男女比の狂った世界は、今以上にモテるようです。

狼狼3

文字の大きさ
上 下
15 / 28

動画配信者⑦

しおりを挟む

「もう~どうして避けるんだ一狼。お姉ちゃんが抱き付いてあげるのに。」
「そんなこと言って、そのまま俺のこと押し倒すんじゃないの?」
「え?」
「え?」

 布団を両手に構えながら、俺は目の前に現れた姉に疑問を浮かべる。
 え?
 確か、俺のこと押し倒したよねさっき。
 しかも、押し倒しただけでなく俺の貞操まで奪おうとしてきたよな。あの時は本当に俺の貞操が奪われるかもと寒気感じたんだぞ?
 まぁ、原因は俺が悪戯したからだけど。

 俺を襲った記憶の無い姉に首を傾げると、姉は興奮した様子で口を開いた。

「ん?もしかして、一狼は私に押し倒されることを妄想してそんな言葉を…………よし、お姉ちゃんの部屋に行こうか一狼。今日はお姉ちゃんの部屋で寝よう。」
「いやいや。お姉ちゃんも疲れてるでしょ。一人でゆっくり寝てよ。」
「お姉ちゃんの心配なんてしなくていいぞ!!さあ、早く行こう。」
「そんなこと無いから。ちょっと、落ち着いて。」

 家に帰った時と似たような展開を感じ取った一狼は、姉の考えを改めさせようと奮起する。部屋に置いてあるリラックス成分の入っているスプレー缶を姉の足元近くに掛けたり、二番目にリラックス効果のある色と言われている青色のクッションを姉の目の前に見せる。しかし、そんな一狼の行動は意味もなくどんどん扉から桜は一狼に近付いていく。

 そんな姉の桜だが、勿論一狼を襲った記憶などか無いことから、一狼の言葉から「一狼は私に襲われることを妄想している」と推測する。桜としては、思ってもない理想。というより、全女性の望みと言ってもいいだろう。近くに居るだけで惚れそうな男である一狼に、自分の体で妄想されたのだ。妄想ではなく、実際に起こったことにしようと、女性としての本能が彼女を動かすのは仕方の無いことだ。

「何かお姉ちゃん勘違いしてるっていうか、さっきやったこと覚えてないの?」
「さっきって何のことだ?家に帰ってからの記憶が無いけど、もしかしてそのことか?」

 純粋に疑問を浮かべる姉から、ある一つの考えを導き出す。
 もしかして、お姉ちゃんは俺を襲ったことを覚えてない?
 お姉ちゃんの言う『家に帰ってからの記憶がない』という言葉から察すると、お姉ちゃんは俺を押し倒したことや俺がキスをしたことが記憶に残っていないことになる。俺を襲ったことや俺が仕方なくしたキスを忘れてくれたのは、お姉ちゃんに顔を赤くしたりせずいつも通り接することが出来るようになるから良いけど、どうして今回は悪戯をしていないのに、襲うという考えが直ぐ出てくるんだ。

 近付いてくる姉の足元に、  寒気から枕を投げるが全然怯まない。
 くそ、手強い敵だ。素材が柔らかいから結構強く投げたつもりだが、姉の細くて柔らかそうな足は全くといって怯まない。見た目は可憐で耐久力なんて無さそうに見える弱点なのに、どうして効かないんだよ。超乱闘でいうアーマーでも付いているのか?冗談じゃないぞ。

 俺は再び枕を拾って、姉に投げる。
 しかし、姉は怯む様子も無く今度は俺の枕をキャッチして、俺を怯ませようと枕を投げてくる。
 枕とはいえ、結構痛い。その細い腕のどこからそんな力が出てくるというのだ。素材は柔らかいというのに………お姉ちゃん強すぎだろ。超乱闘に出てくる桃色をしたお姫様が居るが、いつも大きな亀に拐われているのに、超乱闘だと滅茶苦茶強いのと同じ謎原理か?

 お姉ちゃんと枕投げをしながら部屋中を逃げること数分。
 どたばたという音を見にきたお母さんが俺の部屋にやって来たことで、お姉ちゃんからの逃走は幕を閉じた。

 え?
 お姉ちゃんはどうしたって?
 俺を追いかけてたお姉ちゃんは、お母さんが顔面に枕を投げつけたことで撃沈一撃ですよ?
 その後はお母さんを膝の上に乗せて、一緒にリビングでテレビ鑑賞。
 絶体に逆らってはいけない人を、理解したよ。

 その後お母さんが満足するまで俺は、一緒にテレビ鑑賞をした。

    
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

シン・三毛猫現象 〜自然出産される男が3万人に1人の割合になった世界に帰還した僕はとんでもなくモテモテになったようです〜

ミコガミヒデカズ
ファンタジー
 気軽に読めるあべこべ、男女比モノです。  以前、私がカクヨム様で書いていた小説をリメイクしたものです。  とあるきっかけで異世界エニックスウェアに転移した主人公、佐久間修。彼はもう一人の転移者と共に魔王との決戦に挑むが、 「儂の味方になれば世界の半分をやろう」  そんな魔王の提案に共に転移したもう一人の勇者が応じてしまう。そんな事はさせないと修は魔王を倒そうとするが、事もあろうに味方だったもう一人の勇者が魔王と手を組み攻撃してきた。  瞬間移動の術でなんとか難を逃れた修だったが、たどり着いたのは男のほとんどが姿を消した異世界転移15年後の地球だった…。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

処理中です...