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第八章「三方ヶ原の戦い」
第三十三話「一言坂」
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元亀三年十月 遠江国 一言坂
「はぁはぁはぁ・・・」
奴らはまるで獲物を狙う獣の如く、こちらに迫って来ました。
我ら徳川軍は武田軍来襲の報を聞きつけ、その出端(ではな)を挫くべく三千の手勢で天竜川を越え武田軍を迎え撃とうと考えていたのでございますが・・・。
「まさか、こんなにも早く進軍していたとは・・・」
拙者が馬を駆けながら後方を振り返ると、我らの倍の数があるであろう武田軍が怒濤の勢いでこちらに迫って来ておりました。
逃げ切れるか?
拙者は冷や汗をかく。
こりゃあ、誰かが奴らの足止めをせねばならんな。
そう思い拙者が馬の手綱を引こうとした瞬間、隣を並走しておった一人の武者が突然反転して馬を止める。
「おい、半十郎!?」
拙者は馬を止め、思わずその者の名前を呼ぶ。
「兄者は先に行くが良い」
その武者は振り返らずに拙者に告げる。
そう、この者は拙者と一歳違いの実弟・渡辺半十郎政綱でございまする。
「儂はここに踏みとどまって敵を食い止める」
「半十郎、無茶はよせ。お主一人では武田の勢いを止められはせぬ」
拙者の忠告も空しく、半十郎はその場から一歩も動かない。
「おい、半十郎!」
拙者は再度、弟の名前を呼ぶ。
すると、半十郎は武田軍の方を向いたまま冷たい口調で答える。
「兄者はさっさと先に行くがよい。逃げるのは得意であろう・・・親父が死んだ時のように」
拙者の眉がぴくりと動く。
「お主、まだ十年前のことを・・・」
拙者の言葉に半十郎は激昂する。
「当たり前じゃ!父が死んだ事を、そう簡単に忘れる事などできるものか!?」
何も答えない拙者に対し、半十郎は尚も罵(ののし)り続ける。
「仇討ちもせず抜け抜けと生きおって・・・兄者は、父と一緒に死ぬべきだったのじゃ」
黙って聞いておった拙者もそこで我慢の限界に達する。
「・・・ほだら、さっさと親父のところに行ってこい。そして、親父に殴られろ。お主の死なぞ、親父は望んではおらん」
「黙れ!」
睨み合う両者・・・しかし、拙者たちのいがみ合いもそこで終わりでございました。なぜなら、ついに奴らが拙者たちに追いついて来てしまったからでございまする。凄まじい勢いで、あっという間に拙者たちの周囲を囲う武田軍。
「ちっ」
拙者は舌打ちをする。
緊迫した状況の中、武田軍から一人の武者が前に出る。
「ふっ、この状況で仲間割れとは、三河の侍も大した事はないな」
髭面で立派な陣羽織を身に纏った武将。周囲には、白地に黒の山道の馬印が掲げられておりました。
その武将の姿を見た半十郎が隣でぽつりと呟く。
「馬場、美濃守・・・」
半十郎の言葉に拙者の眉がぴくりと動く。
馬場美濃守・・・ほう、こやつが。
拙者は、今一度その武将を凝視する。
馬場美濃守信春。通称『鬼美濃』。六十数度の合戦に出陣し一度も傷を負った事がないという猛将。
「・・・不死身の武将という訳か」
拙者の発言を美濃守は訂正する。
「よくそう言われるが、儂は不死身という訳ではない。攻めるべき時に攻め、退くべき時に退いておるだけじゃ」
それを聞いて拙者は苦笑いを浮かべる。
「それができれば、儂も苦労せんのじゃがな」
拙者の言葉に、今度は美濃守が微笑を浮かべる。
「故に、お主ら二人は退くべき時を間違えた」
御尤(ごもっと)も。
拙者は、内心この状況に動揺を感じつつも外面では平静を装う。
武田軍がじりじりと拙者たちとの間合いを詰める中、突如そこへ一騎の騎馬武者が武田軍を蹴散らしながら乱入して来る。
大きな槍を持ち鹿角の兜を被ったその武将。拙者は、その者の名前を叫ぶ。
「平八郎!」
その騎馬武者―本多平八郎忠勝は、拙者たちの近くまで来ると馬を止める。
「大丈夫でござるか?」
「・・・今のところはな」
苦笑いを浮かべる拙者。美濃守が透かさず会話に入って来る。
「すぐに大丈夫ではなくなる。一人増えたところで、何が変わる訳でもない」
拙者は、美濃守を見据えたまま平八郎に教える。
「平八郎・・・『鬼美濃』じゃ」
すると、平八郎の目の色が変わる。
「ほほう」
武人としての血が騒いだのか、平八郎は美濃守に近づく。
「不死身の将だか知らんが、この本多平八郎忠勝、某とて未だ戦で一度も傷を負うた事はないわ!」
