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ライアの楽しい尾行
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しかし、私もそう2度も過ちは犯さないつもり。
今回は手をついている反対側はがら空きだ。素早く顎から手を弾き、滑るようにその場から抜け出した。
「ライアって結構恥ずかしがり屋だよね。あ!それとも、焦らすのが好きなの?いいよ、気が済むまで追いかけてあげる。」
え?どうしてそうなるの?ジョンの思考が分からない
これはもう無視できない。背中は汗でびっしょりなのに、口の中はカラカラに乾いている。きっと顔色も悪いだろうに、ジョンは気にせずゆっくり近づいてくる。
足が覚束なくなり、自分の足に引っ掛けて尻もちを着いてしまった。
ガッ!
「ひゃっ!!」「いたっ!え?」
路地のわきから出てきた誰かが、私の足につまづいてジョンに倒れ込んだ。ジョンはそのままその人を抱きとめたまま、驚いて固まっている。
「あ…!お二人ともごめんなさい!急いで今日の売上を預けなくちゃいけなくて、前を見てなかった。ジョン君が居なかったら小銭をばら蒔いていた所だった。ありがとう!」
「あ、うん。マリちゃんが転ばなくて良かったよ。」
「ふふふっジョン君っていつも助けてくれるよね。……私ね、いつもジョン君のことカッコイイなって思ってるんだ。」
「え!あ、あらがとう。」
「わ!私こんな路地裏で何言ってるんだろう!……でも、ここで言っちゃったからそういう運命なんだよね、うん。女は度胸だ!」
マリはジョンに支えてもらっている胸からそっと離れて、ジョンの両頬に手を添えると、真っ直ぐ見つめ、思いっきり触れるだけのキスをした。
「これで分かると思うけど、ジョン君の事が好きです!今すぐじゃなくても良い、私を彼女にして下さい!」
「え!?え……でも、俺…ライア……」
そう言うと、困った様にジョンはライアを見た。つられてマリもライアを見つめ
「え?ライアさんと付き合ってるんですか?」
マリは純粋に驚いた様子で聞いた。
「いいえ、申し訳ないけど、今お断りしたの。」
「でも!それは俺に追いかけて欲しいからであって…!」
「ジョン君ライアさんが好きだったんだね。分かるよ。綺麗だし、優しいもん。」
「あ…うん。だから…マリちゃんご」
「でも振られちゃったんだ。」
「え?振られ…?」
「うん。そうだよね?だから、今すぐは無理かもしれないけど、私のことも考えてくれたら嬉しいな。」
「振られた…」
「必ず願いが叶うって事がないのは悲しいよね…私が話聞くよ。」
初めはジョンに支えられていたマリだったが、マリがジョンの手を握って背中を撫でながら歩き出していた。その間、ジョンは呆然として何も聞こえず、マリに導かれるままに歩いていた。
すれ違う際に、マリがウインクして、売上の入った皮袋を渡してきた。
「2人とも間に合って良かった。ライアさん、悪いんだけど、売上金預けて貰ってもいい?」
マリはどこからどこまで分かっていたんだろう…加えて強か、というか何と言うか…。色々すごい子だわ。
私は売上金を領の売上管理所に預けて、皮袋をマリの家…牧場直売店に返すために向かった。
「お疲れ様~」
「1人だけ逃げて。最低。」
「あっちは中々進まなそうだから、こっちに来ようとしたらライアさんが歩いてた。」
「またどっかから見てたんでしょ?」
「残念、間に合わなかった~」
多分見ていただろうな。それに、手の震えが止まらないのも分かっているだろうに。何も触れずにいつもの軽口をしてくれる。
有難い友達を持った私は幸せかもね。
「この後ご飯食べて帰るかー。我が屋敷に。」
「ふふっ。マリちゃんの家に皮袋返してからご飯食べに行こうか。」
「なんでマリちゃん?ま、いっか!あそこで牛乳買って飲もうよ。」
「いいねー」
遠くの方の木の影で、男女が2人座っているのが微かに見える。ジョンとマリちゃんかな。
まだ少し怖いけど、2人には幸せになって欲しいから上手くいってくれるといいな……
今回は手をついている反対側はがら空きだ。素早く顎から手を弾き、滑るようにその場から抜け出した。
「ライアって結構恥ずかしがり屋だよね。あ!それとも、焦らすのが好きなの?いいよ、気が済むまで追いかけてあげる。」
え?どうしてそうなるの?ジョンの思考が分からない
これはもう無視できない。背中は汗でびっしょりなのに、口の中はカラカラに乾いている。きっと顔色も悪いだろうに、ジョンは気にせずゆっくり近づいてくる。
足が覚束なくなり、自分の足に引っ掛けて尻もちを着いてしまった。
ガッ!
「ひゃっ!!」「いたっ!え?」
路地のわきから出てきた誰かが、私の足につまづいてジョンに倒れ込んだ。ジョンはそのままその人を抱きとめたまま、驚いて固まっている。
「あ…!お二人ともごめんなさい!急いで今日の売上を預けなくちゃいけなくて、前を見てなかった。ジョン君が居なかったら小銭をばら蒔いていた所だった。ありがとう!」
「あ、うん。マリちゃんが転ばなくて良かったよ。」
「ふふふっジョン君っていつも助けてくれるよね。……私ね、いつもジョン君のことカッコイイなって思ってるんだ。」
「え!あ、あらがとう。」
「わ!私こんな路地裏で何言ってるんだろう!……でも、ここで言っちゃったからそういう運命なんだよね、うん。女は度胸だ!」
マリはジョンに支えてもらっている胸からそっと離れて、ジョンの両頬に手を添えると、真っ直ぐ見つめ、思いっきり触れるだけのキスをした。
「これで分かると思うけど、ジョン君の事が好きです!今すぐじゃなくても良い、私を彼女にして下さい!」
「え!?え……でも、俺…ライア……」
そう言うと、困った様にジョンはライアを見た。つられてマリもライアを見つめ
「え?ライアさんと付き合ってるんですか?」
マリは純粋に驚いた様子で聞いた。
「いいえ、申し訳ないけど、今お断りしたの。」
「でも!それは俺に追いかけて欲しいからであって…!」
「ジョン君ライアさんが好きだったんだね。分かるよ。綺麗だし、優しいもん。」
「あ…うん。だから…マリちゃんご」
「でも振られちゃったんだ。」
「え?振られ…?」
「うん。そうだよね?だから、今すぐは無理かもしれないけど、私のことも考えてくれたら嬉しいな。」
「振られた…」
「必ず願いが叶うって事がないのは悲しいよね…私が話聞くよ。」
初めはジョンに支えられていたマリだったが、マリがジョンの手を握って背中を撫でながら歩き出していた。その間、ジョンは呆然として何も聞こえず、マリに導かれるままに歩いていた。
すれ違う際に、マリがウインクして、売上の入った皮袋を渡してきた。
「2人とも間に合って良かった。ライアさん、悪いんだけど、売上金預けて貰ってもいい?」
マリはどこからどこまで分かっていたんだろう…加えて強か、というか何と言うか…。色々すごい子だわ。
私は売上金を領の売上管理所に預けて、皮袋をマリの家…牧場直売店に返すために向かった。
「お疲れ様~」
「1人だけ逃げて。最低。」
「あっちは中々進まなそうだから、こっちに来ようとしたらライアさんが歩いてた。」
「またどっかから見てたんでしょ?」
「残念、間に合わなかった~」
多分見ていただろうな。それに、手の震えが止まらないのも分かっているだろうに。何も触れずにいつもの軽口をしてくれる。
有難い友達を持った私は幸せかもね。
「この後ご飯食べて帰るかー。我が屋敷に。」
「ふふっ。マリちゃんの家に皮袋返してからご飯食べに行こうか。」
「なんでマリちゃん?ま、いっか!あそこで牛乳買って飲もうよ。」
「いいねー」
遠くの方の木の影で、男女が2人座っているのが微かに見える。ジョンとマリちゃんかな。
まだ少し怖いけど、2人には幸せになって欲しいから上手くいってくれるといいな……
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