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魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
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神父が言った。
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。
勇者カイオは何度目かの問いかけに軽く答え、あくびを噛み殺した。
「不敬な! 王の御前であるぞ!」
「ああうん」
さすがに自分が命じた勇者を殺そうというのだから、王も処刑場に顔を出していた。
(いや違うか)
王の威厳しかない顔は喜色を隠しきれていない。処刑の立ち会いを特にお好みだというのは、噂話ではなかったようだ。
「よいよい。死にゆくものに王も民もあるまい。慈悲を持って末期の言葉を許す」
だから早くしろ、とその目が言っている。
「恐れながら、陛下。この者はただの荷物持ちでありながら、大言を吐き、民衆を欺く口先を持っております。そのような穢れた妄言、皆々様のお耳に入れるものではないと」
喋りだしたのは騎士アークロット。
魔王を倒したのは己である、と剣にかけて主張した男は、カイオよりもよく喋る。
「この儂が、よいと言った」
「……はっ」
「やーい、怒られた」
「……!」
雑に囃し立ててみると、わかりやすくアークロットは顔を赤くした。立場ある騎士殿がそれでいいのだろうか。
「おまえはいつもそうだなあ。よく喋るわりに働かない。働かないわりによく喋る。いや、楽しいお喋りなら大歓迎なんだが」
毎回毎回、自分の手柄を大げさに言う男であった。
行き着くところまで行き着いたか、という感じだ。
「あれは笑ったよ。ほら、おまえが転んだことで魔物の意表をつけたのだ、っていうやつ。リィは大笑いしていたが、クレアはいいやつだから、笑いをこらえて大変そうだったよ」
「ば、ばかな、クレアは……」
「今頃、式の最中かな。俺が参列しなくて怒ってないといいんだが」
「式……?」
「そう、式だよ。故郷に婚約者がいるって言っただろ。魔王を倒した今が式の挙げ時だ」
アークロットの顔色が紙のようになっていく。
「勇者になってクレアに求婚でもするつもりだったのか? 無理だよ、あいつ悪いことには容赦ないから」
「だ……黙れ! ただの荷物持ちが知ったような口を! あの女は私に媚びてきただけだ。あのような平民出の女、私が相手にするはずがない」
「……ふうん? まあ貴族だろうと平民だろうと、稀代の大嘘つきの妻になる人はかわいそうだな」
「……陛下! 刑の執行を」
「罪人カイオよ。言いたいことは言ったか?」
「ああ。魔王を倒したのは俺だし、俺はここでは死ねないだろうな。……残念なことに」
「では、刑を始めよ」
王の言葉にカイオは肩をすくめた。
絶望の顔を期待されたのかもしれないが、それならとうに最中だ。こんな茶番でもまあ、いい気分転換にはなったかもしれない。
もとより王も、アークロットが魔王を倒したなどと信じてはいないのだろう。ただ、自分の直臣が倒したという方が聞こえがいい上、適当な職を与えて褒美を終わりにできる。
「はっ、貴様のように学もなく、青い血も持たぬ者が勇者になど、なり替われると思ったのか?」
「青い血って、魔物かよ」
「だから貴様は学がないと言うのだ! 青い血とは……」
「いいよいいよ。まあ、あんたらの気が済むなら、それで」
アークロットの話を聞くのも飽きてきた。
なにしろ長い旅の間中、この弁舌を聞いてきたのだ。正直こうして裏切ってくれて助かった。
「では、罪人を処刑台へ!」
「はっ」
男たちがカイオを取り押さえようとしたが、カイオが軽く腕を一振りすると、彼らは壁に打ち付けられた。
「……もう少し鍛えた方がいい。……遅いかもだが」
カイオは遠くに耳を澄ませながら、自らの足で処刑台に行き、首を差し出した。
「おお」
魔物の爪の下に潜む死ならばいくつも味わった。
だが巨大な刃の下というのは初めてだ。
「ざ、罪人! 逆だ。下を向け」
