異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です

小鳥遊 ソラ(著者名:小鳥遊渉)

文字の大きさ
上 下
186 / 415
連載

241.2怪しい帆船2(消えた帆船)✔

しおりを挟む
 爆裂弾を取りに帰り戻って来たら、帆船の姿が無くなっていた。辺りを探してみても見つけることはできなかった。まるで何かに化かされたみたいだ。

 帆船がもう一隻いて、曳航していたなら見失うほどの時間は離れていない。沈んだのであれば帆船の残骸が海に漂っているはずだが、それも見つからなかった。

 どうやって操船したのか不思議でならないが、南側には小さな島が点在している。きっとどこかに帆船を隠すことができるのだろう。

 邪神教の帆船を探すことも重要だが、人魚の未来がかかっている。シーサーペントの討伐を優先しなければならない。早々に帆船を探すことを止め、実験を続けることにした。

 情けないことに、騒動で二隻目のボートを失ってしまった。再度、港まで戻ると三隻目のボートに肉を積み込む。ロープで引っ張って先程の場所まで飛んで来た。

 ボートから海の中にロープで肉をぶら下げる。すると、数分でサメがボートの周りに集まり始めた。

 海の中の肉にサメが喰らいつき暴れている。あまり時間を空けずに十メートルほどのシーサーペント数匹が姿を現した。サメに襲い掛かっている。辺りが血で染まり始めるとどんどんとサメが集まり、シーサーペントも集まる。小さめなシーサーペントは、おおきなサメに襲われているようだ。捕食者同士、入り乱れての戦いになっている。待っていればあの大きなシーサーペントも現れるかもしれない。

 待ってみたが宴は終了し、いつの間にかサメもシーサーペントも姿が見えなくなってしまった。サメは大きなモノは七メートル以上にあり、かなり狂暴でシーサーペントも襲って食べることが分かった。もしかするとメガロドン並みの十メートル~二十メートルの大きさの奴もいるかもしれないな。

 シーサーペントを集める方法も確認することができた。大きなシーサーペントが現れるかどうかについては運次第だな。魔大陸に行くため、この島に長く留まるのは避けたい。明日には計画を実行に移しできるだけ討伐することにしよう。

◇    ◇

 樽にロープを結んだもの用意してもらう。招待してもらった時の大きな樽も含まれている。ロープの反対側の先は大きな輪の状態にしてもらった。

 漁船のなかでも大きいものを準備してもらう。この漁船にも端を輪にしたロープを何本も結び付けている。

 漁船に樽を積み込むと、お肉を積み込んだボートを曳航する。島の南側に漁船を曳航して来たので皆には帆船に移ってもらい退避してもらう。漁船の船縁にロープで結んだ肉をぶら下げる。

 後はシーサーペントが現れるのを待つだけ。漁船の上でのんびりと待つことにする。この漁船の上にもお肉を積み込んでいる。今回のお肉は特別しようだ。ヤドクガエルのような強力な毒と、ウミヘビの強力な毒を人魚から譲り受け、これを肉の中に入れている。

 さらに爆裂弾も、中に鉄の釘や毒も詰めて普段の倍の大きさで製作した。ちゃんと爆発するのかが実験できていないが、毒だけでは心もとないので急いで作成している。

 お出ましのようだ。サメがボートの周りに集まり始めて肉に食いついている。ロープが繋がっているボートが揺れ始めた。

 宴の始まりだ。シーサーペントが現れた。数がだんだんと増えている。そろそろ上空に飛び上がった方がよさそうだ。そう思ったところにシーサーペントの首が海から伸びて来た。危なかった。油断しないように気をつけなければ。

 肉はロープで船にぶら下げているので動いて見える。それが功を奏したのだろう。肉を巻きつけた爆裂弾に喰らいついている。毒の効果はないのだろうか? この毒は食べただけでは無害なのか? それとも体の大きさ的に量が足りないのだろうか? 

 小さなシーサーペントの何匹かがおかしな動きをしている。毒が効いてきたようだな。今のうちに棒手裏剣を投擲して討伐することにした。上空高く飛び上がり急降下から棒手裏剣を射出して急上昇する。シーサーペントの動きがおかしいので、簡単に当てることができた。水魔法が発動できなかったのではないだろうか。

 漁船の周りがシーサーペントで凄いことになり始めた。肉に喰らいついているがロープが結ばれているためグルグルとローリングして引き千切ろうとしている。

 今なら爆裂弾を発動ができそうだ。危険だが船の上に降り立つと爆裂弾を魔力操作した。肉巻き爆裂弾に喰らいついていたシーサーペントの頭が爆発していく。

 一度に六匹ほど倒すことができた。これで十メートル級のシーサーペントを少しは減らすことができたのではないだろうか。 

 なかなか大きなシーサーペントが現れないと思っていたら、昨日の帆船を引っ張って現れた。

 帆船が消えた理由は、シーサーペントに引っ張らせていたからだな。そこまで操ることができるとは思ってもいなかった。
しおりを挟む
感想 894

あなたにおすすめの小説

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。