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94.2次男クロードのある意味悪夢(就職先が内定しました、雇用主は弟のアル!)※書籍化未収録を加筆修正しております。✔
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クロードは抱き着いてくるサーシャに嬉しくて仕方がない、かわいい妹の言われるがままに高く持ち上げてみたり、その場で両手を持つとグルグルと回しては喜ばせる。
そこにアルフレッドが歩み寄って来ると真剣な表情で言う。
「クロード兄さんにお願いがあるのですが!」
「なんだ、アルのお願いって……」
クロードはいつもと違う様子のアルフレッドを警戒し始めた。
「王都で官吏になるのは止めてくれませんか?」
「止めろだって!! どういうことだ、分かるように説明してくれ!?」
クロードの声は裏返り、目をパチクリとさせて驚いている。
「信頼できる官吏が必要なんです。だから卒業したらここに就職しませんか? 最低でも王都の官吏並みの給金を保証します。それに能力給も上乗せしますよ!」
アルフレッドはクロードの目を見ながら言った。
「アルって本当に領主になったんだな、領主様、よろしくお願いします!」
クロードはありったけの笑顔でアルフレッドの両手を握った。
「良かったな、アル! な、俺の言った通りだったろ!」
ジェイが得意げに言うと、ふたりの後ろから両手で包み込むように抱きかかえた。
「そうですね。お父様の言われた通りでした。心配して損しちゃいました」
アルフレッドが照れ臭そうに言うといつもの穏やかな表情になった。
「久しぶりに家族が揃いました。今日の夕食は期待していいですよ!」
ソフィアは楽しそうに言うとキッチンに向かう。
「ママ待ってなの、サーシャもお手伝いするの! ベスお願い!」
「ワン!」
ベスはサーシャを乗せてソフィアの後を追う、その後にアルフレッドもついて行く。
しばらくすると室内に蜂蜜や玉ねぎなどの甘い匂いが漂い始めた。キッチンからサーシャとアルフレッドの声が聞こえてくる。
ソフィアの得意料理である鳥の丸焼き蜂蜜掛けがメイン料理だが、具沢山のスープや柔らかそうなステーキ、今まで見たことのない料理も並んでいる。
「お母様の焼いた鳥はいつ食べても美味しいですね! この細長い揚げ物も美味しいです、特にカリカリの食感がおもしろい!」
クロードは確かるようにカリカリといい音を立てて咀嚼した。
「それはじゃがいもを細長くカットして揚げ、塩を振りかけてあるの、フライドポテトって言うのよ! そのカリカリは揚げ過ぎになったのよ」
クロードはコクリと頷き、鳥の盛られた皿にフライドポテトを山盛りに確保し、美味しそうに口に運ぶ。
クロードの食べる様子を満足そうに見ていたソフィアは「たくさんありますよ、遠慮せずに沢山食べなさい!」と言って、鳥の丸焼きを切り分けるとクロードの皿に多めに盛り付けた。
クロードは幸せそうな表情で鳥肉を次々と口に運びペロリと平らげた。
「もう中いっぱいです! もうこれ以上は食べれません!」
そんなによく入るものだと言うような量を食べ切り、お腹を両手で擦りながら満足そうにしている。
「デザートのふわふわパンケーキですよ、沢山あるので遠慮せずに食べてください!」
アルフレッドがふわふわパンケーキの乗ったお皿とぶどうジュースの入ったカップを配って回る。
クロードが少し困った顔をしていたが、家族の美味しそうに食べる姿をしばらく見ていたが、意を決したように、ふわふわパンケーキを切り分けると口に運んだ。
「ふわふわだ! 何これおいしい!」
デザートは別腹と言うが、クロードはお腹を擦りながら一口二口と食べ進め、二枚を完食した。少し悩んでいたがもう一枚に手を伸ばす。
「いつもこんなに美味しい料理を食べているの?」
キツそうな表情をしながらそれでも手を止めようとしないクロード。
「そんなに無理して食べなくても、クロードもここに就職すれば毎日でも食べれるぞ! アルフレッドが作ってくれればだけどな」
ジェイは自分のペースで食べ進めており、クロードを残念そうに見ながら言った。
「まだ卒業までかなりあるから……でも、ここに就職すれば王都より美味しい食事が食べれそうですね!」
クロードは会話しながらも、ふわふわパンケーキを食べる手を止めようとしない。食べやすい大きさに切り分けては口に放り込む。
その夜、クロードは部屋で苦しんでいた。誰がどう見ても食べ過ぎだ。
