とある場末のカウンター

アンダーカレント

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酒場での朝の迎え方

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いつもの銭湯で身体を温めて浴衣に着替える。番台にいる婆さんは僕の長髪を見て絵描きさんだと思い込んでいる。

そんな銭湯から歩いて5分のところにあるバル。いつものカウンターに陣取り、ヒューガルデンホワイトの生を飲もう。

店は忙しそうだから、外を眺めながらゆっくり煙草でも吸ってることにする。

「次なんにする?」
カウンターの中からの声に反応して
「ロンサカでいいよ」と言うと
やっぱりといった顔つき。
僕が言い終わる前に手はボトルに伸びていた。

今日は繁盛している。そんな時は邪魔にならないように静かに飲むんだ。
そんな僕にはグラスが空くと適当なワインが注がれるといったシステムが適用された。

夜が去っていく、酔客も帰りBGMが変更された。
ハナレグミ「家族の風景」

ここからは店員と客というより、店を借りての友人との時間なんだ。


そして気がつくと、ソファーの上に転がっていた。

夜が去ったんだ。

入口の1度下りたシャッターが少しだけ開いている。差し込む日差しが本当に明るく、朝の澄んだ空気に輝いている。

客と店員は互いにありがとうと言った。

清々しい朝。
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