11 / 16
ライアとクリスの楽しい尾行
しおりを挟む
「カノンちゃん!お待たせ。待った?」
「ううん、メイこそそんな汗かく程急がなくて良かったのに。」
「1分でも長く一緒にいたいからね!」
「あはは!嬉しい。」
そのまま2人は待ち合わせの噴水から腕を組んで歩き始めた。もちろん、私とクリスも視界が届くギリギリから観察しつつ歩き始めた。
「結構仲良いね~。付き合って間もないのに。」
「知ってるくせに私に言わせるの本当性格悪いね。まあ、行くところまでは行ってるからそりゃ、仲良いよね。」
「と言いつつ言ってくれるところが好きだよー。」
「ビール片手に串焼き食べながらでなければ90点。」
「格好は同じなのに。あとの10点はなんで?」
「雰囲気作りと顔。」
から笑いをしながら尾行を進めた。
カフェに入っていく二人の後同じく入り、ピスタチオのケーキとダージリンを頼む。クリスは相変わらずビールとコーヒーを頼んだ。
「ビールとコーヒーって合うの?」
「好きな物なら飲みん混んでから次を口にするし、合わないって事は無いんじゃない?タラコとトマトの組み合わせ以外なら。」
「確かにタラコとトマトは合わない…苦くなるしね。」
そんな世間話をしている後ろで、同じく尾行相手も世間話をしていた。
「ねえねえ、結婚したら子供って何人欲しい?」
早っ!!!
これには私とクリスの心が一致した。
「そうだねぇ。この前のは危うかったよね。欲しいけど今出来たら色々大変だから、その時の状況次第でかな。」
「確かに。この前出来ちゃったかと思った!流石に私もまだ仕事辞めたくないから焦った!」
「それも、そうだけど……」
言い淀むメイを不思議そうに見つめる。暫く下を向いていたメイが顔を上げ、カノンと視線が合わさった。
その目には薄ら涙の膜が被っていた。
「メイ、ど、どうしたの?」
「カノン、俺の事好きだよね?」
「なんでそんな事聞いてるの?1番大好きに決まってるじゃん!」
「そうだよね…へへっ。」
「何かあったの…?」
カノンが手を握ろうと伸ばした手はメイに届くことはなかった。
「カノン?とメイ?」
届く前にある声で止まってしまったから。
メイは止まった手を見たがら一瞬酷く悲しい顔をした。しかし、声の方に顔を向けていたカノンが気づくことは無かった。
「マーロンさん、どうしたんですか?」
「メイそんな不機嫌にならなくていいよ、仲良さそうな2人が居たから声掛けただけだし。カノンちゃんとは仲良い同僚だしさ!」
「あ、ありがとう!今デート中なの。」
「へぇ!いいねぇ!カノンちゃんの可愛さでメイはもっと夢中になりそうだねー!」
「マーロン、何言ってるの?あはは」
こういうのは全く火の粉がかからず、尚且つ現場で見ているから楽しいものがある。
優雅に音を立てずにカップを置く。
「コーヒーが美味しい。こうなるならビール残しておくんだった。」
「本っ当性格悪い」
「人のこと言えないでしょ。」
ピスタチオがカリッと口の中で砕ける音がした。
「カノンちゃん、ちょっとごめん!トイレ行ってくる!」
「分かった!待ってるね。」
「ありがとう!」
メイは笑顔でお礼を言うと、早足でトイレの方向に向かった。ライア達の横を通り過ぎる時には、笑顔が悲しみに崩れる間際が見て取れた。
メイが居なくなると、マーロンはメイが来るまで。と言ってカノンの隣に座った。
「ごめんね、お邪魔だったかな?でもカノンちゃん可愛いくて心配だから、メイが戻ってくるまで居させて?」
「そう言われたら断れないよ。でもありがとう。」
「実を言うとさ、ちょっと相談があって…カノンちゃんは1番仲良いから…」
「えと、どうしたの?」
「彼女とね、別れそうなんだ。」
「え……?あんなに仲良かったのに。」
「カノンに彼氏が出来て、こんなこと言うのも卑怯かもしれないんだけど、イラッとした…それが伝わってたのかな。最近ギクシャクしちゃって。」
悲しそうに下を向くマーロンだが、はっとした表情でカノンに向き合った。
「あ!いや。ごめん!前に告白してくれて、予想以上に早く仲良くなったのに着いていけなかった俺がダメだっただけなんだけど!カノンちゃんは気にしないで!」