「はぁ! 食べ過ぎた! お腹痛い! アルの料理美味しかったな! アルと仲よくしておいてよかったよ……しかし、アルが子爵だなんてビックリだ! ふぅ!」
アルに癒しの魔法を行使してもらう事となり、叱られたのは真夜中過ぎのことだった。
そこにアルフレッドが歩み寄って来ると真剣な表情で言う。
「クロード兄さんにお願いがあるのですが!」
「なんだ、アルのお願いって……」
クロードはいつもと違う様子のアルフレッドを警戒し始めた。
「王都で官吏になるのは止めてくれませんか?」
「止めろだって!! どういうことだ、分かるように説明してくれ!?」
クロードの声は裏返り、目をパチクリとさせて驚いている。
「信頼できる官吏が必要なんです。だから卒業したらここに就職しませんか? 最低でも王都の官吏並みの給金を保証します。それに能力給も上乗せしますよ!」
アルフレッドはクロードの目を見ながら言った。
「アルって本当に領主になったんだな、領主様、よろしくお願いします!」
クロードはありったけの笑顔でアルフレッドの両手を握った。
「良かったな、アル! な、俺の言った通りだったろ!」
ジェイが得意げに言うと、ふたりの後ろから両手で包み込むように抱きかかえた。
「そうですね。お父様の言われた通りでした。心配して損しちゃいました」
アルフレッドが照れ臭そうに言うといつもの穏やかな表情になった。
「久しぶりに家族が揃いました。今日の夕食は期待していいですよ!」
ソフィアは楽しそうに言うとキッチンに向かう。
「ママ待ってなの、サーシャもお手伝いするの! ベスお願い!」
「ワン!」
ベスはサーシャを乗せてソフィアの後を追う、その後にアルフレッドもついて行く。
しばらくすると室内に蜂蜜や玉ねぎなどの甘い匂いが漂い始めた。キッチンからサーシャとアルフレッドの声が聞こえてくる。
ソフィアの得意料理である鳥の丸焼き蜂蜜掛けがメイン料理だが、具沢山のスープや柔らかそうなステーキ、今まで見たことのない料理も並んでいる。
「お母様の焼いた鳥はいつ食べても美味しいですね! この細長い揚げ物も美味しいです、特にカリカリの食感がおもしろい!」
クロードは確かるようにカリカリといい音を立てて咀嚼した。
「それはじゃがいもを細長くカットして揚げ、塩を振りかけてあるの、フライドポテトって言うのよ! そのカリカリは揚げ過ぎになったのよ」
クロードはコクリと頷き、鳥の盛られた皿にフライドポテトを山盛りに確保し、美味しそうに口に運ぶ。
クロードの食べる様子を満足そうに見ていたソフィアは「たくさんありますよ、遠慮せずに沢山食べなさい!」と言って、鳥の丸焼きを切り分けるとクロードの皿に多めに盛り付けた。
クロードは幸せそうな表情で鳥肉を次々と口に運びペロリと平らげた。
「もう中いっぱいです! もうこれ以上は食べれません!」
そんなによく入るものだと言うような量を食べ切り、お腹を両手で擦りながら満足そうにしている。
「デザートのふわふわパンケーキですよ、沢山あるので遠慮せずに食べてください!」
アルフレッドがふわふわパンケーキの乗ったお皿とぶどうジュースの入ったカップを配って回る。
クロードが少し困った顔をしていたが、家族の美味しそうに食べる姿をしばらく見ていたが、意を決したように、ふわふわパンケーキを切り分けると口に運んだ。
「ふわふわだ! 何これおいしい!」
デザートは別腹と言うが、クロードはお腹を擦りながら一口二口と食べ進め、二枚を完食した。少し悩んでいたがもう一枚に手を伸ばす。
「いつもこんなに美味しい料理を食べているの?」
キツそうな表情をしながらそれでも手を止めようとしないクロード。
「そんなに無理して食べなくても、クロードもここに就職すれば毎日でも食べれるぞ! アルフレッドが作ってくれればだけどな」
ジェイは自分のペースで食べ進めており、クロードを残念そうに見ながら言った。
「まだ卒業までかなりあるから……でも、ここに就職すれば王都より美味しい食事が食べれそうですね!」
クロードは会話しながらも、ふわふわパンケーキを食べる手を止めようとしない。食べやすい大きさに切り分けては口に放り込む。
その夜、クロードは部屋で苦しんでいた。誰がどう見ても食べ過ぎだ。
「はぁ! 食べ過ぎた! お腹痛い! アルの料理美味しかったな! アルと仲よくしておいてよかったよ……しかし、アルが子爵だなんてビックリだ! ふぅ!」
アルに癒しの魔法を行使してもらう事となり、叱られたのは真夜中過ぎのことだった。
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