拒絶少女は世界を拒絶する

お姫様の話

優しさ

どれくらい時間がたったのだろう…
気が付くとアタシはリビングの床で横になっていた
嫌な静けさと暗闇がアタシを襲う
知ってるはずのリビングが落ち着かない
まったく安心できない
アタシは取り敢えず電気を付けて椅子に座り
手紙を見て現実だと知る
アタシは手紙を破り捨てキッチンに向かう


「……うん。これでいい」　

アタシは包丁を取り出すと流し台に水を貯めた

「…アタシのお話はここで終わり」

本当にお姫様ならここで王子様でも来てくれたのかな？

アタシはそんな馬鹿なことを考えながら
手首に包丁を当てた。

その時チャイムが鳴った
さっきまでより優しいチャイムに
何を思ったのかアタシは玄関に向かった

優しさに飢えていたのかもしれない…
誰でもいいから優しくして欲しい。

アタシは外を確認すること無く扉を開けた


そこには恵さんが心配そうな顔で立っていた。

アタシの頬を涙が伝って
すごく醜い顔でアタシは泣き叫んだ。


「大丈夫…魅里ちゃん」

「恵さん…アタシ…どうしたら」

「そうだよね…辛かったよね？」

辛かった…死にたいくらいに
でも、恵さんは来てくれた！アタシはそれだけで

「ごめんね…」

恵さんはアタシの頭を撫でながら
にっこりと笑い

「でも、ありがとう…お陰でパパが総理候補筆頭だよ」

と、恵さんはアタシを突き飛ばして出ていった