とある場末のカウンター

アンダーカレント

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船旅

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海を感じさせるバーだ。
船のような曲線。
湾曲した木材の天井。
小柄で品の良い白髪のマスターが
白いバージャケットを、しゃんと着て愚痴る。
「昔は良かったですよ」
金は落ちぬが質は落ちたと夜の街を嘆いてる。

珍しいボトルが、客の注文を待ち過ぎて眠りについたようで、マスターは開けるのに四苦八苦。

「これは...でないのを頼みますね」

どれだけの年月待っていたかわからない、古いガリアーノはとろけるように甘かった。

夜は、こうやって過ぎていく。
客は僕以外にない。
外の喧騒が嘘のような静かなカウンター。

中洲で1番の老舗は隠れ家中の隠れ家で、知る人も少ない為客もいない。
あとどれだけの時間が、このBARに残されているんだろう。

流れてるジャズをとめて
マスターはシャーデーを選んだ。
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