「え、いいよ、このままで」
「……」
「見てないと怖くないか?」
「はは! いいだろう、自分は死なないと思っているのだな?」
「ああ王様、正解」
「だが死ぬのだ! どんな英雄も、民草も高貴なるものも、儂の号令ひとつで醜く血を撒き散らしてな! よし、落とせ。その後に首を持って参れ!」
「俺もそうだったらいいなって思ってるよ」
刃が落下する。
(ああ)
また無駄に死んでしまった。
「よいせっと」
そして勇者カイオは、その場にいた神父の前に降り立った。
「ひっ……ひぃっ!?」
「……すごい驚きようだ。知らなかったのか?」
勇者は、最後に話した神父の元へ戻ってくる。
生臭神父のようなので心配していたが、一応、神に認められた神父であったようだ。
「ああ、まあ、目の前で見るのとは違うか」
ただ勇者が落ちてくるだけと、目の前で死んだ男が落ちてくる、ではずいぶん違うだろう。
それにしても愉快な顔だ。
「はは! 神父様ってのはいつも穏やかな顔をしているもんだと思っていたが、違うらしいな」
「な、なぜだ……!」
アークロットが叫んだ。
「魔王はもう倒しただろう! 神の加護は……」
「いやそれ言っちゃうんだ。勇者はあんたじゃなかったっけ?」
「……!」
「まあ、そうだな……」
刃が首に当たった感触はなかった。あれだけの勢いだと、さすがに感じられないらしい。
それでも首をさすりながら、勇者は空を見上げた。
「……そういうことだ」
ゆっくりと空が曇り始めている。
もう時間がないようだ。
「な、なんだというのだ!」
「そういうことだよ。アークロット、魔王を倒した時、あんたは気絶してたから、聞かなかったんだろう」
「へ、陛下、お下がりください! 罪人が……」
「いやもう、そういう状況でもないんだよな」
残念ながら。
まだ昼のうちだというのに闇が迫り、それは空を埋め尽くす魔物の群れだった。
「魔王は……死んだ、のでは、なかったのか……?」
「た、確かに、魔王は骸となったはず……」
「確かめていないのか! アークロット!」
「その場は見ておりません! しかし骸を、それに、魔物が消え去り」
「笑っちまうよな。あの魔王は、別次元の魔王の手下なんだとさ。それが倒されたもんだから、そっちの大ボスさんがこの世界にやってくるんだと」
「……」
「さ、倒しに行けよ勇者アークロット」
アークロットはぶるぶると震え、その足ではこの城を出ることさえできそうにない。
カイオは空を見上げてため息をつく。
「……式、ちゃんと終わりまでやれたかな」
だったらいいのだが。
新たな魔王がやってくれば、また厳しい戦いが始まる。そうすればまた当分、のんきに式をあげる余裕などない。
否、生き残れるかどうかもわからない。
勇者は息を吐き、少しだけ茶番の終わりを惜しんだ。
「ああ、よかったな、倒しに行く必要はない。……この城を狙ってる」
「ゆ、勇者カイオよ。この城を護れ!」
「いや俺は勇者じゃないんで。そこの勇者に頼みなよ」
「ひぃっ!」
「陛下、抜け道へ……」
「馬鹿者! あの宝物の数々を魔物にくれてやるものか!」
「しかし……」
「アークロット!」
「い、いえ、陛下、共が……共がいなければ、私とて……」
「兵どもの先頭に立ち、玉砕せよ!」
「そ……そんな、ばかな、私が、なぜ……」
「貴様……っ」
いや、まだ茶番は続いていたらしい。
魔物の群れは城に近づいてくる。これは勇者にとってありがたいことだった。城が標的ならば、民が逃げる時間が稼げるだろう。
(もう少し引きつけたいな)
「勇者カイオよ! 褒美はなんなりとくれてやる! 貴様ならできるのだろう!」
「そうだ! おまえならできるはずだ! お、俺も手伝うから!」
「……ええい、この儂が貴様ごときに頼んでいるのだぞ! 栄誉だろう!」
「陛下、魔物共が……もはや……!」
「……ぐぬううう!」
「なあカイオ、色々あったが、一緒に戦った仲じゃねえか、頼む……頼むよぉ」
「勇者カイオよ! ……頼む、なんでもするから、この城を救ってくれ……っ」
勇者カイオがようやく剣を取ったのは、魔物の群れが城を取り囲み、その場の者たち皆が跪き、許しを願ってからだった。
