とある場末のカウンター

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空のグラスの待ちぼうけ

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大きな声で笑ってる若者グループ

スーツ姿の中年グループは、次の店の場所を身振り手振り交え大声で説明中だ。

未成年に見間違えるような若いカップルは、くっつき過ぎてバランスを崩しながら歩いている。

夜の街に照らし出された人間達は滑稽だ。そしてこの街をコソコソ歩く人間は、なぜだか灯りを上手に避けていく。

1階が酒屋。
脇にあるエレベーターのボタンで、いつも何階だったか一瞬戸惑うが、3階を押せばいい。
ボタンを押した時から、誰かを待つ夜が今日も始まる。

歴史好きなバーテンダーを捕まえ、いくつかの戦国時代のエピソードで場を和ませる。渇いた喉を湿らすのは、ギムレットだ。

空になったグラスが

次の酒を待ちぼうけしている

サビネリのパイプから上がる紫煙、少しだけ甘い香りが華やかに漂う。
その香りからマスターがインドのダークラム、モンクを出してきた。

こんなやりとりで

今日の夜がいかに楽しく過ごせそうか

心が踊る待ちぼうけ


エレベーターで地上に降り立つと、深呼吸をして待ち合わせ場所に向かう。

僕の頭の中ではポラリスの深呼吸

深呼吸して愛を歌い出会いましょう。
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