拒絶少女は世界を拒絶する

また手を

届かない声

…なるほど深花ちゃんも気付いたみたいだね



「はぁはぁ…」

「苦しそうだなザコ男…許してやらないけどな？」

「そうかい…」

いやぁ…確かに苦しいな
あんまりここでダメージ貰いたく無いんだけどな…


「…さて、決着を着けようか三下君？」

「いいぜ…そろそろ中のやつも追いかけなきゃいけないしなぁ！」


「同じくだ…初めて意見が合ったな三下君…」

僕は息を思いっきり吸い込み出きるだけ大きな声で

「次で終わらせる！！」

と、叫んだ


「やかましいな…ザコ男！」

三下君がこちらに腕を振り下ろす
僕はそれをかわしながらおそらく
同じ考えであろう深花ちゃんの方に向かう


「なんだぁ？女に助けを求めるのかぁザコ男！」

「あぁ…そうだよ」

「情けないなぁ！ザコ男！」

「おいおい、そりゃ男女差別だぜ？知らないだろ…女性は怖いんだぜ？特に…」


僕は後ろを確認し三下君が腕を振ったタイミングで
再び避けて


「特に僕の仲間の女達はな。」

「深花は優しいよ！？」

深花ちゃんは大声で突っ込みをいれてきた
何をおっしゃる


「こんなこと考え付く子が怖くない筈無いでしょ！」

僕が避けた後ろには例の女の子が居た
見えない針はガッツリと女の子の腕に食い込んだ


「な、なに！？」

「調子に乗ってるから周りが見えないんだよ三下君？」


三下君が女の子の方に引きづられて行く


「く、くそ！」

「よかったよ三下君…どうやら読み通り針を外さないと次の針は出せないみたいだな？」


「い、糸を切れば良いだけだろ！？」

「なら、早くやればいいさ。」

おそらく本来は針を引っ込めることも
糸をしまうことも出来る能力なのだろう…だが
三下君は能力を得ただけで伸ばさなかった。
応用することをしなかった。
まぁ、時間もなかったし仕方はないが

「能力オモチャを貰ってはしゃぎ過ぎたな…三下君？」


「く、くそ！お、おい！くそ女！離せ！お前なら出来るだろ！？」


「出来るだろうな。」

おそらく彼女は自分に触れた物を吸収する能力だろうが
コントロール出来ないなら地面が無くなってる筈だしな。

「あの子はお前を恨んでるんだろうよ三下君」

「な、何でだよ！？せっかく俺の部下になれたのに！？」

「…人の心が分からないなら残された時間でゆっくり考えたらいいよ…行こうビッキー」


深花ちゃんは僕の背中を押して建物のなかに入ろうとする

「そうゆう訳だ…まぁ最後にゆっくり考えな」

引きづられて涙目の三下君を無感情で見送り
建物に入ると入り口の外から叫ぶ声が聞こえる
罵倒なのか懺悔なのか分からない大声は
しばらくするとそっと消えた