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250.1海図にない島1(釣り)✔
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人魚の島を出向して二週間ほど経った。危険な魔物などの場所が記載された海図のお陰か、魔物に遭遇することも無く順調に進んでいる。これだけ魔物や大きな生物に出会えなければ飢えさせていたかもしれない。やはり、ベビとチビは帰らせて正解だった。
海の精霊に海流の操作方法を教えてもらったので、帆船の航行速度が上がっている。そのお陰で約一ヶ月分の距離を進むことができ、これにはエグザイルエルフたちも驚いている。
海流の操作を頻繁に行うと魔力を使い過ぎて疲れてしまう。そうならないように時間を決めて海流の操作を行うようにしている。
「次の島は魔大陸に向かうまでの最後の補給場所です。そこで、飲み物と野菜や果物を補給する予定です」
並んで釣り糸を垂らしているミルトが話しかけてきた。
「その島は近いの?」
「いつもより早く進んでいるので、そうですね。……後十日もあれば到着するはずです」
「美味しい果物や食べ物があるといいな」
「毎回、アルフレッドは美味しいモノって、言ってますよね」
「それが一番の楽しみだから。ミルトもそう思うでしょ?」
「そうですね。美味しいのが一番ですね。あ! 何か釣れましたよ」
「僕の糸は巻き上げるから」
絡まないように直ぐに糸を回収したが、エサはそのまま付いたままだった。
帆船から釣り糸を垂らしているとシーラが釣れることがあるんだ。これは新鮮な食材を手に入れる方法だ。本当は、ミルトや俺は釣り以外にやることが無いからだけどね。日干したクラーケンを海水で戻してエサにしている。これがシーラに受けがいいようでちょこちょこ釣れる。
ピーンと張った糸をしっかりと手で持ち、切れないように調整して送りだしたり巻き上げたりしている。
「疲れてきました。」
かれこれ五分以上は魚と格闘している。段々魚が弱って来たみたいでミルトの糸を巻くスピードが上がった。見えてきたが、予想したとおりシーラだった。他の魚が釣れないんだよね。釣れたシーラは直ぐに焼いて食べている。
今日もシーラをゲットするためにシルクスパイダーの糸を垂らしていたら、いつもと違う強烈なアタリに糸がどんどんと出ていく。
少し離れた海の上にバショウカジキに似た大きな魚が飛び跳ねた。
「ソードノーズですよ! アルフレッド、絶対に釣り上げてください! あの角は高い値で取引されるんですよ!」
ミルトがメチャクチャ興奮している。見た目はバショウカジキに似ているが、確かに名前の通り鋭い剣が飛び跳ねているように見える。
「あんなのでやられたら糸が切れそうだ!」
糸を切ろうとソードノーズが飛び跳ねている。特殊加工されたシルクスパイダーの糸でなければ直ぐに切れているだろう。糸の残りが少ない。このままでは逃げられてしまう。
「ミルト代わってよ!」
「え! あんなに大きなソードノーズは無理です。引き込まれちゃいます! 誰かアルフレッドに変わってよ!」
エグザイルエルフ達が慌てて走って来ると、釣り糸を代わりに受け取ってくれた。俺はロープの結ばれた銛を掴むとソードノーズにホバリングで飛んで行く。上空に到着した時にソードノーズが飛び跳ねた。俺の直ぐ横を剣のような鋭い角が通り過ぎる。無意識に体が反応し、手に持っていた銛がソードノーズの目に突き刺さっていた。ソードノーズがピクリとして動きを止め、海面に落下していく。ヒヤッとしたが、ロープを手に持ち帆船へとホバリングする。
なんとか捕獲することに成功した。鋭い角だけでも一メートルはある大物だ。全長は五メートル、重さも一トンを越えているだろう。重くて帆船に取り込むのも大変だった。
ミルトが鋭い角を触りながら品定めをしている。
「ソードノーズの角は高い値段で取引されていますので買取させてください!」
「いいよ!」
「ありがとうございます!」
ミルトは根っからの商人だな。ソードノーズは直ぐにウインドスラッシュで三枚におろした。ソードノーズの名前の通り、角は剣のように鋭かった。直ぐに切り離してミルトに手渡す。醤油もあるので刺身にしたかったが、寄生虫が気になる。そこで火で炙るたたきを作ることに決めた。船長から帆船の上では大きな火は使わないようにと言われている。
銛を火魔法で消毒し、適当な大きさにカットしたソードノーズの身を突き刺す。帆を燃やさないように注意しながら、身の刺さった銛を海の上に突き出して火魔法で炙る。香りづけに麦藁があればよかったが帆船に積まれていなかった。次は積んでおきたいな。
カツオのたたきはポン酢醬油で食べるのがいい。そこで醤油とワインビネガーにレモン汁を混ぜ、ポン酢醬油を作る。ソードノーズの身は適度に脂も乗っていて、フレッシュレモン果汁のポン酢醤油で食べるとめちゃくちゃ美味しかった。ポン酢醤油は最高だね。ビタミンCも摂取できるから丁度いい。みんなにも食べてもらおう。他の帆船のエグザイルエルフ達にも届けると大好評で、直ぐにソードノーズのたたきはお腹に収まってしまった。
また、ソードノーズが釣れるといいな!