もっともカイオには興味のないことだ。カイオが助けたい命は民草であり、民を守るというお題目で甘い汁を吸っている者たちではない。
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。
勇者カイオは何度目かの問いかけに軽く答え、あくびを噛み殺した。
「不敬な! 王の御前であるぞ!」
「ああうん」
さすがに自分が命じた勇者を殺そうというのだから、王も処刑場に顔を出していた。
(いや違うか)
王の威厳しかない顔は喜色を隠しきれていない。処刑の立ち会いを特にお好みだというのは、噂話ではなかったようだ。
「よいよい。死にゆくものに王も民もあるまい。慈悲を持って末期の言葉を許す」
だから早くしろ、とその目が言っている。
「恐れながら、陛下。この者はただの荷物持ちでありながら、大言を吐き、民衆を欺く口先を持っております。そのような穢れた妄言、皆々様のお耳に入れるものではないと」
喋りだしたのは騎士アークロット。
魔王を倒したのは己である、と剣にかけて主張した男は、カイオよりもよく喋る。
「この儂が、よいと言った」
「……はっ」
「やーい、怒られた」
「……!」
雑に囃し立ててみると、わかりやすくアークロットは顔を赤くした。立場ある騎士殿がそれでいいのだろうか。
「おまえはいつもそうだなあ。よく喋るわりに働かない。働かないわりによく喋る。いや、楽しいお喋りなら大歓迎なんだが」
毎回毎回、自分の手柄を大げさに言う男であった。
行き着くところまで行き着いたか、という感じだ。
「あれは笑ったよ。ほら、おまえが転んだことで魔物の意表をつけたのだ、っていうやつ。リィは大笑いしていたが、クレアはいいやつだから、笑いをこらえて大変そうだったよ」
「ば、ばかな、クレアは……」
「今頃、式の最中かな。俺が参列しなくて怒ってないといいんだが」
「式……?」
「そう、式だよ。故郷に婚約者がいるって言っただろ。魔王を倒した今が式の挙げ時だ」
アークロットの顔色が紙のようになっていく。
「勇者になってクレアに求婚でもするつもりだったのか? 無理だよ、あいつ悪いことには容赦ないから」
「だ……黙れ! ただの荷物持ちが知ったような口を! あの女は私に媚びてきただけだ。あのような平民出の女、私が相手にするはずがない」
「……ふうん? まあ貴族だろうと平民だろうと、稀代の大嘘つきの妻になる人はかわいそうだな」
「……陛下! 刑の執行を」
「罪人カイオよ。言いたいことは言ったか?」
「ああ。魔王を倒したのは俺だし、俺はここでは死ねないだろうな。……残念なことに」
「では、刑を始めよ」
王の言葉にカイオは肩をすくめた。
絶望の顔を期待されたのかもしれないが、それならとうに最中だ。こんな茶番でもまあ、いい気分転換にはなったかもしれない。
もとより王も、アークロットが魔王を倒したなどと信じてはいないのだろう。ただ、自分の直臣が倒したという方が聞こえがいい上、適当な職を与えて褒美を終わりにできる。
「はっ、貴様のように学もなく、青い血も持たぬ者が勇者になど、なり替われると思ったのか?」
「青い血って、魔物かよ」
「だから貴様は学がないと言うのだ! 青い血とは……」
「いいよいいよ。まあ、あんたらの気が済むなら、それで」
アークロットの話を聞くのも飽きてきた。
なにしろ長い旅の間中、この弁舌を聞いてきたのだ。正直こうして裏切ってくれて助かった。
「では、罪人を処刑台へ!」
「はっ」
男たちがカイオを取り押さえようとしたが、カイオが軽く腕を一振りすると、彼らは壁に打ち付けられた。
「……もう少し鍛えた方がいい。……遅いかもだが」
カイオは遠くに耳を澄ませながら、自らの足で処刑台に行き、首を差し出した。
「おお」
魔物の爪の下に潜む死ならばいくつも味わった。
だが巨大な刃の下というのは初めてだ。
「ざ、罪人! 逆だ。下を向け」
「え、いいよ、このままで」
「……」
「見てないと怖くないか?」
「はは! いいだろう、自分は死なないと思っているのだな?」
「ああ王様、正解」
「だが死ぬのだ! どんな英雄も、民草も高貴なるものも、儂の号令ひとつで醜く血を撒き散らしてな! よし、落とせ。その後に首を持って参れ!」