「あ…うん…」
「前に部屋に来てくれた時もカノンちゃんが可愛くて…」
何グチグチ言ってるんだろう?!と明るくカノンに言い直したところで、メイが帰ってきた。
「カノンちゃんはメイと仲良くなっ!メイ!カノンちゃんまだかまだかってソワソワしてたぞ~!」
「そうなんですか?カノンちゃん、お待たせ!」
「あ…あ、おかえり!メイ!」
「やっぱり姫にはナイトがいないと!じゃあまた明日!」
颯爽と店から出ていくマーロンが、さっと2人のお会計をして出ていった。
「大方所詮ナイト止まりの王子にはなれないよってやつ?」
「うーわー。とんでもない奴やな。」
「こんにちはー!追加のいちごですー!」
「急にごめんね、いつもありがとう。」
「いえいえ!こちらこそ!それじゃあ、またお願いしますー!」
この声って…
「ライア?最近全然会えないから忙しいんだと思ってたんだ!手紙届いてなかった?」
「あ…ジョン。久しぶり…」
どうしよう!どうしよう!あからさまに避けてはいたんだけど、これをどう対処しようか迷ってただけだし…
「やっぱりライアの身内としては心配でさ。」
「は?」
「え?」
やっぱりか!
「え…と。私は告白されてもいないし、してもないし…約束もしてな……」
待って!今店内!どうしたらとりあえず切り抜けられる?!
「それに今クリスさんと居るから!」
ビシッと指をさして示すと、ジョンもクリスに目を向けた。
「クリスさん、ですか?初めまして!知り合いにも同じ名前の人が居るんですよ!」
え?何を言っているの?この人。
疑問に思いつつクリスの方を見ると、スカートになってる!なんで?!口元は扇子で隠してるし、確かに女性に見えるかも…
「あ…と。ここじゃなんだから、外出ようか。ライア借りていきますね。」
クリスが満面の笑みで手を振っている…私もコンテンツにしようとしてるわ。
ジョンが手を引いてクリスを見なくなると、クリスはチロっと舌を出してスカートの裾をめくった。中には先程まで履いていたズボンの裾が…どっちにもなるデザインだったのね…しかしよく見つけたわね。あのデザイン。
そう思っているとずんずん手を引いて人気のない所に向かって行った。
「ジョン。待って。」
「ねぇ、なんで手紙に返事してくれないの?俺、彼氏だよね?」
「待ってジョン。その前提がおかしいの。」
「何が?あの夜あんなに愛し合ったのに。」
「ねぇ、私一言もあの夜も誘ってないし、彼氏の約束もしてないわ。」
まっすぐ目を見て伝えるが、あまり聞いていないようだ。
「え、でも。あそこまでしたら彼氏だよね?」
「……っそれはあなたが物理的に見えなくしてほとんど無理矢理だったでしょ。」
「だって、女の子ってリードされるのが好きなんじゃないの?」
「お互いの合意があってリードならいいと思うわ。でも、あんなのレイプよ。」
「なんで?ライアは乗り気じゃ無かったの?」
「ええ。全く。」
「……そっか…。それはごめんね。」
分かってくれたのかな…?ジョンは元々悪い人じゃないし、噛み砕いて話せば普段は通じる人だから…
「じゃあ、俺と付き合って下さい!」
通じてなかったー。何がじゃあ、なのかしら。でもまずこれに返事をしなくちゃかな…。
「えと…ごめんなさい…。」
「なんで?ライア、俺の事好きだよね?」
「知り合いとしては好きだけど、付き合えない。ごめんなさい。」
「なんで?嫌いじゃないなら付き合おうよ。あとからもっと好きになるかもしれないよ?」
ジョンがジリジリ近づいてくるため、後ろに下がるが、すぐ壁に当たってしまう。
「ストップ、ジョン。嫌いじゃないけど、好きになる可能性が低いの!だから付き合えない!」
そういうと、ジョンは進むのを止めて、壁に手を付きながら考える仕草をしていた。
「んー。という事は、今は付き合えないか。じゃあ、しょうがない。待ってあげるから、セフレは?」
妙案だ!という顔で発言してくるが、どこから見たら妙案なのだろう。
「ねえ、駄目?」
そう言いながら、ライアの顎を上に上げ、視線は唇に注いでいる。
え!?無理無理無理無理無理無理!!
