異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です

小鳥遊 ソラ(著者名:小鳥遊渉)

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167.1海までの道の周辺調査1(温泉発見)✔ 2024.1.2修正 文字数 前3,412後2,908分割1/2

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 第一騎士団と魔法師団が帰り、訓練場が静かになったな。というか、魔法師団長が帰ってくれたのが大きい。チビが火を吹きでもしたらしゃれにならないからね。

 レックスたちが海まで伐採してくれたから、どんな感じになっているのか一度確認しておきたいんだよ。

《伐採してくれた周辺を空から調査しようと思うんだけど、一緒に行く?》

《肉がないのであろう、オレ様はオークを狩りに行くとしよう! チビとベビも一緒に来るなら狩を教えてやってもいいぞ》

 レックスの言う通りでお肉の在庫がないんだよなー。獲って来てくれないとレックスたちに食べさせる料理が作れない。

《チビ、ベビはどうしたい? どっちについて行く?》

《アルママ! チビも飛ぶ訓練と狩りの訓練をするダォ!》

《今度こそ、ベビがオークを捕まえるノ、レックスおじちゃん、ベビが捕まえるから忘れないでなノ》

《ベビに一番先に狩らせることを約束しよう》

 昨日はレックスが狩ってしまったからだな。それにしても、ベビは目を見張るほどしっかりしてきた。もう完全に親離れしたと言ってもいいのかもしれないな。チビはもう少し頼りないから、早いとこ狩ができるようになって、自信を付けてくれるといいんだけど。

 俺って、どういう訳か前世でも疑問に思うと調べたくなってしまうんだ。同じ卵から生まれてきたから、一卵性の双子で間違いないんだけど、性別も違っているから二卵性になるのか? なんかややこしいな。

 どっちにしても、こんな奇跡は二度と起きないだろうから、今更検証なんてできないんだよなー。こんなことなら、もっと詳細に記録を残しておくべきだった。残念なことをしたよ。これを研究して発表すれば、何かの賞が貰えたかもしれない。

 確証になるようなデータや根拠はないけど、チビとベビの成長速度に差が出た原因は、俺と一緒にいたかどうかが大きく関係していると思っているんだ。

 おっと、自分の世界に入り過ぎていたな。レックスとベビとチビが俺がどうするか、待ってくれていたみたいだ。

《それじゃあ、レックス、チビとベビを頼んだよ》

《任せろ、だが、昨日のこともあるからオークが何匹獲れるかは分からんぞ》

《本当にいい先生が来てくれて助かるよ》

《そうであろう、俺様は教えるのが上手だからな》

 レックスが得意げにしており、チビとベビからは、やる気が伝わってきている。これなら上達するのも早いんじゃないかな。

《ベス、また、留守番させて悪いけど、サーシャのことを頼んだよ!》

《アルフレッド様、任せてください》

《ベスママ、行って来るダォ》

《ママ、行って来るノ》

 チビとベビが飛び上がり海の方向へ猛スピードで飛び去ってしまった。チビもたった一日で、あんなに上手に飛べるようになったんだな。

《待て、オレ様を置いてどこに行く気だ!》

 あとに残されたレックスが、慌てて猛スピードで追いかけ、直ぐに見えなくなってしまった。途中までは行き先は同じだから、俺も後を追うか。

 今日も晴れていて飛行日和だな。昨日は伐採が関係したのか、鳥や獣の鳴き声を聞かなかったが、今日は小鳥の鳴き声が聞えてくる。この声が聞こえるとなんか安心できるんだよなー。きっと、小鳥たちは大きな音に驚いて、どこかに避難していたんじゃないかな。

 どれだけスピードを出しているんだよ。なかなか追いつかないぞ。

 やっとレックスが見えてきた。やっぱり、風の魔法を使って走っているようだな。

《レックス! 今日は調味料を持って来たから、こっちで料理できるからね》

《そうか、オークを運ぶ手間が少なくて済むな》

《お昼頃に集合して食事にしよう!》

《分かった!》

 レックスはチビとベビを追って、左の森の中へと走り去ってしまった。走っているとは思えないほど、レックスのスピードは速い。走るというより滑空しているように見えるな。

 チビとベビはレックスに任せて、俺は小さめの湖に行ってみよう。

 湖面は無風なおかげで一メートルくらいの魚影がよく見えている。マスとかだろうか? これなら川にも生息していてもおかしくないな。レイクトラウトとかブラウントラウト系の可能性が高いんじゃないかな。

 魔法の存在する世界だから、どんな不思議生物が住んでいてもおかしくないが、流石に淡水のマスとかイワナに毒はないだろう、きっと食べれるんじゃないかな。

 釣り竿を持って飛べないため、毛鉤と糸だけを持って来たんだ。毛鉤は川でイワナを釣るために俺が鳥の羽を使って作ったやつなんだけど、湖面に垂らしながら飛行してみよう。釣れるといいんだけど。

 なかなか食いついてくれない、やっぱり、動きが不自然なんだろうね。羽虫が湖面に落ちた動きを再現してみよう。

 一瞬だけど、アタリがあった。なんどか繰り返していると一メートル近い大物が食いついた。糸が丈夫ではないため、切れないか不安なんだよ。ゆっくりと岸に引っ張っているんだけど、抵抗されて寄せることができない。もう少し弱らせないと寄せられないだろうな。

 やっと弱ってきたぞ。段々と岸に近づいている。もう少しだ。

 ザバー、ブチン。

 突然、俺の魚を大きな魚が丸呑みにすると見えなくなってしまった。まさか持っていかれるなんて思っていなかった。あれしか持って来てないから、釣りはここまでだな。

 仕方ない棒手裏剣で仕留めるか。離れた場所まで飛行すると、魚は真上を飛行している俺に気が付いていない。なんてラッキーなんだろう。

 真上なら光の屈折や入水角度の誤差も少ないはずだ。一本だと不安なので三本の棒手裏剣を投擲すると、風魔法でブーストして軌道修正も行う。当たれ!

 棒手裏剣は狙った魚に見事に命中した。急いで回収しよう。ホバリングしながら魚の回収をするのがこんなに難しいとは思っていなかったよ。

 手間取っていたら、また奪われてしまったんだ。危うく俺の手も一緒に食いつかれる寸前だったからね。

 魚は三メートル程で鋭い歯を持っていた。そうだな前世のアリゲーターガーに似ていたかな。

 この湖に入るのは止めておいた方がいいな。人間を呑み込むとは思えないが、引きずり込まれたら溺れ死んでしまいそうだったからな。

 ワニのような顔だったが捕まえてみないと正確なことは言えないな。湖の調査は銛とロープを持参してリベンジしたいな。

 この湖から伸びている川の調査に行こう。川幅は広いところで四メートル程だ。魚もいそうだけど、流れがあって光が反射しており、魚影が見えにくい。

 上空からではワニや大沼ガエルの姿は見えないようだ。こっちも改めて釣り竿を持って来て調査する方がいいだろうな。

 お昼に待ち合わせの約束をしてしまったので、改めて調査に来ることにしよう。

 先程の川から八十キロは離れているだろうか、川の所々から湯気が上がっているように見える。もしかして温泉が湧いている?

 温かいお湯が出ている場所を発見した。きっと、掘れば温泉が出てくるぞ!

 念願の温泉を見つけたぞ。ここに温泉が作りたいな。村から二百八十キロくらいあるのかな? 公衆浴場には離れすぎているけど、温泉の保養地とか別荘なら良さそうだよね。

 将来的に、湯量が確保できるようなら温泉宿とかもいいかもしれない。だけど、途中、森の中で三泊とかは危険すぎて難しそうだな。
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