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カノンの過ち
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まずは落ち着いて冷静に状況を把握しなくてはいけないわね。
「カノン、えっと…どこまで?」
私冷静じゃなかった。聞くことが他にあるでしょう!
「しっかりガッツリ最後まで…。あ!でも安心して!避妊はちゃんとしたから!」
そういう問題ではないのよ、と長めのため息がでてしまった。カノンは少し不安げにこちらを見つめてくるため、しっかり今全て聞いた方が良いだろう。
「避妊は完璧ではないんだけど…今はそうじゃなくて………そう!付き合うの?」
「付き合いたいけど、出来ないよ。だって、マーロン彼女いるもん。」
「彼女居るのにカノンに手出したの!?とんでもないクズ男じゃない!」
「いや、でもね、私が誘ったの!どうしようもなく寂しくて…。ライアと一緒に居るのも楽しいし、話聞いてけれて前向きになれたよ。でもね、恋で空いた心は同じ心で埋めないと、ずっとポッカリ空いたままなの。それが私には堪らなく寒い…。」
一筋だけ涙を流したカノンは慌てて拭った。
「マーロンは私に絶対振り向かないって言うのは分かってるの。 だってお酒がないとどんなに誘っても、頭を撫でるまで。ハグもしてくれないんだよ?」
凄いよね、彼女の事は大好きみたい。とケラケラ笑った。
「いつかは諦めなくちゃいけないって分かってる。だけど、それまでは見守ってて。ちゃんと、気持ち整理するから…。」
懇願する様にそう言われると、私にはどうも言えない。
「……分かった…。しんどくなったら私に吐き出しなね?」
「えへへ。ありがとう。ライア大好き!」
どうして、駄目だと分かってるのに進むのだろう。絶対に悲しむ道しか無いのに。
全て恋が引きずり込むのであれば、私にはそんな感情は要らない。
だけど、そこまでの激情を私は知らない。少し…カノンが羨ましくもある。
「愚かね」
「うん。でもこんな私も好き。」
そう言って眉を下げて笑ったライアの顔は忘れないだろう。
仕事が終わり気分を変えて、久しぶりに銭湯にでも行こうかと準備をしていると、クリスがやってきた。
「ライアさん、今夜空いてる?」
「銭湯に行く予定だから空いてない。」
「じゃあ、俺も銭湯行くわ。30分で出て。」
「なんで癒しの銭湯で急かされなくちゃいけないの。だったら行かないわ。」
なんだか誘導された様で癪だが、飲み屋に行く事になった。
仕事終わりの執事やメイド達の溜まり場になっているこの居酒屋は、落ち着いていて居心地がいいのだが、今日は冒険者達が集う方の店に来ている。
というのも、こちらの方が個室も充実しているため、秘密が漏れる心配が少ない。
「カノンさんから話聞いた?」
「聞いたよ。何となくざっくりと。でも、私は手出しする事は無いかな。」
そう言ってビールを煽った。二口目を飲もうとしたが、クリスに取られ、代わりに赤ワインが渡された。
「苦手なんじゃないの?ビールの苦味。」
……なんでバレた?
「いつも一瞬嫌そうに顔を顰めてるの気づいてなかった?」
「知らなかった…。今度から気をつける。」
「そういう事じゃないんだけど…まあそれは今話す事じゃないか。マーロンに彼女がいることは?」
「聞いた。でも好きは止められないって。」
「あぁ。じゃあしょうがないか。うん。」
「なんか、最近カノンの重い空気が伝染してるのか、お屋敷も何となく重いよね。パーティーの準備で疲れてるって言うのもあるんだろうけど。」
「あー。確かにね……分かった!パーティー終わったら俺らも打ち上げしよう!」
「4人で?」
「いや、来れる人全員で!」
いい事思いついた!と言うようにクリスは終始笑顔でその日は帰路に着いた。
お屋敷のお風呂で手早く済ませた後、水を飲もうと厨房に入ると、メイも水を飲んでいた所にでくわし、井戸の水を渡された。
「ライアさん!今日のパーティーの後、打ち上げやるんですよね!俺も参加する事になりました~!」
「あ、そうなの?あと誰が来るか知ってる?」
「あとは…侍女長とか?若いメイドと執事何人かですかね?」
「その中によく入ろうと思ったね。」
「だって楽しそうじゃないですか~!それに、俺が参加して、執事メイドの人達と仲良くなった方が厨房としても仕事やりやすいでしょ!」
まあ……一理、あるかな?
「何の話ですかー?楽しそうですね!」
搬入だったのか厨房から八百屋の息子のジョンがひょっこり顔を出した。
「お疲れ様。パーティー終わったら集まれる人で打ち上げしようと思って。」
「え!楽しそうですね!じゃあ、クズとか余った野菜これから持ってきますよ!」
「本当?ありがとう。クリスさんにも伝えておくわ。」
「ジョンさんも参加しませんか!?みんなでワイワイしましょうよ!」
「え?!メイさん、俺ここの従業員じゃないし…」
「ここで打ち上げする訳じゃないし、大丈夫大丈夫!どうせいつもの居酒屋貸し切ってやろうと思ってたし!」
「それだったら、知り合いの肉専門店はどうですか?オープンしたばっかりなので、宣伝もかねて!」
ジョンとメイのお陰でスルスルと事が決まっていく。こういう物事を決めてまとめるのは才能だな。
「カノン、えっと…どこまで?」
私冷静じゃなかった。聞くことが他にあるでしょう!