「ううん、メイこそそんな汗かく程急がなくて良かったのに。」
「1分でも長く一緒にいたいからね!」
「あはは!嬉しい。」
そのまま2人は待ち合わせの噴水から腕を組んで歩き始めた。もちろん、私とクリスも視界が届くギリギリから観察しつつ歩き始めた。
「結構仲良いね~。付き合って間もないのに。」
「知ってるくせに私に言わせるの本当性格悪いね。まあ、行くところまでは行ってるからそりゃ、仲良いよね。」
「と言いつつ言ってくれるところが好きだよー。」
「ビール片手に串焼き食べながらでなければ90点。」
「格好は同じなのに。あとの10点はなんで?」
「雰囲気作りと顔。」
から笑いをしながら尾行を進めた。
カフェに入っていく二人の後同じく入り、ピスタチオのケーキとダージリンを頼む。クリスは相変わらずビールとコーヒーを頼んだ。
「ビールとコーヒーって合うの?」
「好きな物なら飲みん混んでから次を口にするし、合わないって事は無いんじゃない?タラコとトマトの組み合わせ以外なら。」
「確かにタラコとトマトは合わない…苦くなるしね。」
そんな世間話をしている後ろで、同じく尾行相手も世間話をしていた。
「ねえねえ、結婚したら子供って何人欲しい?」
早っ!!!
これには私とクリスの心が一致した。
「そうだねぇ。この前のは危うかったよね。欲しいけど今出来たら色々大変だから、その時の状況次第でかな。」
「確かに。この前出来ちゃったかと思った!流石に私もまだ仕事辞めたくないから焦った!」
「それも、そうだけど……」
言い淀むメイを不思議そうに見つめる。暫く下を向いていたメイが顔を上げ、カノンと視線が合わさった。
その目には薄ら涙の膜が被っていた。
「メイ、ど、どうしたの?」
「カノン、俺の事好きだよね?」
「なんでそんな事聞いてるの?1番大好きに決まってるじゃん!」
「そうだよね…へへっ。」
「何かあったの…?」
カノンが手を握ろうと伸ばした手はメイに届くことはなかった。
「カノン?とメイ?」
届く前にある声で止まってしまったから。
メイは止まった手を見たがら一瞬酷く悲しい顔をした。しかし、声の方に顔を向けていたカノンが気づくことは無かった。
「マーロンさん、どうしたんですか?」
「メイそんな不機嫌にならなくていいよ、仲良さそうな2人が居たから声掛けただけだし。カノンちゃんとは仲良い同僚だしさ!」
「あ、ありがとう!今デート中なの。」
「へぇ!いいねぇ!カノンちゃんの可愛さでメイはもっと夢中になりそうだねー!」
「マーロン、何言ってるの?あはは」
こういうのは全く火の粉がかからず、尚且つ現場で見ているから楽しいものがある。
優雅に音を立てずにカップを置く。
「コーヒーが美味しい。こうなるならビール残しておくんだった。」
「本っ当性格悪い」
「人のこと言えないでしょ。」
ピスタチオがカリッと口の中で砕ける音がした。
「カノンちゃん、ちょっとごめん!トイレ行ってくる!」
「分かった!待ってるね。」
「ありがとう!」
メイは笑顔でお礼を言うと、早足でトイレの方向に向かった。ライア達の横を通り過ぎる時には、笑顔が悲しみに崩れる間際が見て取れた。
メイが居なくなると、マーロンはメイが来るまで。と言ってカノンの隣に座った。
「ごめんね、お邪魔だったかな?でもカノンちゃん可愛いくて心配だから、メイが戻ってくるまで居させて?」
「そう言われたら断れないよ。でもありがとう。」
「実を言うとさ、ちょっと相談があって…カノンちゃんは1番仲良いから…」
「えと、どうしたの?」
「彼女とね、別れそうなんだ。」
「え……?あんなに仲良かったのに。」
「カノンに彼氏が出来て、こんなこと言うのも卑怯かもしれないんだけど、イラッとした…それが伝わってたのかな。最近ギクシャクしちゃって。」
悲しそうに下を向くマーロンだが、はっとした表情でカノンに向き合った。
「あ!いや。ごめん!前に告白してくれて、予想以上に早く仲良くなったのに着いていけなかった俺がダメだっただけなんだけど!カノンちゃんは気にしないで!」
「あ…うん…」
「前に部屋に来てくれた時もカノンちゃんが可愛くて…」
何グチグチ言ってるんだろう?!と明るくカノンに言い直したところで、メイが帰ってきた。
「カノンちゃんはメイと仲良くなっ!メイ!カノンちゃんまだかまだかってソワソワしてたぞ~!」
「そうなんですか?カノンちゃん、お待たせ!」
「あ…あ、おかえり!メイ!」
「やっぱり姫にはナイトがいないと!じゃあまた明日!」
颯爽と店から出ていくマーロンが、さっと2人のお会計をして出ていった。
「大方所詮ナイト止まりの王子にはなれないよってやつ?」
「うーわー。とんでもない奴やな。」
「こんにちはー!追加のいちごですー!」
「急にごめんね、いつもありがとう。」
「いえいえ!こちらこそ!それじゃあ、またお願いしますー!」
この声って…
「ライア?最近全然会えないから忙しいんだと思ってたんだ!手紙届いてなかった?」
「あ…ジョン。久しぶり…」
どうしよう!どうしよう!あからさまに避けてはいたんだけど、これをどう対処しようか迷ってただけだし…
「やっぱりライアの身内としては心配でさ。」
「は?」
「え?」
やっぱりか!
