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26. デートと自覚
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木曜日。全休の日でこれまではほとんど顔を合わせることのなかった曜日だが、今日はあいつが朝から渋谷に用事があるとかで「昼に待ち合わせしてデートしよう」ということになった。待ち合わせ場所に時間より15分も早く着いてしまってぼんやりと時計を眺める。普段来ない場所だから時間を潰すにしてもどこにいけばいいかわからない。
「お兄さんお兄さんっ!ひとりですか~?」
「え?」
いつもはこんなことないのに場所のせいだろうか。唐突な二人組からの声かけに戸惑う。
「私たち、気になってるご飯屋さんあるんですけど~、ちょっと女二人だと行きづらくって…一緒に来てくれませんか?」
「や、すみません。待ち合わせしてるんで」
「お友達ですか?良ければ一緒に!」
「いや良くないんで…」
あいつが来たらもっと面倒なことになるのは間違いない。どうにか時間になる前に諦めてもらわなくてはいけない。それなのに意外としつこいんだなこういうの…。
「おまたせ、どうしたの?」
「え!お友達ですかっ⁉私たちご飯行こって話してて…行きませんか?」
聞き慣れた声がして俺とは反対の方向に向いた二人の瞳が輝く。視線をやると人当たりのいいにこやかな笑顔を浮かべていて、誰にでもニコニコしてんなよ、という気持ちが沸いてくる。
「あぁ、友達じゃなくて彼氏だからこれからデートなんだ。ごめんねー」
すらりと出てきた言葉にぎょっとする。それから腕を引かれて歩いている間も彼氏という単語が頭の中をふわふわと漂って、顔が緩んでしまうから少し俯いて歩いた。
「……嫌だった?知らない人だからいいかなって思っちゃったんだけど」
「や、別に」
「そう?返事ないから心配したけどそれならよかった」
「…俺はお前の彼氏なんだなぁ…って、思ってただけ」
嫌なんかじゃない。これまで付き合ってきた中で「俺の彼氏」と他の人に言われたことがなかったからじわじわと嬉しさがこみ上げる。揶揄われて傷ついたこともあるし、友達や家族に男と付き合っていると公言するのは憚られるが、第三者に自分たちの関係を言葉にしてくれることは素直に嬉しい。むず痒さや恥ずかしさもあるけれど…。
ぽやぽやと頭に浮かぶ言葉をそのままに隣を歩く姿を見ると余計に輝いて見える気がする。
「髪セットしてるの珍しいな、かっこいい」
光が当たってまぶしい笑顔を向けられてお前がな。と内心ツッコむ。前々から顔がいいことは十分に理解していたが、最近になって自然光まで味方にしたらしい。心臓に悪い。
「お前がデートっていうからだよ」
「またデートしよ」
「ん」
「お兄さんお兄さんっ!ひとりですか~?」
「え?」
いつもはこんなことないのに場所のせいだろうか。唐突な二人組からの声かけに戸惑う。
「私たち、気になってるご飯屋さんあるんですけど~、ちょっと女二人だと行きづらくって…一緒に来てくれませんか?」
「や、すみません。待ち合わせしてるんで」
「お友達ですか?良ければ一緒に!」
「いや良くないんで…」
あいつが来たらもっと面倒なことになるのは間違いない。どうにか時間になる前に諦めてもらわなくてはいけない。それなのに意外としつこいんだなこういうの…。
「おまたせ、どうしたの?」
「え!お友達ですかっ⁉私たちご飯行こって話してて…行きませんか?」
聞き慣れた声がして俺とは反対の方向に向いた二人の瞳が輝く。視線をやると人当たりのいいにこやかな笑顔を浮かべていて、誰にでもニコニコしてんなよ、という気持ちが沸いてくる。
「あぁ、友達じゃなくて彼氏だからこれからデートなんだ。ごめんねー」
すらりと出てきた言葉にぎょっとする。それから腕を引かれて歩いている間も彼氏という単語が頭の中をふわふわと漂って、顔が緩んでしまうから少し俯いて歩いた。
「……嫌だった?知らない人だからいいかなって思っちゃったんだけど」
「や、別に」
「そう?返事ないから心配したけどそれならよかった」
「…俺はお前の彼氏なんだなぁ…って、思ってただけ」
嫌なんかじゃない。これまで付き合ってきた中で「俺の彼氏」と他の人に言われたことがなかったからじわじわと嬉しさがこみ上げる。揶揄われて傷ついたこともあるし、友達や家族に男と付き合っていると公言するのは憚られるが、第三者に自分たちの関係を言葉にしてくれることは素直に嬉しい。むず痒さや恥ずかしさもあるけれど…。
ぽやぽやと頭に浮かぶ言葉をそのままに隣を歩く姿を見ると余計に輝いて見える気がする。
「髪セットしてるの珍しいな、かっこいい」
光が当たってまぶしい笑顔を向けられてお前がな。と内心ツッコむ。前々から顔がいいことは十分に理解していたが、最近になって自然光まで味方にしたらしい。心臓に悪い。
「お前がデートっていうからだよ」
「またデートしよ」
「ん」
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