2 / 5
偉大な婚約者
しおりを挟む「ごめんねフィーネット。君との婚約は破棄することにする」
「─────っ!!」!
お茶をしようと言われて、王子と二人きりで始めたお茶会。
普段なら、嬉しくて嬉しくて生きてて良かったと思えるのだけど、今回ばかりはカーナに「婚約者貰うね。」と言われたので、婚約を破棄されるか不安で不安で仕方なかった。
そんな不安な気持ちで始まったお茶会。
どうか私の思い違いであって欲しいと思いながら、お茶を口にしながらロメン王子と話をしていると、少し話をしたところで婚約破棄の話がロメン王子からされてしまった。
あはは。
あはは。
妹はいつもと同じように、婚約者も奪うことにしたらしい。
冗談であってくれと思っていたが、甘やかせれて育った妹はモラルという物を知らなかったようだ。
期待する私がバカだった。
「本当にごめん。実は、フィーネット以上に君の妹のカーナを物凄く急に好きになってしまって………無理だと思ったけど、このことを父さんやフィーネットのお母さんやお父さんにお伝えしたら、考える間も無く了承してもらって。」
「そ、そうなんですね……」
必死に泣くのを堪えようと言葉を出そうとするけど、どうしても涙が出てしまう。
うぅ……
必死に出てくる涙をハンカチで抑えようとしたら、その前に笑った様子でロメン王子に涙をハンカチで拭かれた。
「ロ、ロメン王子!!?」
「泣かせちゃってごめんね。 実のところいうと、さっきの婚約破棄の話は嘘だ。」
「え?どうして?カーナの魅了にかかったんじゃ………」
「世界一可愛い君の婚約者である僕が、ふしだらなスキル何かに負けるわけないでしょ?僕はもうフィーネットに魅了されているんだ。あんな奴に何か到底魅了されないよ。」
ロメン王子から発せられる言葉に、頰が熱くなってくるのを感じる。
世界一可愛いなんて言われてしまった。
彼の前だからにやけた顔なんて見せたくないので、にやけないように意識するも自然とにやけてしまう。最愛の人に愛の言葉を吐かれて、にやけないようにするのなんて無理だろう。でも、どうしても見られたくない私は手で顔を覆い隠す。
「手で顔を覆い隠しても、真っ赤なお耳が隠せてないよ。そういうところ、やっぱりフィーネットは可愛いね。」
「ちょっ、ちょっと!! ……こ、こっち見ないで下さい。」
耳が赤いことを指摘されて更に恥ずかしくなった私は、耳を手で隠しながら下を向く。端から見れば思い詰めたような人に見えるかもしれないが、彼に私の真っ赤な顔が晒されるのよりは全然いい。彼が私の赤い顔を見て可愛いというのは恥ずかしく、嬉しくもあるのだが、恥ずかしさの方が勝つ。……とりあえず、これで私の顔と耳が赤いのは彼に見られない筈だ。
「耳が赤いのがまだ丸見えだよ。」
「えっ!?」
「嘘だよ。でも、これでまたフィーネットの可愛い赤い耳が見れたよ。」
彼は意地悪そうな顔で楽しそうに笑う。
彼にしてやられてしまった。
……そういえば、どうしてロメン王子は魅了に掛からなかったんだろう?
頰が赤くなっているのを隠すようにして必死に考えていると、私の頰にロメン王子の唇が優しく触れた。
110
お気に入りに追加
136
あなたにおすすめの小説

美しい容姿の義妹は、私の婚約者を奪おうとしました。だったら、貴方には絶望してもらいましょう。
久遠りも
恋愛
美しい容姿の義妹は、私の婚約者を奪おうとしました。だったら、貴方には絶望してもらいましょう。
※一話完結です。
ゆるゆる設定です。

親からの寵愛を受けて育った妹は、私の婚約者が欲しいみたいですよ?
久遠りも
恋愛
妹は、私と違って親に溺愛されて育った。
そのせいで、妹は我儘で...何でも私のものを取るようになった。
私は大人になり、妹とは縁を切って、婚約者と幸せに暮らしていた。
だが、久しぶりに会った妹が、次は私の婚約者が欲しい!と言い出して...?
※誤字脱字等あればご指摘ください。
※ゆるゆる設定です。



逆行転生した侯爵令嬢は、自分を裏切る予定の弱々婚約者を思う存分イジメます
黄札
恋愛
侯爵令嬢のルーチャが目覚めると、死ぬひと月前に戻っていた。
ひと月前、婚約者に近づこうとするぶりっ子を撃退するも……中傷だ!と断罪され、婚約破棄されてしまう。婚約者の公爵令息をぶりっ子に奪われてしまうのだ。くわえて、不貞疑惑まででっち上げられ、暗殺される運命。
目覚めたルーチャは暗殺を回避しようと自分から婚約を解消しようとする。弱々婚約者に無理難題を押しつけるのだが……
つよつよ令嬢ルーチャが冷静沈着、鋼の精神を持つ侍女マルタと運命を変えるために頑張ります。よわよわ婚約者も成長するかも?
短いお話を三話に分割してお届けします。
この小説は「小説家になろう」でも掲載しています。
【短編】隣国から戻った婚約者様が、別人のように溺愛してくる件について
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
転生したディアナの髪は老婆のように醜い灰色の髪を持つ。この国では魔力量の高さと、髪の色素が鮮やかなものほど賞賛され、灰や、灰褐色などは差別されやすい。
ディアナは侯爵家の次女で、魔力量が多く才能がありながらも、家族は勿論、学院でも虐げられ、蔑まされて生きていた。
親同士がより魔力の高い子を残すため――と決めた、婚約者がいる。当然、婚約者と会うことは義務的な場合のみで、扱いも雑もいい所だった。
そんな婚約者のセレスティノ様は、隣国へ使節団として戻ってきてから様子がおかしい。
「明日は君の誕生日だったね。まだ予定が埋まっていないのなら、一日私にくれないだろうか」
「いえ、気にしないでください――ん?」
空耳だろうか。
なんとも婚約者らしい発言が聞こえた気がする。
「近くで見るとディアナの髪の色は、白銀のようで綺麗だな」
「(え? セレスティノ様が壊れた!?)……そんな、ことは? いつものように『醜い灰被りの髪』だって言ってくださって構わないのですが……」
「わ、私は一度だってそんなことは──いや、口には出していなかったが、そう思っていた時がある。自分が浅慮だった。本当に申し訳ない」
別人のように接するセレスティノ様に困惑するディアナ。
これは虐げられた令嬢が、セレスティノ様の言動や振る舞いに鼓舞され、前世でのやりたかったことを思い出す。
虐げられた才能令嬢×エリート王宮魔術師のラブコメディ


婚約者がいるのに他の女性といちゃつくのはどうかと思いますが……。
四季
恋愛
領地持ちとしてそこそこ長い歴史を持つベベル家の娘イレイナ・ベベルは、新興領地持ちであるババラ家の息子セイン・ババラと婚約することとなった。ババラ家から頼まれてのことだった。
しかしセインは同じ新興領地持ちの家の娘ミレニア・メメルと親しくなっていて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる