ハーレムエンド後のギャルゲーの主人公が勇者になってヒロイン達と魔王を倒して世界を救うようです

第二章 逃亡者と幼馴染

クエスト

「よぅ」
「勇誠！」

前回の妹からの誤解を解くため、小一時間程かけて誤解を解き、ゲッソリとしながら皆との集合場所に勇誠は現れ、

「タケル君とは会えた？」
「まぁ……色々酷い目にはあったけど」

魔実に勇誠は答えつつ、他の皆に何があったのかを話すと、

「ふむ。説得は失敗ですか」
「あぁ。しかも金的潰されたし」 

美矢の言葉に勇誠は苦笑いを浮かべた。正直に言うと、今思い出しても背筋に冷たい汗が垂れてくる。 もう二度と味わいたくはない。

空の根絶を喰らった純も同じ気分だったのだろうか。そう思いながらいると、

「とにかく、タケルの説得に失敗したけどよ。これも片付けていこうぜ」

当の本人である空が見せてきた一枚の紙には、今回のクエスト内容が書かれていた。

「庭の清掃作業。オルトバニア銀貨50枚。金貨一枚が一般的な家庭の一ヶ月だから……半月分です」
「どこの国もこう言う誰でもできる系のクエストを受ける人が少ないみたいだね。まぁお陰でこうやって私達は楽に稼げるんだけど」

後ろからクエストについて書かれた用紙を、刹樹と癒羅は覗き込みながら話し、

「じゃあこの後いくの？」
「そうですね。仕事は午後からとなってますし、今から行けば丁度良いんじゃないですかね？」

フラメにクルルーラは答えた。それを聞いた勇誠達も立ち上がり、

「じゃあ今から出発だな」
「大丈夫なの？さっき戦ったばかりなのに」
「大丈夫だよ。転移するだけで体は元通りだしさ」

心配そうに見てくる魔実に、大丈夫だと言いながら、勇誠は歩き出すと、それに続くように他の皆も歩き出した。


◆


「なぁ、これは庭って言うのか？」
「庭なんでしょ。あの人たちにとっては」

と言うわけで歩いて30分もしないうちに、目的地にはついた。ただ着いたのは良いのだが、そこはドでかい屋敷で、庭と言うよりは庭園に近い。家（と言うか屋敷）に案内され、庭を指差されたが端が見えないほど広い。

そんな景色を見ながら勇誠と魔実がぼやいていると、

「でも美矢ちゃん家もこんな感じだもんね」
「流石に端が見えない規模の庭は無いですわ。日本の国土的にも」

確かに一応端は見える範囲の屋敷だ。それでも十分広いのだが。

前に皆で行った時、美矢以外全員がトイレの場所が分からず困った事がある。

「さて、今回のクエストはこの庭の清掃だ、なに、別に花を整えなくて良い。ただ落ちてる葉っぱや花びらなどを拾うだけだ」

と偉そうに屋敷の主は言う。

この主は、如何にも金持ちの貴族といった風情の、脂ぎった小太りの男で、

（やなかんじ）
（うっぜ）
（気持ち悪い）
（なんか見られてる？）
（見てきますわね）

それぞれタイプは違えど、美人な彼女たちを気持ち悪い目で見ていた。 

特に魔実や癒羅にように大きな胸が好みらしく、それとなく見ているつもりらしいが、見られてる本人達はしっかり気づいていて、嫌悪感を抱いている。

「まぁ期限が一週間だ。しっかり頼むぞ。あと屋敷の奥には出入り禁止だ」

しかし何時までも視姦するわけにもいかないのか、主は奥に引っ込んでしまった。

それを見送った後、

「うぅ～。気持ち悪かったぁ」

魔実が最初に言うと、他の女子達もウンウンと頷いた。

「めっちゃ魔実や癒羅先輩の胸見てたじゃん」
「バレてないと思ってるんですかね？」
「見られてる方はわかるのにねぇ」
「寧ろあれだけ視線を移動させてたら気づかない方が難しいですわ」

そんな女子達の遠慮のない評価に、勇誠は黙っておく。ここで下手に男の自分が入っても、良い結果にはならない。こう言うのは愚痴らせた方が良いのだ。

（さて、どうやって掃除していくかなぁ）

何て思いながら、背後の女子達の愚痴を聞きつつ、掃除の計画を勇誠は一人、建てていくのだった。