「え…と。私は告白されてもいないし、してもないし…約束もしてな……」
待って!今店内!どうしたらとりあえず切り抜けられる?!
「それに今クリスさんと居るから!」
ビシッと指をさして示すと、ジョンもクリスに目を向けた。
「クリスさん、ですか?初めまして!知り合いにも同じ名前の人が居るんですよ!」
え?何を言っているの?この人。
疑問に思いつつクリスの方を見ると、スカートになってる!なんで?!口元は扇子で隠してるし、確かに女性に見えるかも…
「あ…と。ここじゃなんだから、外出ようか。ライア借りていきますね。」
クリスが満面の笑みで手を振っている…私もコンテンツにしようとしてるわ。
ジョンが手を引いてクリスを見なくなると、クリスはチロっと舌を出してスカートの裾をめくった。中には先程まで履いていたズボンの裾が…どっちにもなるデザインだったのね…しかしよく見つけたわね。あのデザイン。
そう思っているとずんずん手を引いて人気のない所に向かって行った。
「ジョン。待って。」
「ねぇ、なんで手紙に返事してくれないの?俺、彼氏だよね?」
「待ってジョン。その前提がおかしいの。」
「何が?あの夜あんなに愛し合ったのに。」
「ねぇ、私一言もあの夜も誘ってないし、彼氏の約束もしてないわ。」
まっすぐ目を見て伝えるが、あまり聞いていないようだ。
「え、でも。あそこまでしたら彼氏だよね?」
「……っそれはあなたが物理的に見えなくしてほとんど無理矢理だったでしょ。」
「だって、女の子ってリードされるのが好きなんじゃないの?」
「お互いの合意があってリードならいいと思うわ。でも、あんなのレイプよ。」
「なんで?ライアは乗り気じゃ無かったの?」
「ええ。全く。」
「……そっか…。それはごめんね。」
分かってくれたのかな…?ジョンは元々悪い人じゃないし、噛み砕いて話せば普段は通じる人だから…
「じゃあ、俺と付き合って下さい!」
通じてなかったー。何がじゃあ、なのかしら。でもまずこれに返事をしなくちゃかな…。
「えと…ごめんなさい…。」
「なんで?ライア、俺の事好きだよね?」
「知り合いとしては好きだけど、付き合えない。ごめんなさい。」
「なんで?嫌いじゃないなら付き合おうよ。あとからもっと好きになるかもしれないよ?」
ジョンがジリジリ近づいてくるため、後ろに下がるが、すぐ壁に当たってしまう。
「ストップ、ジョン。嫌いじゃないけど、好きになる可能性が低いの!だから付き合えない!」
そういうと、ジョンは進むのを止めて、壁に手を付きながら考える仕草をしていた。
「んー。という事は、今は付き合えないか。じゃあ、しょうがない。待ってあげるから、セフレは?」
妙案だ!という顔で発言してくるが、どこから見たら妙案なのだろう。
「ねえ、駄目?」
そう言いながら、ライアの顎を上に上げ、視線は唇に注いでいる。
え!?無理無理無理無理無理無理!!
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる