は良いか?」

ある日の夜。レイジを筆頭に仲間達は集まっていた。

先日から勇誠達が働いている屋敷を見ながら話している。

「おいタケル!間違いなくあるんだろうなぁ!」
「う、うん」

レイジに怒鳴られ、タケルはビクつきながら答えると、

「そんじゃあ。散会だ!」

レイジはそう言うと、仲間達はそれぞれのポジションに移動。

「おらいくぞタケル!」
「わ、わかったよ」

夜は不気味だ。そんなことを思いながら、タケルはレイジに着いていく。

この屋敷はかなり大きい。だがそれに反して巡回している警護が少ない。

逆に中は相当いる。まぁ何人いようが関係ない。全員殺せば良い。そうレイジが思っていると、

「よう。お前ら」
「なに?」

暗闇から声をかけられ、その方をレイジとタケルは見ると、そこに立っていたのは勇誠と魔実。そして、

「美月?」
「タケル」

タケルにとって、よく知った人物。和賀 美月だった。

「なんで美月がここに……?」
「俺の力さ」

タケルの問い掛けに答えたのは勇誠で、

「ま、色々裏技があってさ」
「だが何でここにお前がいたんだ?」

今度はレイジが聞いてくると、勇誠は笑みを浮かべ、

「態々お前らがここに来てた理由がわからなかったんだが、何かこの屋敷にあるのは直ぐに分かった。ここの主は何か隠してるのは明らかだったしな。だから毎日働かせてもらう序でに屋敷を調べさせてもらった。警備が厳重で大変だったぜ」

まぁ、全部美矢の指示だったのだが……と勇誠は内心思いつつも、

「そしたら後は忍び込むルートを割り出し、そこで待ち伏せるだけだ」

これも美矢の指示である。巡回ルートからどこに来るかを割り出すのは、彼女にとってそんなに難しいことじゃない。

「ふん。分かったからってなんだ。テメェらをぶち殺せば一緒だろうがぁ!」

レイジはそう叫びながら、こちらに突っ込んでくると、勇誠は腰から木刀を抜いてレイジを止める。

「おらタケル!ボーッとしてねぇでさっさと盗ってこい!」
「っ!」 

タケルはレイジの声を聞くと、弾かれたように走り出した。

「魔実!和賀さんを連れて行け!」
「うん!」

魔実も美月の手を引き、タケルを追って走り出す。

「へっ!てめぇ程度で俺を止められると思ってんのか!舐めんなよ!」
「やってみないことには分からないだろ!」

一方その頃。

「へぇー。こっちの動き読んでたんだ。やるじゃん?」
「この程度どうってことありませんわ」

美矢は弓矢を持ち、レイジの仲間の一人であるマクアと対峙し、

「良いねぇ。どっちもタイプは違うけどソソるねぇ!」
「ひぃ!」
「……」

先日空と戦ったジュノアは、癒羅と刹樹の二人と。

「アタシは大当たりかな」
「ふ……」

空もレイジの仲間の男と視線を交わす。

「ジュノアだっけ?アイツと戦ってるときも気づいたぜ。レイジの仲間の中じゃあんたが一番強いってな」
「そうか」

短く男は答えると、腰から剣を抜いて切っ先を空に向けながら構える。

「悪いが殺すぞ」
「良いね。分かりやすい」

対照的に空は構えない。一見すれば棒立ちにも見える。しかし空に隙がないのは、対峙している男が一番よく理解していた。

「ガワラーダだ」
「乾藤流古武術継承者・乾藤 空だ」

二人は短く名乗り、互いに向かって走り出すのだった。
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