となりの席の変態さん

二学期編

磁石

のんびりとした休み時間
今日も今日とて
となりの席の神川さんは話しかけてきた。



「ねぇ…秋兎くん」

「何だよ舞？」

「磁石って素敵よね」

「まぁあの発明は画期的だよな。」

「それもあるけど……」

「ん？」

「一度引っ付くとなかなか離れられないなんて素敵よね？」


「お、ロマンチストモードか？」

「あら、私はいつでもロマンチストよ？」

「エロイヒトなんじゃなかったか？」

「よく覚えてるわね？」

「何か頭に残ってるんだよな。」

「ふふ…うれしいわ。」

「さいですか。」

「私も覚えてるわ」

「そうか。」

「楽しい記憶は残りにくいって言うけどね。」


「あぁ……何かそういうよな。」

「まぁ楽しくても辛くても大切な人の記憶は残るものよね？」


「まぁ……そうかもな。」

辛い記憶……ね。


「それこそ時間が経てば磁石みたいに簡単に剥がれ落ちてしまうかもしれないけれどね？」



「お、話戻したな？」

何だ？いつもより変態要素が少なくないか？


「でもくっ付けなくなっても磁石を寄せれば磁力を移して引っつけるようになるなんてまるで……」


「ん？」

「倦怠期に入った夫婦が再び燃え上がる！みたいで素敵よね？」


「どういう事だってばよ！？」

「育児とかで疲れた夫婦が再び身を寄せて……みたいなことよ！」


「分かったから力説やめい！」

「まぁ、私の場合……」

「な、なんだよ？」

「死にかけてもダイブするけど秋兎くんに！」


「ダイブ！？」

「〇パンダイブを！」

「ル〇ンダイブ！？」

「あら、知らない？あの不二子にやる……」

「いや、知ってはいる！だが……」

「何よ秋兎くんからやりたい？……いえヤリたい？」


「片仮名にするな！」

「でも多分反発するわね」

「なぜ！？」

嫌なのか……ｶﾞｸｯ

「磁石だけにツンデレが発動するのよ」

「……どゆこと？」

「だから……磁石だけに」

「ん？」

「裏を返せば引っ付くってね！」ﾄﾞﾔｯ

「さほど上手くねぇよ！」