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323.2 異神国パズズ潜入調査2(無償援助)✔
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今日も異神国パズズの調査にやってきた。ここまでの調査ではチビとベビの思惑は外れ、美味しい食べ物に出会えていない。そのため、チビとベビは美味しいものを食べたいと言っており、まずは市場に行くつもりでいる。そろそろ美味しい食べ物に出会えなければ、ついて来てくれなくなりそうで不安なんだよね。
今日向かうのは魔法大国アスラダとの国境に近い町だ。流行り病を狙った病原菌テロの時には大きな被害が出たと聞いている。
俺が魔法大国アスラダとグラン帝国にはやり病の可能性を伝え、入国を厳しくするように知らせたため、病原菌の侵入を防ぐことができたんだ。
その結果、異神国パズズは、他国と比べて大きな被害を出すことになった。中でも国境の町は特に大きな被害を出している。
だが、病原菌は焼き払ったり、徹底した消毒などで抑え込むことに成功し、今では普通に生活できるまでには回復している。
自国の蒔いた人災だが、国民は何も悪くない。みんな必死に生活しているが、他の国々と比較するとどうしても元気がない。
カットフルーツ以外に、デザートと呼べるようなものは販売されていなかった。きっと、砂糖や小麦粉の入手が難しいのだろう、ゆとりが感じられないんだよね。
「アルママ、美味しそうなものがないダォ!」「ベビもそう思うノ! 美味しいモノが食べたいノ!」
「ごめんよ! 帰りにハイルーンのデザート店に行くから、今はカットフルーツで我慢してよ!」
ふたりに露店売りのフルーツを買い与えた。店員はマチェットを器用に使い、リンゴをカットする。
葉っぱに包んで渡されたカットリンゴを受け取りふたりに渡した。チビとベビは、文句を言いながらも美味しそうに食べている。
その姿を見つめる子供に気が付いた。よく見ると、他にも子供が羨ましそうに見ているじゃないか。追加で注文すると子供に声を掛ける。
勇者や賢者、聖女についてなんでもいいから知っていることはないか訊き、報酬としてカットリンゴを配る。
只で渡すのはできるだけ避けたい、対価として渡したかったんだ。ここで仕事を頼むなんてできない、そこで情報を提供する対価とした。
子供たちに最初は怪しまれたが、ひとりがカットリンゴを受け取ると、直ぐに次から次に話を聞かせてくれるようになった。
前世でやると、怪しい人だよね。簡単に騙されてどこかに連れて行かれるんじゃないだろうか、心配になってしまう。
話してくれた内容は、絵本で見たことのある話ばかりだった。ところが、たった一人、勇者は今もどこかに生きていると言う子がいたんだ。
亡くなった父親が話してくれたそうだが、記載されていた賢者の書物から推定すると、書かれた時期は千年近く前になるんだ。もしも、生きていたら化け物か神様なんじゃないかな。どう考えてもあり得ないんだけどね。
だが、父親はどこかで勇者の何かを読んだか聞いたことがあるのだろう。お父さんの仕事は何をしていたか訊いてみた、するとパズズ城で働いていたんだよ。
異神国パズズの城に勇者の資料が保管されていると考えていたんだが、可能性が上がったよ。
子供たちは、カットリンゴを食べ終わると、蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまった。
明らかに全てのモノが不足しているように見えるんだ、なんとかしてやりたい。
マシューさんも異神国パズズでの商売は気が進まないと言っていたからね。家族を流行り病で亡くした過去があり、その原因を作った国が異神国パズズの邪神教なんだから、その気持ちは理解できる。
マシュー商会が手を出さないため、他の大店や中堅の商会にはチャンスなはずだけど、鼻が利くんだろうね、二の足を踏んでいるらしいんだ。そのため、小さな商会しか取引を行っていないから、量が足りていないんだろうね。
