実はわたくし男なのですが、婚約破棄+復縁要請コンボをくらいまして、元婚約者を躾けることになりましたの

七辻ゆゆ

文字の大きさ
上 下
3 / 6

「嫌がる相手を虐めるのってとても……興奮しますわね」

しおりを挟む
「やっ、やめろ……っ」
「そうは言いますけれど、ローダド、あなたならおやめになりますの?」
「はな、せっ……」
「やめませんわよねえ。粗相したメイドを執拗に蹴り続けていたこと、わたくしはっきり覚えておりますわ」

 全く、あの時は大変だったのですわ。呼ばれていけばあの惨状で、さすがのわたくしも固まってしまいました。
 幸いにしてメイドに大きな怪我はなかったのですが、うら若い新人でしたので、すっかり王族がトラウマになったでしょうね。

 王家の評判をこれ以上落としたら、お父さまが王にと推挙されそうな勢いです。わたくしはなんとかメイドに謝罪して口止め料を受け取ってもらいました。
 もっとも人の口に戸は立てられないので、少なからず王家の評判は下がったでしょうね。

「おやめください、と、言われるたびに蹴っておりましたね。こんなふうに」
「あっ、やめ、やめろ!」
「ご存知でして? あの時、とても嬉しそうな顔をしておりましたのよ。最初は不機嫌だったそうですけれど、ねえ?」
「いたい、いたい!」
「今ちょっと気持ちがわかりましたのよ。嫌がる相手を虐めるのってとても……興奮しますわね」
「ヒィッ」

 ヒィってなんですの?
 こっちが素直に教えてさしあげているのに、バカすぎて困ってしまいますわ。

「ですから、これ以上嫌がるのやめてくださいなと言っておりますの。わたくしだってあなたに興奮などしたくありませんわ」
「ひっ、やめろ、離せ! 俺にこんなことをしてどうなるか、」
「……そういうのやめてください、って言ってるんですよ?」

 握ったソレにちょっと爪を立ててやると、情けない声をあげてようやく黙ってくれました。
 全く、ただでさえ興奮しているところに、苛立たせないで欲しいですわ。暴力的な気持ちになってしまいます。

「もしかして虐められたいんですの?」
「……っ、調子に、乗るな……! おまえのような女など、女など!」
「はあ。どうなさるのです?」
「自分の立場をわからせてやる……!」
「だから、どのように」
「孕むまで犯すに決まっているだろう! せいぜい優しくしてやろうと思っていたというのに、今から謝っても遅……ッ」

 はあ。
 わたくしはため息をつきました。
 そして片手でそれを握ったまま、よいせとローダドの体を持ち上げました。

(軽っ!?)

 ダンスの練習などで、たわむれに令嬢を抱き上げたりなどしていたのですが、それよりずっと軽く感じました。筋肉がないせいでしょうか。それにしたって令嬢より軽いとは、いったい……。

 そういえば偏食家でしたわ。

「きちんとお肉もお魚もいただかないから、女にも負ける体になってしまうのではなくて?」
「貴様……貴様ぁ……!」

 なんだか罵倒してきますけれど、半分泣き声のようです。握ったまま持ち上げたのが痛かったのでしょうか。それとも自分の情けなさが身にしみているのでしょうか。
 泣かれたら泣かれたでぐっと来るのでやめて欲しいですわ。ローダドをうつ伏せに寝台に押し付けてしまいますと、いっそう股間がウズウズしてしまいます。

 ……ええ、疲れマラというやつかしら、とか考えたりもしたのですけれど。
 これどう考えてもこのおバカのせいですわよね。ええ、そうですわよね。いえ、このおバカ相手でなければわたくしも自制しますけれど「犯してやる」と言っている男に遠慮してるのも馬鹿馬鹿しいではないですか?

「ほら、ほら、わたくしを犯すのでしょう? 逆に好きにされてしまいますわよ? こうして……ふふっ、お尻丸出し」

 パシン、と平手で大きな音をたてて叩いてみました。

「ヒッ!?」
「なんてまあるいお尻でしょうねえ、まるで赤ちゃんみたいですわ。これはとても、立派な男性のものとは思えませんわねえ?」
「きっ、きさま、きさま……っ、ゆるさんぞ、このような、侮辱……っ」
「力を入れてもその程度ですの? ほら、かわいらしい穴に指が届いてしまいますわ?」
「……ひ」

 ローダドは息をのんでそのまま止まっています。
 あら、まあ。
 息はした方がよろしいのではないかしら。

 お尻の間に手を入れれると、ぎゅうぎゅうと柔らかく包まれています。拒んでいるのだと思いますけれど、なにしろ柔らかいのですわ。

「えっちですわねぇ」

 柔らかくぎゅうぎゅうする先、奥に小さなポッチがあります。いえ、穴なのはわかっておりますけれど、ここはさすがに力が強いのでしょうね、かちかちに固まっています。

「かわいらしいこと」
「……! ……!!!」

 ローダドは声をだすことも忘れたのか、必死で逃げようとしています。いったい何からでしょう?
 まだわたくしが男なことは気づいておりませんわよね?

 あら、気づけばわたくし、ローダドの太ももに腰を密着させておりましたわ。すっかり勃ちあがったペニスを、ぐいぐい無意識に押し付けていたようです。
 それで気づいたのでしょうか。
 そんなふうでもありませんわね。もっとグリグリさせていただきましょう。股間が熱くて、どうにもむず痒いのですわ。押し付けるほどひどくなるのはわかっているのですけれど。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

愛人は嫌だったので別れることにしました。

伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。 しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?

【BL】こんな恋、したくなかった

のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】  人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。  ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。 ※ご都合主義、ハッピーエンド

【完結済み】準ヒロインに転生したビッチだけど出番終わったから好きにします。

mamaマリナ
BL
【完結済み、番外編投稿予定】  別れ話の途中で転生したこと思い出した。でも、シナリオの最後のシーンだからこれから好きにしていいよね。ビッチの本領発揮します。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

処理中です...