平八郎の口上に、美濃守の眉がぴくりと動く。
「ほう、お主が三郎兵衛と刃を交わしたという本多忠勝か・・・おもしろい、では初めての傷を与えてやろう」
三郎兵衛・・・山県三郎兵衛昌景の事か。
拙者は数年前、遠州で襲撃された時の事を思い出し冷や汗をかく。
あの時は何とか切り抜けられたが、此度もうまくいくであろうか・・・。
拙者が不安を募らせる一方で、平八郎は臆する事なく美濃守に啖呵を切る。
「初めての傷は、某が貴殿にお与え致す!」
そう言うと平八郎は、勢いよく馬を駆け美濃守と激しくぶつかり合う。
その後、馬を返しながら数度に渡り刃を交える両者。
「言うだけのことはあるな、若いの!」
百戦錬磨の美濃守に対し平八郎も負けてはいない。
「まだまだ!」
実力伯仲の両者。どちらもまったく引けを取らない。
周囲の者たちは固唾(かたず)を飲んで両者の一騎討ちを見守っておりましたが、突如、一人の武将がその戦いを止めに入りもうした。
「待たれい!」
武田軍の中から一騎の騎馬武者が前に出る。その騎馬武者の言葉に、戦っている二人は動きを止める。
「・・・左近殿。何故、止める?」
美濃守の問いに、左近と呼ばれたその武者は答える。
「かように若く勇敢な侍を、このまま死なせるには惜しいと思いましてな」
「・・・甘いな、お主は」
「ならば続けるがよろしい。美濃殿も初めての傷を負うやもしれませんぞ?」
左近殿の言葉に、美濃守は微笑を浮かべる。
「・・・興醒めじゃ。好きにするがよい」
そう言うと、美濃守はこちらに背を向けて去って行きもうした。
その姿を横目に、左近殿は平八郎に声をかける。
「お主、名は何と申す?」
平八郎は、ゆっくりと答える。
「本多、平八郎忠勝」
左近殿は暫(しば)し真剣な表情で平八郎を見詰めた後、口元を緩ませる。
「早うその者たちを連れて退くがよい。儂の気が変わらん内にな」
「・・・かたじけない。して、貴殿のお名前は?」
「小杉左近と申す」
平八郎は左近殿に頭を下げると、拙者たちと共に急ぎその場を後にしました。
「本多平八か・・・」
その後、一言坂付近の見付の地に、このような立て札が武田軍の手によって立てられたそうでございまする。
『家康に過ぎたるものが二つあり、唐の頭に本多平八』
「はぁはぁはぁ・・・」
奴らはまるで獲物を狙う獣の如く、こちらに迫って来ました。
我ら徳川軍は武田軍来襲の報を聞きつけ、その出端(ではな)を挫くべく三千の手勢で天竜川を越え武田軍を迎え撃とうと考えていたのでございますが・・・。
「まさか、こんなにも早く進軍していたとは・・・」
拙者が馬を駆けながら後方を振り返ると、我らの倍の数があるであろう武田軍が怒濤の勢いでこちらに迫って来ておりました。
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拙者は冷や汗をかく。
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そう思い拙者が馬の手綱を引こうとした瞬間、隣を並走しておった一人の武者が突然反転して馬を止める。
「おい、半十郎!?」
拙者は馬を止め、思わずその者の名前を呼ぶ。
「兄者は先に行くが良い」
その武者は振り返らずに拙者に告げる。
そう、この者は拙者と一歳違いの実弟・渡辺半十郎政綱でございまする。
「儂はここに踏みとどまって敵を食い止める」
「半十郎、無茶はよせ。お主一人では武田の勢いを止められはせぬ」
拙者の忠告も空しく、半十郎はその場から一歩も動かない。
「おい、半十郎!」
拙者は再度、弟の名前を呼ぶ。
すると、半十郎は武田軍の方を向いたまま冷たい口調で答える。
「兄者はさっさと先に行くがよい。逃げるのは得意であろう・・・親父が死んだ時のように」
拙者の眉がぴくりと動く。
「お主、まだ十年前のことを・・・」
拙者の言葉に半十郎は激昂する。
「当たり前じゃ!父が死んだ事を、そう簡単に忘れる事などできるものか!?」
何も答えない拙者に対し、半十郎は尚も罵(ののし)り続ける。
「仇討ちもせず抜け抜けと生きおって・・・兄者は、父と一緒に死ぬべきだったのじゃ」
黙って聞いておった拙者もそこで我慢の限界に達する。
「・・・ほだら、さっさと親父のところに行ってこい。そして、親父に殴られろ。お主の死なぞ、親父は望んではおらん」
「黙れ!」
睨み合う両者・・・しかし、拙者たちのいがみ合いもそこで終わりでございました。なぜなら、ついに奴らが拙者たちに追いついて来てしまったからでございまする。凄まじい勢いで、あっという間に拙者たちの周囲を囲う武田軍。
「ちっ」
拙者は舌打ちをする。
緊迫した状況の中、武田軍から一人の武者が前に出る。
「ふっ、この状況で仲間割れとは、三河の侍も大した事はないな」
髭面で立派な陣羽織を身に纏った武将。周囲には、白地に黒の山道の馬印が掲げられておりました。
その武将の姿を見た半十郎が隣でぽつりと呟く。
「馬場、美濃守・・・」
半十郎の言葉に拙者の眉がぴくりと動く。
馬場美濃守・・・ほう、こやつが。
拙者は、今一度その武将を凝視する。
馬場美濃守信春。通称『鬼美濃』。六十数度の合戦に出陣し一度も傷を負った事がないという猛将。
「・・・不死身の武将という訳か」
拙者の発言を美濃守は訂正する。
「よくそう言われるが、儂は不死身という訳ではない。攻めるべき時に攻め、退くべき時に退いておるだけじゃ」
それを聞いて拙者は苦笑いを浮かべる。
「それができれば、儂も苦労せんのじゃがな」
拙者の言葉に、今度は美濃守が微笑を浮かべる。
「故に、お主ら二人は退くべき時を間違えた」
御尤(ごもっと)も。
拙者は、内心この状況に動揺を感じつつも外面では平静を装う。
武田軍がじりじりと拙者たちとの間合いを詰める中、突如そこへ一騎の騎馬武者が武田軍を蹴散らしながら乱入して来る。
大きな槍を持ち鹿角の兜を被ったその武将。拙者は、その者の名前を叫ぶ。
「平八郎!」
その騎馬武者―本多平八郎忠勝は、拙者たちの近くまで来ると馬を止める。
「大丈夫でござるか?」
「・・・今のところはな」
苦笑いを浮かべる拙者。美濃守が透かさず会話に入って来る。
「すぐに大丈夫ではなくなる。一人増えたところで、何が変わる訳でもない」
拙者は、美濃守を見据えたまま平八郎に教える。
「平八郎・・・『鬼美濃』じゃ」
すると、平八郎の目の色が変わる。
「ほほう」
武人としての血が騒いだのか、平八郎は美濃守に近づく。
「不死身の将だか知らんが、この本多平八郎忠勝、某とて未だ戦で一度も傷を負うた事はないわ!」
平八郎の口上に、美濃守の眉がぴくりと動く。
「ほう、お主が三郎兵衛と刃を交わしたという本多忠勝か・・・おもしろい、では初めての傷を与えてやろう」
三郎兵衛・・・山県三郎兵衛昌景の事か。
拙者は数年前、遠州で襲撃された時の事を思い出し冷や汗をかく。
あの時は何とか切り抜けられたが、此度もうまくいくであろうか・・・。
拙者が不安を募らせる一方で、平八郎は臆する事なく美濃守に啖呵を切る。
「初めての傷は、某が貴殿にお与え致す!」
そう言うと平八郎は、勢いよく馬を駆け美濃守と激しくぶつかり合う。
その後、馬を返しながら数度に渡り刃を交える両者。
「言うだけのことはあるな、若いの!」
百戦錬磨の美濃守に対し平八郎も負けてはいない。
「まだまだ!」
実力伯仲の両者。どちらもまったく引けを取らない。
周囲の者たちは固唾(かたず)を飲んで両者の一騎討ちを見守っておりましたが、突如、一人の武将がその戦いを止めに入りもうした。
「待たれい!」
武田軍の中から一騎の騎馬武者が前に出る。その騎馬武者の言葉に、戦っている二人は動きを止める。
「・・・左近殿。何故、止める?」
美濃守の問いに、左近と呼ばれたその武者は答える。
「かように若く勇敢な侍を、このまま死なせるには惜しいと思いましてな」
「・・・甘いな、お主は」
「ならば続けるがよろしい。美濃殿も初めての傷を負うやもしれませんぞ?」
左近殿の言葉に、美濃守は微笑を浮かべる。
「・・・興醒めじゃ。好きにするがよい」
そう言うと、美濃守はこちらに背を向けて去って行きもうした。
その姿を横目に、左近殿は平八郎に声をかける。
「お主、名は何と申す?」
平八郎は、ゆっくりと答える。
「本多、平八郎忠勝」
左近殿は暫(しば)し真剣な表情で平八郎を見詰めた後、口元を緩ませる。
「早うその者たちを連れて退くがよい。儂の気が変わらん内にな」
「・・・かたじけない。して、貴殿のお名前は?」
「小杉左近と申す」
平八郎は左近殿に頭を下げると、拙者たちと共に急ぎその場を後にしました。
「本多平八か・・・」
その後、一言坂付近の見付の地に、このような立て札が武田軍の手によって立てられたそうでございまする。
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