男女比の狂った世界は、今以上にモテるようです。

狼狼3

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家族

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 学校一のイケメンで、運動や勉強、何でも出来るのがこの俺だ。
 何も苦手なことはないし、初めてやることでも少しやるだけで覚えてしまう。勉強だって、授業を適当に聞いているだけで90点以上は確実にとれる。スポーツだってそう、試しにサッカーをやってみたところ、一ヶ月も経たずにレギュラー入りをした。
 そんな俺は、日々の生活に飽き飽きしていた。
 道を歩けば女性からの視線が向いてくるし、学校でも俺の顔や才能に嫉妬した男共からの嫌がらせが酷いし、家ではいつものように父や母が喧嘩をしていて、とても居ずらい。

 (何処かに俺の安心出来る場所は無いのか?)

 そんなことを考えながら、いつものように面倒臭い学校から帰っていると、上の方から叫び声が聞こえる。叫び声にしても大きな声だ。夜などにこの声量を出したら、物凄く迷惑になるだろう。

「きゃぁ!!避けて!!」

 声の方へと、咄嗟にとっさに上を振り向くがもう遅いと悟る。
 上を見上げてみると、物凄い勢いで落ちてくる一メートル近い植木鉢があった。

 

■■■■■■■■■■■

 (俺は生きているの………か?)

 目の前に見えるのは、見たことのない天井。
 周りを軽く見渡すと、辺りには病院などでよく見かける車椅子や管など、名前は忘れたが様々な器具があった。

 だけど可笑しい。 
 一メートル近い植木鉢が物凄い勢いで落ちてきたというのに、何処も体が痛くない。
 
 何も痛みを感じない体で、手をグーパーにして動かしたり、軽く腹筋をしたりしていると、扉が開く音がした。

「一狼君!!もう目が覚めた………ってファッ!!筋トレだと!!」

 扉を開けて、白いナース服を着た二十代と思われる若い女性が入ってきたと思うと、女性は突然鼻血を出してその場に倒れた。大丈夫なのかと、俺は乗っていたベットから降りて、倒れた女性を俺が乗せていたベットに抱えて乗せようとする。

「これは、絶対に現実ではあり得ないとされていたお姫様だっこ!!?ラノベや本でしか無いと言われていたことをされるなんて!!ヤバイ////幸せ過ぎて死にそう////」

 そう言うと、勢いよく鼻血をもう一度吹き出し、気絶したように女性は意識を落とした。
 ナース服が鼻血で染まったままベットで意識を落とした女性に、俺は困惑することしか出来なかった。

 「とりあえず、他の人呼んだ方がいいのか?さすがに、このまま放置は良くないよな?」

 そう思った俺は、女性の入った扉へと手を掛けて、他の女性を探しにいこうとする。しかし、俺が扉に手を掛けた瞬間、俺が扉を開ける前にもの凄い勢いで開いた。

「凄い音がしたから来てみたけど……って一狼君目が覚めたの!!?」
「はい。数分前に。それで、鼻血を出して意識を失ってしまった女性が居るんですけど、大丈夫ですか?」
「男性が女性のこと心配してる!!?」

 俺が扉を開ける前に入ってきた女性も、先ほどのように鼻血を床に存分に撒き散らして倒れる。おいおい。どうってんだよ。ゾ◯ビのいる世界でも、こんなにすぐ人は倒れないぞ。

 先ほどの女性と同じように倒れる女性に、俺は固まる。
 すると、今度は水色のスカートを履いたアイドルかと思ってしまうほど綺麗な女性が入ってきた。

 「一狼目が覚めたのね!!」

 女性は部屋に入ってきたかと思うと、おもいっきり俺に抱きついてくる。
 いきなり見たことも無い美人に抱き付かれ、俺は緊張で一杯になる。
 今まで、事故に見せ掛けて女子から抱き付かれることは何度かあったが、こんな美人に抱き付かれることはなかったので、思いも寄らない美人の行動に頭がクエスチョンマークで一杯になる。

「うぅ……一狼が生きててよかった。死んだかと思ったんだから。」
「……あの~申し訳ないんですが、貴女誰ですか?」
 
 俺の言葉が部屋に響いたかと思うと、急速に部屋は静かになる。
 もしかして変なことを言ってしまったのかと、俺は自分の言ったことを思い返そうとすると

「え?嘘だよね一狼。お母さんのこと忘れてないよね?」
「え?貴女って、僕のお母さん何ですか?」

 自分の記憶に正しいお母さんを思い出すが、やはりこの美人さんとは明らかに違う。どちらかというと、もっと全体的に横が広くて、歳をとっていたような……

 泣きそうになっている美人さんを前に、俺は固まることしか出来なかった。
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