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第四幕「本能寺の変」
しおりを挟む○ 丹波国亀山
斉藤「殿!本能寺の信長様が襲われているとの事!」
光秀「何じゃと、一体誰に?」
斉藤「わかりませぬ」
光秀「出陣の準備はできておるか?」
斉藤「はっ。すぐにでも出られます」
光秀「よし。皆の者、行くぞ。敵は本能寺にあり!」
暗転
○ 京 本能寺
信長が寝ている所へ信忠、登場
信忠「父上、敵襲にございます!」
信長「敵襲?何者じゃ?」
信忠「死人の群れが本能寺を囲んでおりまする」
信長「何じゃと?」
信長、舞う。
信長「人間五十年、下天の内を比ぶれば、夢幻の如く成り。
一度生を受け、滅せぬ者のあるべきか」
信忠「父上」
信長、武器を手に取る。
信長「信忠、行くぞ!」
二人、退場。入れ替わりで死人の群れが登場。
客席から本多、半蔵、茶屋、おます、おかめ登場。
舞台上の本能寺の様子を伺う。
おます「死人があんな沢山」
おかめ「どう致しますか?」
半蔵「ただじっと見ておく訳にもいかんであろう」
本多「お主たち覚悟は良いか?」
頷く一同
茶屋「儂も久方ぶりに暴れてやりますぞ」
本多「では、参るぞ」
五人、舞台上へ。立ち回り。
本多「おびただしい数じゃな」
半蔵「斬っても斬ってもきりがない!」
死人の群れから森田が現れる。
森田「ん、何故徳川の者たちがここにおる」
本多「お主、何者じゃ?」
森田「徳川の者に用はない。我らの目的は信長の首よ」
本多「聞く耳持たずか」
本多、槍を構える
森田「誰であろうと我らを阻む者は許さぬぞ」
本多「それは我らとて同じよ」
森田「目には目を、徳川には徳川を」
本多「ん?」
信康、登場
半蔵「の、信康様!」
信康、徳川勢に襲いかかる。
半蔵「くっ」
本多「信康様ご本人なのか?」
半蔵「茶屋殿の話が本当なら」
本多「迂闊に手が出せんな」
森田「我々の邪魔立てをすれば容赦はせんぞ」
森田と信康、退場
半蔵「信康様!」
半蔵、二人を追いかけて行く。
おます「半蔵様!」
あますとおかめも半蔵を追って行く。
本多「待て、お主たち!」
本多も追いかけようとするも死人たちに阻まれる。
本多「くっ」
茶屋「本多殿、ここは一度退却した方がよろしいのでは?」
本多「そのようじゃな。我ら急ぎ家康様にこの事をお伝えしよう」
茶屋「はっ」
本多「半蔵、死ぬでないぞ」
本多、茶屋退場。死人も追いかけて退場。
光秀と斉藤、登場。
光秀「信長様ー!信長様ー!」
斉藤「これだけの炎ではもう・・・」
光秀「信長様・・・」
斉藤「人気がまったく感じられん。一体何があったのだ」
光秀「間に合わなかったか・・・」
暗転
○ 茶屋邸 幕間
茶屋「死人で溢れかえる本能寺。半蔵殿は信康様の姿を追い
本能寺の炎の中に消えて行った。儂と忠勝殿は、事を
伝えるべく急ぎ家康様の元へと向かった」
茶屋の後ろで子供が死人の真似をする。
子供「う、ああ、あ」
茶屋「って、何をしておるのじゃ?」
子供「死人の真似をすれば、仲間だと思って襲われないでしょ」
茶屋「ああ、そうか?」
子供「う、ああ、うう」
無視する茶屋。子供は引き続き死人を続ける。
茶屋「一方、家康様一行は大坂の堺に赴くも、やはり死人の事が
気になり引き返して河内国飯盛山付近まで戻ってきていた」
子供「うう、ああ、あ」
暗転
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