「しっかりガッツリ最後まで…。あ!でも安心して!避妊はちゃんとしたから!」
そういう問題ではないのよ、と長めのため息がでてしまった。カノンは少し不安げにこちらを見つめてくるため、しっかり今全て聞いた方が良いだろう。
「避妊は完璧ではないんだけど…今はそうじゃなくて………そう!付き合うの?」
「付き合いたいけど、出来ないよ。だって、マーロン彼女いるもん。」
「彼女居るのにカノンに手出したの!?とんでもないクズ男じゃない!」
「いや、でもね、私が誘ったの!どうしようもなく寂しくて…。ライアと一緒に居るのも楽しいし、話聞いてけれて前向きになれたよ。でもね、恋で空いた心は同じ心で埋めないと、ずっとポッカリ空いたままなの。それが私には堪らなく寒い…。」
一筋だけ涙を流したカノンは慌てて拭った。
「マーロンは私に絶対振り向かないって言うのは分かってるの。 だってお酒がないとどんなに誘っても、頭を撫でるまで。ハグもしてくれないんだよ?」
凄いよね、彼女の事は大好きみたい。とケラケラ笑った。
「いつかは諦めなくちゃいけないって分かってる。だけど、それまでは見守ってて。ちゃんと、気持ち整理するから…。」
懇願する様にそう言われると、私にはどうも言えない。
「……分かった…。しんどくなったら私に吐き出しなね?」
「えへへ。ありがとう。ライア大好き!」
どうして、駄目だと分かってるのに進むのだろう。絶対に悲しむ道しか無いのに。
全て恋が引きずり込むのであれば、私にはそんな感情は要らない。
だけど、そこまでの激情を私は知らない。少し…カノンが羨ましくもある。
「愚かね」
「うん。でもこんな私も好き。」
そう言って眉を下げて笑ったライアの顔は忘れないだろう。
仕事が終わり気分を変えて、久しぶりに銭湯にでも行こうかと準備をしていると、クリスがやってきた。
「ライアさん、今夜空いてる?」
「銭湯に行く予定だから空いてない。」
「じゃあ、俺も銭湯行くわ。30分で出て。」
「なんで癒しの銭湯で急かされなくちゃいけないの。だったら行かないわ。」
なんだか誘導された様で癪だが、飲み屋に行く事になった。
仕事終わりの執事やメイド達の溜まり場になっているこの居酒屋は、落ち着いていて居心地がいいのだが、今日は冒険者達が集う方の店に来ている。
というのも、こちらの方が個室も充実しているため、秘密が漏れる心配が少ない。
「カノンさんから話聞いた?」
「聞いたよ。何となくざっくりと。でも、私は手出しする事は無いかな。」
そう言ってビールを煽った。二口目を飲もうとしたが、クリスに取られ、代わりに赤ワインが渡された。
「苦手なんじゃないの?ビールの苦味。」
……なんでバレた?
「いつも一瞬嫌そうに顔を顰めてるの気づいてなかった?」
「知らなかった…。今度から気をつける。」
「そういう事じゃないんだけど…まあそれは今話す事じゃないか。マーロンに彼女がいることは?」
「聞いた。でも好きは止められないって。」
「あぁ。じゃあしょうがないか。うん。」
「なんか、最近カノンの重い空気が伝染してるのか、お屋敷も何となく重いよね。パーティーの準備で疲れてるって言うのもあるんだろうけど。」
「あー。確かにね……分かった!パーティー終わったら俺らも打ち上げしよう!」
「4人で?」
「いや、来れる人全員で!」
いい事思いついた!と言うようにクリスは終始笑顔でその日は帰路に着いた。
お屋敷のお風呂で手早く済ませた後、水を飲もうと厨房に入ると、メイも水を飲んでいた所にでくわし、井戸の水を渡された。
「ライアさん!今日のパーティーの後、打ち上げやるんですよね!俺も参加する事になりました~!」
「あ、そうなの?あと誰が来るか知ってる?」
「あとは…侍女長とか?若いメイドと執事何人かですかね?」
「その中によく入ろうと思ったね。」
「だって楽しそうじゃないですか~!それに、俺が参加して、執事メイドの人達と仲良くなった方が厨房としても仕事やりやすいでしょ!」
まあ……一理、あるかな?
「何の話ですかー?楽しそうですね!」
搬入だったのか厨房から八百屋の息子のジョンがひょっこり顔を出した。
「お疲れ様。パーティー終わったら集まれる人で打ち上げしようと思って。」
「え!楽しそうですね!じゃあ、クズとか余った野菜これから持ってきますよ!」
「本当?ありがとう。クリスさんにも伝えておくわ。」
「ジョンさんも参加しませんか!?みんなでワイワイしましょうよ!」
「え?!メイさん、俺ここの従業員じゃないし…」
「ここで打ち上げする訳じゃないし、大丈夫大丈夫!どうせいつもの居酒屋貸し切ってやろうと思ってたし!」
「それだったら、知り合いの肉専門店はどうですか?オープンしたばっかりなので、宣伝もかねて!」
ジョンとメイのお陰でスルスルと事が決まっていく。こういう物事を決めてまとめるのは才能だな。
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