「俺もそうだったらいいなって思ってるよ」
刃が落下する。
(ああ)
また無駄に死んでしまった。
「よいせっと」
そして勇者カイオは、その場にいた神父の前に降り立った。
「ひっ……ひぃっ!?」
「……すごい驚きようだ。知らなかったのか?」
勇者は、最後に話した神父の元へ戻ってくる。
生臭神父のようなので心配していたが、一応、神に認められた神父であったようだ。
「ああ、まあ、目の前で見るのとは違うか」
ただ勇者が落ちてくるだけと、目の前で死んだ男が落ちてくる、ではずいぶん違うだろう。
それにしても愉快な顔だ。
「はは! 神父様ってのはいつも穏やかな顔をしているもんだと思っていたが、違うらしいな」
「な、なぜだ……!」
アークロットが叫んだ。
「魔王はもう倒しただろう! 神の加護は……」
「いやそれ言っちゃうんだ。勇者はあんたじゃなかったっけ?」
「……!」
「まあ、そうだな……」
刃が首に当たった感触はなかった。あれだけの勢いだと、さすがに感じられないらしい。
それでも首をさすりながら、勇者は空を見上げた。
「……そういうことだ」
ゆっくりと空が曇り始めている。
もう時間がないようだ。
「な、なんだというのだ!」
「そういうことだよ。アークロット、魔王を倒した時、あんたは気絶してたから、聞かなかったんだろう」
「へ、陛下、お下がりください! 罪人が……」
「いやもう、そういう状況でもないんだよな」
残念ながら。
まだ昼のうちだというのに闇が迫り、それは空を埋め尽くす魔物の群れだった。
「魔王は……死んだ、のでは、なかったのか……?」
「た、確かに、魔王は骸となったはず……」
「確かめていないのか! アークロット!」
「その場は見ておりません! しかし骸を、それに、魔物が消え去り」
「笑っちまうよな。あの魔王は、別次元の魔王の手下なんだとさ。それが倒されたもんだから、そっちの大ボスさんがこの世界にやってくるんだと」
「……」
「さ、倒しに行けよ勇者アークロット」
アークロットはぶるぶると震え、その足ではこの城を出ることさえできそうにない。
カイオは空を見上げてため息をつく。
「……式、ちゃんと終わりまでやれたかな」
だったらいいのだが。
新たな魔王がやってくれば、また厳しい戦いが始まる。そうすればまた当分、のんきに式をあげる余裕などない。
否、生き残れるかどうかもわからない。
勇者は息を吐き、少しだけ茶番の終わりを惜しんだ。
「ああ、よかったな、倒しに行く必要はない。……この城を狙ってる」
「ゆ、勇者カイオよ。この城を護れ!」
「いや俺は勇者じゃないんで。そこの勇者に頼みなよ」
「ひぃっ!」
「陛下、抜け道へ……」
「馬鹿者! あの宝物の数々を魔物にくれてやるものか!」
「しかし……」
「アークロット!」
「い、いえ、陛下、共が……共がいなければ、私とて……」
「兵どもの先頭に立ち、玉砕せよ!」
「そ……そんな、ばかな、私が、なぜ……」
「貴様……っ」
いや、まだ茶番は続いていたらしい。
魔物の群れは城に近づいてくる。これは勇者にとってありがたいことだった。城が標的ならば、民が逃げる時間が稼げるだろう。
(もう少し引きつけたいな)
「勇者カイオよ! 褒美はなんなりとくれてやる! 貴様ならできるのだろう!」
「そうだ! おまえならできるはずだ! お、俺も手伝うから!」
「……ええい、この儂が貴様ごときに頼んでいるのだぞ! 栄誉だろう!」
「陛下、魔物共が……もはや……!」
「……ぐぬううう!」
「なあカイオ、色々あったが、一緒に戦った仲じゃねえか、頼む……頼むよぉ」
「勇者カイオよ! ……頼む、なんでもするから、この城を救ってくれ……っ」
勇者カイオがようやく剣を取ったのは、魔物の群れが城を取り囲み、その場の者たち皆が跪き、許しを願ってからだった。
もっともカイオには興味のないことだ。カイオが助けたい命は民草であり、民を守るというお題目で甘い汁を吸っている者たちではない。
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