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動画配信者②
しおりを挟む「ふわぁ~あ。何とか六時間掛けて曲作れたし、後は俺が歌ってそれを編集すればいいのか。」
出来上がった曲を再生すると、少し違う気もするが前世で人気だったラブソングを作ることにほぼ成功した。歌声はまだ無いが、この音程とリズムを聴けば直ぐに歌詞が浮かんでくる。最初は音程を打ち込むのに時間が掛かったが、慣れたらぱっぱっぱと打ち込めた。
「マイクとかは無いけど、別にそのまま歌ったのを録音すればいいか。最悪音程とかは編集で何とかなるし。」
スマホにさっき入れた録音アプリに、さっき完成したばかりの曲をイヤホンで耳にながしながら、リズムに合うように歌う。最近のアプリは凄いようで、試しに録音した俺の音声はかなりぶれなく録音されていた。これで広告が出てくるとはいえ無料なのだから、技術の進歩に驚く。
「それじゃあ、今録音した音声をUSAケーブルを使ってパソコンに移して、後は曲に合うように音声をくっつければ……………」
また、パソコンを打つ作業に移る。
普通の人は一日三食だが、俺の場合は昼と夜のみの一日二食をやっていたことがあったので、昼食は抜いても余裕だ。実際一日三食の人が多数だが、別に一日三食が正しいという根拠は何処にも無く、一日二食の方が若返るという説もあるので、お腹もあまり空いていないし特別食べることはない。
カタッカタカタ。
マウスを使って、リズムに合わせながら俺の音声の伸びや音を調整すること一時間近く。ようやく、曲終わりの十五秒あたりにきた。このペースでいけば、後十分くらいで終わるだろう。
神経を研ぎ澄ませながら、マウスを動かすこと少し。
やっと、やっと完成した。
合計八時間近く。力を入れて作った曲を見て、俺は全てが終わったことを確認して大きなため息をつく。一度完成した曲を聴いて、力を入れたこともあって何度も曲を流す。いい曲だ。この世界には無い曲なのだから、俺が初めてこの曲を聞いたことになる。そう考えると、何か優越感を感じる。
「大元の曲が完成したし、後は適当に空の景色を作成して、それに文字を打てばMVの完成だ。」
スマホで空の動画を作成し、歌声に合わせて字幕を貼る。
最後の部分ということもあり、集中力は少し落ちてきていたが一時間は掛からずに全ての作業を終えることが出来た。仕上がりを見て欲しいし、お母さん達に聴いて貰おうかな。
俺は作成したMVをRINEの皆に送ると、疲れてしまったのかベットの上で意識を落とした。
■■■■■■
「ん?一狼から何か送られてきている。早速見なければ……」
学校が終わって電車に乗って帰っている最中。
スマホで友達から送られてくるRINEに返信をしていると、記憶喪失でより愛おしくなった一狼から送られてきた。
「えーっと………これは、動画かな?なになに……「MV作ったから、聴いてみて欲しい?」聴く聴く。ポチっ。」
一狼から送られてきた動画をポチる。
すると、青空を漂う雲が流れているかと思いきや、何処からか落ち着くような何時までも聴いていられそうな音楽が流れてきて、突如幻とも言われた男性特有のトーンの低い声が流れてきた。
「こ、これは……耳が、耳が蕩けそうになるぞぉい……って、ヤバイヤバイ。ここ電車の中だし、イヤホンしてないじゃん。」
周りの女性を見ると、気付けば私の方…正しく言えばスマホへと耳へ傾けていて、顔をほんのりと紅く染めながら体をぶるぶると震わせて、嫌らしい声を出している。
このままでは、私のスマホが危ない。
スマホなら奪われてもまた買えばいいが、このスマホには昨日一狼と交換した連絡先が入っている。どうしても死守しなければいけない。
どうやってこの愛しの一狼の連絡先の乗っているスマホを守ろうと考えていると、電車の扉がプシューという音を立てて開く。私は、扉が開いた瞬間に電車から出ると、そのままホームを目指して人混みの中を全速力で走る。後ろを見ると、先ほど同じ車両に居た女共が私を逃がすまいと必死に走ってくる。別にまだ家の近くでも無いが、タクシーで逃げないとこのスマホが危ない。
私は階段を二段飛ばしで走りながら何とか改札口を抜けると、そのままホームまで全力疾走し、停まっているタクシーに乗り込む、
後ろを見ると直ぐ後ろではタクシーに乗り込んでくる奴が居たので、タクシーにのってもヒヤヒヤしたままだった。
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