海の精霊に海流の操作方法を教えてもらったので、帆船の航行速度が上がっている。そのお陰で約一ヶ月分の距離を進むことができ、これにはエグザイルエルフたちも驚いている。
海流の操作を頻繁に行うと魔力を使い過ぎて疲れてしまう。そうならないように時間を決めて海流の操作を行うようにしている。
「次の島は魔大陸に向かうまでの最後の補給場所です。そこで、飲み物と野菜や果物を補給する予定です」
並んで釣り糸を垂らしているミルトが話しかけてきた。
「その島は近いの?」
「いつもより早く進んでいるので、そうですね。……後十日もあれば到着するはずです」
「美味しい果物や食べ物があるといいな」
「毎回、アルフレッドは美味しいモノって、言ってますよね」
「それが一番の楽しみだから。ミルトもそう思うでしょ?」
「そうですね。美味しいのが一番ですね。あ! 何か釣れましたよ」
「僕の糸は巻き上げるから」
絡まないように直ぐに糸を回収したが、エサはそのまま付いたままだった。
帆船から釣り糸を垂らしているとシーラが釣れることがあるんだ。これは新鮮な食材を手に入れる方法だ。本当は、ミルトや俺は釣り以外にやることが無いからだけどね。日干したクラーケンを海水で戻してエサにしている。これがシーラに受けがいいようでちょこちょこ釣れる。
ピーンと張った糸をしっかりと手で持ち、切れないように調整して送りだしたり巻き上げたりしている。
「疲れてきました。」
かれこれ五分以上は魚と格闘している。段々魚が弱って来たみたいでミルトの糸を巻くスピードが上がった。見えてきたが、予想したとおりシーラだった。他の魚が釣れないんだよね。釣れたシーラは直ぐに焼いて食べている。
今日もシーラをゲットするためにシルクスパイダーの糸を垂らしていたら、いつもと違う強烈なアタリに糸がどんどんと出ていく。
少し離れた海の上にバショウカジキに似た大きな魚が飛び跳ねた。
「ソードノーズですよ! アルフレッド、絶対に釣り上げてください! あの角は高い値で取引されるんですよ!」
ミルトがメチャクチャ興奮している。見た目はバショウカジキに似ているが、確かに名前の通り鋭い剣が飛び跳ねているように見える。
「あんなのでやられたら糸が切れそうだ!」
糸を切ろうとソードノーズが飛び跳ねている。特殊加工されたシルクスパイダーの糸でなければ直ぐに切れているだろう。糸の残りが少ない。このままでは逃げられてしまう。
「ミルト代わってよ!」
「え! あんなに大きなソードノーズは無理です。引き込まれちゃいます! 誰かアルフレッドに変わってよ!」
エグザイルエルフ達が慌てて走って来ると、釣り糸を代わりに受け取ってくれた。俺はロープの結ばれた銛を掴むとソードノーズにホバリングで飛んで行く。上空に到着した時にソードノーズが飛び跳ねた。俺の直ぐ横を剣のような鋭い角が通り過ぎる。無意識に体が反応し、手に持っていた銛がソードノーズの目に突き刺さっていた。ソードノーズがピクリとして動きを止め、海面に落下していく。ヒヤッとしたが、ロープを手に持ち帆船へとホバリングする。
なんとか捕獲することに成功した。鋭い角だけでも一メートルはある大物だ。全長は五メートル、重さも一トンを越えているだろう。重くて帆船に取り込むのも大変だった。
ミルトが鋭い角を触りながら品定めをしている。
「ソードノーズの角は高い値段で取引されていますので買取させてください!」
「いいよ!」
「ありがとうございます!」
ミルトは根っからの商人だな。ソードノーズは直ぐにウインドスラッシュで三枚におろした。ソードノーズの名前の通り、角は剣のように鋭かった。直ぐに切り離してミルトに手渡す。醤油もあるので刺身にしたかったが、寄生虫が気になる。そこで火で炙るたたきを作ることに決めた。船長から帆船の上では大きな火は使わないようにと言われている。
銛を火魔法で消毒し、適当な大きさにカットしたソードノーズの身を突き刺す。帆を燃やさないように注意しながら、身の刺さった銛を海の上に突き出して火魔法で炙る。香りづけに麦藁があればよかったが帆船に積まれていなかった。次は積んでおきたいな。
カツオのたたきはポン酢醬油で食べるのがいい。そこで醤油とワインビネガーにレモン汁を混ぜ、ポン酢醬油を作る。ソードノーズの身は適度に脂も乗っていて、フレッシュレモン果汁のポン酢醤油で食べるとめちゃくちゃ美味しかった。ポン酢醤油は最高だね。ビタミンCも摂取できるから丁度いい。みんなにも食べてもらおう。他の帆船のエグザイルエルフ達にも届けると大好評で、直ぐにソードノーズのたたきはお腹に収まってしまった。
また、ソードノーズが釣れるといいな!
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