となりの席の変態さん

犬派のノラ猫

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三年生一学期編

カーネーション

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のんびりとした休み時間
今日も今日とてとなりの席の
舞は話し掛けてきた。


「ねぇ秋兎くん」

「何だよ舞?」

「カーネーションって素敵よね?」

「綺麗な花だよな?」

「それはもちろんなのだけど…」

「ん?」

「花言葉が『無垢で深い愛』だなんて素敵よね?」

「どうした熱でもあるのか?」

「何故か心配されたわ!」

「思い当たる節は?」

「ありすぎるわ!」

「自信満々に言うな!?」

「無垢だなんて…私にピッタリよね?」

「…」

「ピッタリ…よね?」

「圧をかけるな!?…OKGoogl◯…『無垢 意味』」

純粋…汚れの無い心……


「そ、そうだな!」

「優しい嘘は時に人を傷付けるのよ?」

「圧かけて聞いてきたのに!?」

「確かに私は煩悩の化身よ?」

「いや、そこまでは言ってないが…」 

「でも、純情よ!」

「そこは確かに」

「それでカーネーションなのだけど」

「あ、戻すんだな?」

「カーネーションと言えば母の日でしょ?」

「そうだな?」

俺も今年は贈ってみるか。

「そして5月は…」

「ん?」

「ママの亡くなった月なのよ。」

「……なるほど」

「毎年、パパと2人でカーネーションをお供えに行くのだけど…秋兎くん達もどう?」


「いいのか?…せっかくの家族水入らずなのに?」

「パパが前に言ったでしょ?『家族になるかも知れない子として見る』って」


「そうだったな。」

「パパなりの…ケジメなんじゃないかしら?…誘いにくいから私に頼んだのは少し情けないけど」



「まぁ、なかなか凛さんの口からは言いにくいわな」


娘の彼氏を墓参りに連れていきたいとは…


「ってことなのだけど…どうかしら?」

「俺はOKだ。」

「冬花ちゃんは?」

「俺から伝えるよ。」

俺と舞がそうなったら
冬花も家族な訳だしな。

「よろしく頼むわ…あ、そうそう」

「ん?」

「カーネーションは1本だけにしてね?」

「俺と冬花で1本か?」

「そう。」

「2本じゃなくていいのか?」

「その日になれば分かるわ。」

そう言って舞はスマホの画面を閉じた。


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