となりの席の変態さん

犬派のノラ猫

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会えなくて言えなくて

これから

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まぁのんびりとした事件?解決後
父がゆっくり話がしたいとのことで
俺と冬花、母さんと父さん以外は外に出てもらった。
長い沈黙のあと、父さんは話し掛けてきた。


「秋兎」

「何だよ父さん?」

「その…悪かった…色々と」

「…俺こそごめん…色々と」

特に今日の騒ぎとか…

「私も…ごめんなさい。」

冬花は座ったまま頭を下げる。

「あとは、母さんだけだ。」

「っ…分かってるわ…ごめんなさい…二人とも」

母さんはどうしたら分からないような
おどおどとした様子で、しかししっかりと
私達の目を見た後に頭を下げた。


「……」

「……」

「「………」」

再び長い沈黙…家族の喧嘩ってこの後どうするんだ?
あれ?分からないぞ!?
普通の会話するのか?
…普通の会話…普通の会話…落ち着け俺!
俺にも出来るはずだ家族の普通の会話!
思い出せ、舞と凛さんの会話を!!


「…ろくな会話がねぇ!?」

「び、びっくりするじゃないか秋兎…何だ…反抗期か?」

「それはもう終ったよ!」

「カルシウム不足じゃない?…ちゃんと食べてるの?」

「仕送りのお陰で余裕で食べれてるよ!」

「兄ちゃんは思春期なんだよ」

「「あぁ…」」

「納得しないでくれるかな!?」

「冬花も反抗期は終わったの?」

「…兄ちゃん」

「どうした冬花?」

「私、反抗期あったっけ?」

「いや…特に記憶がないな…」

あったかも知れないが…記憶にない。


「ふむ…無い子だったのか?」

「えぇ…私も反抗期来て欲しい!」

「なぜ!?」

「カッコいいから!」

「カッコいいか!?」

「何かに反抗するのはすべてカッコいい!レジスタンススタンス!」


「スタンス二個でややこしいな!?」

「あれかい冬花…厨二病とゆうやつかい?」

「よく知ってるね父さん!?」

「会社の人が言っててね…」

「な、なるほど…」

そうだ、この際だから聞いておこう

「父さん…もしくは母さんって今、何の仕事してるんだ?」

「何だ、玉男さんから聞いてないのか?」

「ん?」

「おもちゃを作ってるんだ」

「おもちゃ?」

「正確にはおもちゃとかだな。」

「おもちゃ会社ってこと?」

「そうだ。」

「全年齢?」

「もちろんだとも…まぁR15とかはあるが。」

「よかった」

「何がだ?」

「何でもない。」

凛さんや舞が喜ぶおもちゃじゃなくてよかった。


「ね、ねぇ…秋兎」

すこし緊張したように声を出す

「私達と暮らさない?…良ければだけど」

「……向こうで?」

「え、えぇ…」

本当はそうした方がいいのかもしれない。
みんなの事を考えるなら…でも

「母さん、ごめん。俺、ここを離れたくないんだ」

俺はワガママを言うことにした
家族としてのワガママを


「はは…もちろんいいとも…秋兎」

父さんはどこか嬉しそうにすこし笑った。

「そうだ、冬花」

「な、何…父?」

「…もうすぐ誕生日だろ」

「う、うん!」

「父さん達…その日までこっちに居るんだ…よかったら一緒にお祝いしてもいいかな?」


「もちろんだよ!」

冬花は嬉しそうに、本当に嬉しそうに笑った。
…やばい…泣きそう。


…母さんは既に泣いていた。
ばれないように顔は隠しているが肩がすごく震えている。

失った時間は大きいしすぐに埋まる物じゃないけど
有り難いことに時間はある。
ゆっくり穴を埋めていくさ。
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