当然、量が少ないから値段も高くなっており、とても庶民の手には届かない、責任はないのにね。このままでは、いけない気がしているんだ。
あまりいい方法ではないのかもしれないけど、無償援助しようかなと考えている。
資金の援助をしても、買える品物が無ければ何も改善しないからね。そこで、塩と砂糖、小麦粉の無償援助を考えているんだ。
外務大臣に任命され、グラン帝国との交渉については一任されている。だけど、その他の国との交渉については陛下に相談する必要があるよね。
俺が、無償譲渡すると相談しても、直ぐに同意してくれるとは思えないんだよ。だって、本来なら、今回のことで異神国パズズから補償されるべきなんだけど、全くされていないからね。だから国交も途絶えたままになっているんだよ。
今回の調査で子供たちの笑顔を取り戻してやりたいと強く感じている。いつまでもこのままにはできないよね。
それに、異神国パズズの城に勇者の資料が保管されている可能性も高くなったからね。友好関係を結んで閲覧許可を貰いたいという思いもあるんだ。
まずは、友好関係を作るきっかけを作らないとね。陛下も俺が購入して届けることにまでは反対はしないんじゃないかな。
国として援助するか、俺個人として援助するかの違いになるんだけど、陛下に相談はしておかないとね。何か言われるのは嫌だから、費用は俺が出すことを提案するよ。これなら、きっと陛下も認めざる負えないでしょ。
『アルフレッド・ハイルーン公爵外務大臣に、異神国パズズとの外交権を一任する。 メダリオン王国 メダリオン三世』
陛下も宰相も、異神国パズズには思うことが色々あるみたいだったが、また一任されてしまったよ。なんかそんな気はしていたんだけどね。
俺はマシュー商会に塩、砂糖、小麦粉を発注し、メダリオン王国の陛下名で届けることを決めた。庶民に配給することを条件に付したよ。運ぶのもメダリオン城の騎士団にお願いして運んだからね。
パズズ城の王族や兵たちは目を丸くして驚いていたよ。騎士団長は面白い物が見れたと帰りに笑っていたからね。
騎士団には付き合わせて申し訳なかったけど、道中も調査することができて助かったよ。やはり、パズズ城が一番怪しい、あそこを調査したいんだけどな。
今日向かうのは魔法大国アスラダとの国境に近い町だ。流行り病を狙った病原菌テロの時には大きな被害が出たと聞いている。
俺が魔法大国アスラダとグラン帝国にはやり病の可能性を伝え、入国を厳しくするように知らせたため、病原菌の侵入を防ぐことができたんだ。
その結果、異神国パズズは、他国と比べて大きな被害を出すことになった。中でも国境の町は特に大きな被害を出している。
だが、病原菌は焼き払ったり、徹底した消毒などで抑え込むことに成功し、今では普通に生活できるまでには回復している。
自国の蒔いた人災だが、国民は何も悪くない。みんな必死に生活しているが、他の国々と比較するとどうしても元気がない。
カットフルーツ以外に、デザートと呼べるようなものは販売されていなかった。きっと、砂糖や小麦粉の入手が難しいのだろう、ゆとりが感じられないんだよね。
「アルママ、美味しそうなものがないダォ!」「ベビもそう思うノ! 美味しいモノが食べたいノ!」
「ごめんよ! 帰りにハイルーンのデザート店に行くから、今はカットフルーツで我慢してよ!」
ふたりに露店売りのフルーツを買い与えた。店員はマチェットを器用に使い、リンゴをカットする。
葉っぱに包んで渡されたカットリンゴを受け取りふたりに渡した。チビとベビは、文句を言いながらも美味しそうに食べている。
その姿を見つめる子供に気が付いた。よく見ると、他にも子供が羨ましそうに見ているじゃないか。追加で注文すると子供に声を掛ける。
勇者や賢者、聖女についてなんでもいいから知っていることはないか訊き、報酬としてカットリンゴを配る。
只で渡すのはできるだけ避けたい、対価として渡したかったんだ。ここで仕事を頼むなんてできない、そこで情報を提供する対価とした。
