男女比の狂った世界は、今以上にモテるようです。

狼狼3

文字の大きさ
上 下
1 / 28

家族

しおりを挟む

 学校一のイケメンで、運動や勉強、何でも出来るのがこの俺だ。
 何も苦手なことはないし、初めてやることでも少しやるだけで覚えてしまう。勉強だって、授業を適当に聞いているだけで90点以上は確実にとれる。スポーツだってそう、試しにサッカーをやってみたところ、一ヶ月も経たずにレギュラー入りをした。
 そんな俺は、日々の生活に飽き飽きしていた。
 道を歩けば女性からの視線が向いてくるし、学校でも俺の顔や才能に嫉妬した男共からの嫌がらせが酷いし、家ではいつものように父や母が喧嘩をしていて、とても居ずらい。

 (何処かに俺の安心出来る場所は無いのか?)

 そんなことを考えながら、いつものように面倒臭い学校から帰っていると、上の方から叫び声が聞こえる。叫び声にしても大きな声だ。夜などにこの声量を出したら、物凄く迷惑になるだろう。

「きゃぁ!!避けて!!」

 声の方へと、咄嗟にとっさに上を振り向くがもう遅いと悟る。
 上を見上げてみると、物凄い勢いで落ちてくる一メートル近い植木鉢があった。

 

■■■■■■■■■■■

 (俺は生きているの………か?)

 目の前に見えるのは、見たことのない天井。
 周りを軽く見渡すと、辺りには病院などでよく見かける車椅子や管など、名前は忘れたが様々な器具があった。

 だけど可笑しい。 
 一メートル近い植木鉢が物凄い勢いで落ちてきたというのに、何処も体が痛くない。
 
 何も痛みを感じない体で、手をグーパーにして動かしたり、軽く腹筋をしたりしていると、扉が開く音がした。

「一狼君!!もう目が覚めた………ってファッ!!筋トレだと!!」

 扉を開けて、白いナース服を着た二十代と思われる若い女性が入ってきたと思うと、女性は突然鼻血を出してその場に倒れた。大丈夫なのかと、俺は乗っていたベットから降りて、倒れた女性を俺が乗せていたベットに抱えて乗せようとする。

「これは、絶対に現実ではあり得ないとされていたお姫様だっこ!!?ラノベや本でしか無いと言われていたことをされるなんて!!ヤバイ////幸せ過ぎて死にそう////」

 そう言うと、勢いよく鼻血をもう一度吹き出し、気絶したように女性は意識を落とした。
 ナース服が鼻血で染まったままベットで意識を落とした女性に、俺は困惑することしか出来なかった。

 「とりあえず、他の人呼んだ方がいいのか?さすがに、このまま放置は良くないよな?」

 そう思った俺は、女性の入った扉へと手を掛けて、他の女性を探しにいこうとする。しかし、俺が扉に手を掛けた瞬間、俺が扉を開ける前にもの凄い勢いで開いた。

「凄い音がしたから来てみたけど……って一狼君目が覚めたの!!?」
「はい。数分前に。それで、鼻血を出して意識を失ってしまった女性が居るんですけど、大丈夫ですか?」
「男性が女性のこと心配してる!!?」

 俺が扉を開ける前に入ってきた女性も、先ほどのように鼻血を床に存分に撒き散らして倒れる。おいおい。どうってんだよ。ゾ◯ビのいる世界でも、こんなにすぐ人は倒れないぞ。

 先ほどの女性と同じように倒れる女性に、俺は固まる。
 すると、今度は水色のスカートを履いたアイドルかと思ってしまうほど綺麗な女性が入ってきた。

 「一狼目が覚めたのね!!」

 女性は部屋に入ってきたかと思うと、おもいっきり俺に抱きついてくる。
 いきなり見たことも無い美人に抱き付かれ、俺は緊張で一杯になる。
 今まで、事故に見せ掛けて女子から抱き付かれることは何度かあったが、こんな美人に抱き付かれることはなかったので、思いも寄らない美人の行動に頭がクエスチョンマークで一杯になる。

「うぅ……一狼が生きててよかった。死んだかと思ったんだから。」
「……あの~申し訳ないんですが、貴女誰ですか?」
 
 俺の言葉が部屋に響いたかと思うと、急速に部屋は静かになる。
 もしかして変なことを言ってしまったのかと、俺は自分の言ったことを思い返そうとすると

「え?嘘だよね一狼。お母さんのこと忘れてないよね?」
「え?貴女って、僕のお母さん何ですか?」

 自分の記憶に正しいお母さんを思い出すが、やはりこの美人さんとは明らかに違う。どちらかというと、もっと全体的に横が広くて、歳をとっていたような……

 泣きそうになっている美人さんを前に、俺は固まることしか出来なかった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。 それは——男子は女子より立場が弱い 学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。 拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。 「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」 協力者の鹿波だけは知っている。 大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。 勝利200%ラブコメ!? 既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...