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君の可愛い聞き間違い
これは可愛い聞き間違い
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私の彼女は聞き間違いが激しい。時として一文字も合っていない聞き間違いをする。母音さえあっていないこともある。
音のリズムで判断しているのだろうとは思うが、稀に私がいないところでどうやって生きているのか心配になることがある。
そんな彼女の愛しい聞き間違いを、レベル1から紹介していこうと思う。
あれは2人でお寿司を食べた日。
近所に回らないお寿司しか存在せず、出先で偶然見つけた回転寿司に私たちの目の奥がキラリと……いや、ギラリと光った。
「なんだかお腹が空きませんか?」
悪い顔をしたロキがこちらを見る。
「お腹が減ったような気がしますね。幸い次の予定まで時間があります。」
「ちょっと小腹を満たしてもいいんじゃありませんか?」
「偶然にもこちらに回転寿司がありますが……。」
入り口に向かって早足になっていく。久しぶりに回るお寿司だ!とちょっと飛び跳ねるくらいに期待して入店した。回転寿司を楽しむには、好きなだけ食べるぞ!という意気込みを決して忘れてはいけない。
席に着くと、巷で話題のウイルスの猛威のせいで寿司は回っておらず、代わりに写真が回っている。肝心の注文はタブレットでのオーダー制だ。
「何食べる?」
一応聞いてはみたが、ロキはすでにタッチパネルをぽちぽちと操作して、真っ先に白身魚のページを開いていた。無言でタイやカワハギを頼むロキの手が止まった後に、子持ち昆布を追加してやる。
注文を待っている間に、お茶やガリの準備に入る。欠かせないのはやはり醤油だろう。
「色々種類あるね、私はだし醤油かな…」
「朝青龍ね。」
暫し沈黙が走る。
「だししょうゆ。」
「あさしょうりゅう?」
笑いを堪えながら醤油に手を伸ばし、小皿に入れると、やっと理解したロキがくすくすと笑い始める。笑いが伝染して広がっていった頃に、レーンにお寿司が届いた。
そしてこれは同棲している我が家での話。出かける準備に手間取るロキを横目に、電動歯ブラシで歯を磨こうとしていた。
洗った後に珪藻土のコースターの上に並べておき、乾いた頃に充電に戻すのだが、その日は前日にその作業を忘れていて2人分の歯ブラシが洗面台のすぐそばに並んでいた。
ぼーっとした頭で歯ブラシに手を伸ばすと、よく見ていなかったせいでガラガラと落ちていく。
大きな音にリビングから身を乗り出してロキが心配げな声をあげる。
「大丈夫?」
「歯ブラシ落ちた!」
「え?たんぽぽ落ちたの?」
我が家のいつどこにたんぽぽがあったのかは分からないが、寝起きの頭がスッと覚めていき、笑いが止まらなくなる。
「たんぽぽはね…咲いてないよ……。」
くつくつと笑う私に、困惑した視線を投げるロキ。
「なんて言ったの?」
「歯ブラシ。」
一瞬フリーズした後に、ロキが軽快に笑い出す。
こうして私たちは今日も笑っている。
そんなこんなで聞き間違いが多発する彼女のために、私はメモを取ることにした。出先でiPhoneのメモ帳を開き、新しいメモを作る。
「ネタ帳つくらなきゃ」
ふと呟いた言葉が、ロキの耳に入ったようだった。
「ダチョウ倶楽部がなんだって?」
……心の底から何のことかわからない。なんだって?は私のセリフであった。
「ネタ帳をね。」
「ネタ帳。」
「作らなきゃって。」
少し困惑した様子でロキが尋ねてくる。
「私今なんて言った?」
「ダチョウ倶楽部。」
「どうして?」
またしてもこちらのセリフである。
「どうしてだろうね。」
本気で首を傾げる彼女を温かい目で見つめながら、迫り来る笑いから必死に逃げていた。
こんな可愛いレベル1の聞き間違いを、ロキは毎日繰り返している。そんな彼女がやはり世界一可愛いので、次はロキの大好きな下ネタの聞き間違いでも記そうと思う。
音のリズムで判断しているのだろうとは思うが、稀に私がいないところでどうやって生きているのか心配になることがある。
そんな彼女の愛しい聞き間違いを、レベル1から紹介していこうと思う。
あれは2人でお寿司を食べた日。
近所に回らないお寿司しか存在せず、出先で偶然見つけた回転寿司に私たちの目の奥がキラリと……いや、ギラリと光った。
「なんだかお腹が空きませんか?」
悪い顔をしたロキがこちらを見る。
「お腹が減ったような気がしますね。幸い次の予定まで時間があります。」
「ちょっと小腹を満たしてもいいんじゃありませんか?」
「偶然にもこちらに回転寿司がありますが……。」
入り口に向かって早足になっていく。久しぶりに回るお寿司だ!とちょっと飛び跳ねるくらいに期待して入店した。回転寿司を楽しむには、好きなだけ食べるぞ!という意気込みを決して忘れてはいけない。
席に着くと、巷で話題のウイルスの猛威のせいで寿司は回っておらず、代わりに写真が回っている。肝心の注文はタブレットでのオーダー制だ。
「何食べる?」
一応聞いてはみたが、ロキはすでにタッチパネルをぽちぽちと操作して、真っ先に白身魚のページを開いていた。無言でタイやカワハギを頼むロキの手が止まった後に、子持ち昆布を追加してやる。
注文を待っている間に、お茶やガリの準備に入る。欠かせないのはやはり醤油だろう。
「色々種類あるね、私はだし醤油かな…」
「朝青龍ね。」
暫し沈黙が走る。
「だししょうゆ。」
「あさしょうりゅう?」
笑いを堪えながら醤油に手を伸ばし、小皿に入れると、やっと理解したロキがくすくすと笑い始める。笑いが伝染して広がっていった頃に、レーンにお寿司が届いた。
そしてこれは同棲している我が家での話。出かける準備に手間取るロキを横目に、電動歯ブラシで歯を磨こうとしていた。
洗った後に珪藻土のコースターの上に並べておき、乾いた頃に充電に戻すのだが、その日は前日にその作業を忘れていて2人分の歯ブラシが洗面台のすぐそばに並んでいた。
ぼーっとした頭で歯ブラシに手を伸ばすと、よく見ていなかったせいでガラガラと落ちていく。
大きな音にリビングから身を乗り出してロキが心配げな声をあげる。
「大丈夫?」
「歯ブラシ落ちた!」
「え?たんぽぽ落ちたの?」
我が家のいつどこにたんぽぽがあったのかは分からないが、寝起きの頭がスッと覚めていき、笑いが止まらなくなる。
「たんぽぽはね…咲いてないよ……。」
くつくつと笑う私に、困惑した視線を投げるロキ。
「なんて言ったの?」
「歯ブラシ。」
一瞬フリーズした後に、ロキが軽快に笑い出す。
こうして私たちは今日も笑っている。
そんなこんなで聞き間違いが多発する彼女のために、私はメモを取ることにした。出先でiPhoneのメモ帳を開き、新しいメモを作る。
「ネタ帳つくらなきゃ」
ふと呟いた言葉が、ロキの耳に入ったようだった。
「ダチョウ倶楽部がなんだって?」
……心の底から何のことかわからない。なんだって?は私のセリフであった。
「ネタ帳をね。」
「ネタ帳。」
「作らなきゃって。」
少し困惑した様子でロキが尋ねてくる。
「私今なんて言った?」
「ダチョウ倶楽部。」
「どうして?」
またしてもこちらのセリフである。
「どうしてだろうね。」
本気で首を傾げる彼女を温かい目で見つめながら、迫り来る笑いから必死に逃げていた。
こんな可愛いレベル1の聞き間違いを、ロキは毎日繰り返している。そんな彼女がやはり世界一可愛いので、次はロキの大好きな下ネタの聞き間違いでも記そうと思う。
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