子供たちに最初は怪しまれたが、ひとりがカットリンゴを受け取ると、直ぐに次から次に話を聞かせてくれるようになった。
前世でやると、怪しい人だよね。簡単に騙されてどこかに連れて行かれるんじゃないだろうか、心配になってしまう。
話してくれた内容は、絵本で見たことのある話ばかりだった。ところが、たった一人、勇者は今もどこかに生きていると言う子がいたんだ。
亡くなった父親が話してくれたそうだが、記載されていた賢者の書物から推定すると、書かれた時期は千年近く前になるんだ。もしも、生きていたら化け物か神様なんじゃないかな。どう考えてもあり得ないんだけどね。
だが、父親はどこかで勇者の何かを読んだか聞いたことがあるのだろう。お父さんの仕事は何をしていたか訊いてみた、するとパズズ城で働いていたんだよ。
異神国パズズの城に勇者の資料が保管されていると考えていたんだが、可能性が上がったよ。
子供たちは、カットリンゴを食べ終わると、蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまった。
明らかに全てのモノが不足しているように見えるんだ、なんとかしてやりたい。
マシューさんも異神国パズズでの商売は気が進まないと言っていたからね。家族を流行り病で亡くした過去があり、その原因を作った国が異神国パズズの邪神教なんだから、その気持ちは理解できる。
マシュー商会が手を出さないため、他の大店や中堅の商会にはチャンスなはずだけど、鼻が利くんだろうね、二の足を踏んでいるらしいんだ。そのため、小さな商会しか取引を行っていないから、量が足りていないんだろうね。
当然、量が少ないから値段も高くなっており、とても庶民の手には届かない、責任はないのにね。このままでは、いけない気がしているんだ。
あまりいい方法ではないのかもしれないけど、無償援助しようかなと考えている。
資金の援助をしても、買える品物が無ければ何も改善しないからね。そこで、塩と砂糖、小麦粉の無償援助を考えているんだ。
外務大臣に任命され、グラン帝国との交渉については一任されている。だけど、その他の国との交渉については陛下に相談する必要があるよね。
俺が、無償譲渡すると相談しても、直ぐに同意してくれるとは思えないんだよ。だって、本来なら、今回のことで異神国パズズから補償されるべきなんだけど、全くされていないからね。だから国交も途絶えたままになっているんだよ。
今回の調査で子供たちの笑顔を取り戻してやりたいと強く感じている。いつまでもこのままにはできないよね。
それに、異神国パズズの城に勇者の資料が保管されている可能性も高くなったからね。友好関係を結んで閲覧許可を貰いたいという思いもあるんだ。
まずは、友好関係を作るきっかけを作らないとね。陛下も俺が購入して届けることにまでは反対はしないんじゃないかな。
国として援助するか、俺個人として援助するかの違いになるんだけど、陛下に相談はしておかないとね。何か言われるのは嫌だから、費用は俺が出すことを提案するよ。これなら、きっと陛下も認めざる負えないでしょ。
『アルフレッド・ハイルーン公爵外務大臣に、異神国パズズとの外交権を一任する。 メダリオン王国 メダリオン三世』
陛下も宰相も、異神国パズズには思うことが色々あるみたいだったが、また一任されてしまったよ。なんかそんな気はしていたんだけどね。
俺はマシュー商会に塩、砂糖、小麦粉を発注し、メダリオン王国の陛下名で届けることを決めた。庶民に配給することを条件に付したよ。運ぶのもメダリオン城の騎士団にお願いして運んだからね。
パズズ城の王族や兵たちは目を丸くして驚いていたよ。騎士団長は面白い物が見れたと帰りに笑っていたからね。
騎士団には付き合わせて申し訳なかったけど、道中も調査することができて助かったよ。やはり、パズズ城が一番怪しい、あそこを調査したいんだけどな。
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