異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です

小鳥遊 ソラ(著者名:小鳥遊渉)

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380.合同結婚式の準備(二年経過)✔

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 俺は一五歳となり成人の儀も済ませた。これで本当の公爵デビューといえるだろう。

 今までは領地の運営や他国からの相談の対応に追われて、貴族のパーティーなどに出席したことはない。といっても、国内の公爵家からの相談などの対応は行っていたので太いパイプは構築済みなんだけどね。伯爵家や侯爵家からの相談は人命にかかわる場合を除いて控えるようにしているんだ。だって、全部対応していたら過労で……前世のような終わり方はしたくないからね。

 結婚式を心待ちにしていた陛下と王妃様は、準備を着々と進めているとアルテミシア様から聞いている。そう言うアルテミシア様もドレスを仕立てたり、乳液やシャンプーリンスにコンディショナーと美容にも余念がないんだよ。

 パーティーやお茶会で、婚姻前の令嬢から相談されるってアルテミシア様が言っていたな……そうだ、上級貴族を対象にエステサロンとか始めたら流行るんじゃないかな? お店だと警護とか大変になるか……出張エステなら行けるんじゃないかな、アルテミシア様に提案してみようかな?

 王族の結婚式なんて滅多にないから、国民も心待ちにしているらしいんだよ。グラン帝国のエンゲルベルト皇帝の結婚式の時と同じように、結婚特需になるんじゃないかとマシューさんが張り切っているからね。きっと、街の人達も結婚する人が増えるんじゃないかな。

 結婚式なんだけど、スノーレット様も成人するのでクロード兄さんとの結婚式も予定されているんだ。そこで一緒に行うことになったんだよ。

 うちがメダリオン王国の辺境にあるため、数ヶ月の差で何度も集まるのは大変だろうという配慮のためだ。だって集まるメンツがほとんど同じだからお互い疲れなくていいからね。

 今回の結婚式なんだけど、招待状も送っていないのに他国からの要人が出席したいと要望があったんだよ。

 魔法大国アスラダと異神国パズズからは国王と王妃様が、グラン帝国からは皇帝の一家とボルトマン将軍も出席すると言っているんだ。

 正直に言うと断れるなら断りたい、無理なんだけどね。キャスペル殿下の結婚式なら国賓として招待するだろうけど、公爵の結婚式に国賓を呼ぶなんて普通はしないのにな……警備を増やした方がいいだろうな。レックスに頼んで魔狼部隊を警備担当にするかな。

 うちの屋敷に入れるだろうか? 全員は入りきれないな……そうだ、地下シェルターなら千人近く入れる。結婚式で使うとなるとイスとテーブルも置かないといけないから六百人くらいかな? そうと決まれば、イスとテーブルの設置と、殺風景な天井や壁の装飾を土の精霊にお願いしよう。なんか、やることが増えたぞ、もう一度、漏れがないか確認した方がよさそうだな。

 式場を整えて着々と準備が進んでいる。料理は王都のハイルーンのお店から手伝いに来てもらうことになった。これで食事も準備はOKだな。

 お花は魔の森の精霊が育ててくれた。これを土の精霊が造ってくれた洒落たデザインの鉢に入れて運んで来た。当日は地下シェルターに飾るが、それまでは日光を当てるために地上の練習場に出しておく。準備に追われる毎日を送っていたら魔大陸からの参列希望があった。

 各部族から代表者の二名が参加すると言うんだ。どんどんと参加者が増えていくんだけど……それよりも今から出発しても間に合わないよね。と、参加者が少なくなる方向で考えていたら、余裕で間に合うことが分かったんだ。

 パパ龍さんとママ龍さんまで参加すると言ってきており、乗せてくると言っている。俺の念話だが交信距離が飛躍的に向上しており、なんと魔大陸にいるママ龍さんと直接念話できている。と、思ったら世界樹のお陰だそうだ。世界樹を経由して念話しているそうで、あちこちに世界樹を植えればどこでも念話できるようになるみたいだ。だけど、実際には世界樹が育つ条件が厳しいそうで、ここで育つ保証もなかったと精霊の女王様が言っていたからね。

 チビとベビ、ベスとベルまで参加したいと言い出したから服を仕立ててやらなきゃ、間に合えばいいけど、マシューさんに特急で仕立ててもらうようにお願いしなきゃ。あ、パパ龍さんと、ママ龍さんの服も作っておこう、竜のままで参加は止めてもらわないと悲惨な結婚式になりそうだ。

 龍にエルフにドワーフ、獣人まで参加するとなると段々不安になってきたぞ……俺のトラブル体質が仕事をしないことを祈っておくか。

〈女神様、無事に結婚式が終わるように助けてください、お願いします!〉……今回も応えてくれないが大丈夫だろうか?  

 上位種のオーク肉が届いたよ、レックス達が狩って来てくれたんだ。女神様に泣きついて冷凍冷蔵庫を借りたからね。普段口にできないアイスクリームやジェラードも作っちゃうよ。

〈女神様、こういう時だけは応えてくれるんですね! 報酬はアイスクリームがいいですか? それともジェラードがいいですか?〉

〈い、意地悪を言わないで両方に決まっているでしょ! ぜ、全部の種類ですよ!! いいですね、そのために冷凍冷蔵庫を貸し出すのですから!〉

 料理の下準備はこれでいいかな? ハイルーンのお店の料理人も到着したから大丈夫だよね。

 お酒もワインにグラッパにブランデーを準備したし、魔力水も大量に創ったしジュースも準備OKだな。

 キャスペル殿下の婚約相手になりそうな出席者は……ゼロか。

 グラン帝国のエンゲルベルト皇帝の家族くらいしか未婚者はいないからな、歳の差婚の珍しくない貴族社会でも流石に離れすぎているから婚約は無理だな。

 次回、キャスペル殿下のために婚活パーティーを計画するかな、だけど開いても本人が結婚する気ないんだからやりようがないんだよね。このままだと後三年でサーシャが成人してしまうじゃないか、早く探さなきゃ! 

 クロード兄さんはちゃんと準備しているんだろうか? 服とかくらいは自分で準備してくれないと困るんだけどな。マルベリー公爵の所には打ち合わせに行ってるのかな? 不安になってきたぞ。

 スノーレット様は公爵家のお姫様で気が強かったからな……きっとクロード兄さんが尻に敷かれるんじゃないかな、公爵家から男爵家に嫁ぐと色々と違うらしいから心配なんだよね。クロード兄さんの給料を上げてあげないと生活費が足りなくなるかもしれないぞ。マルベリー公爵ならスノーレット様が嫁いでも、仕送りとかしてきそうだよね。

 やっぱりクロード兄さんは肩身が狭くなりそうだな、頑張れクロード兄さん!
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