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レティシアは馬に跨り、目的の薬草を求め、森の奥へ奥へと進んで行った。
今日は、薬草摘みにはもってこいの晴天である。
しばらく馬を走らせると、領地内にぽつりとある小屋に馬を止め、ここまで被ってきた麦わら帽子を置き、更に森の深くへと足を運んだ。
ノイラート家の領地は王都の端も端。驚く程に広大な土地であるため、森の奥まで来れば王都をゆうに抜けてしまうのだ。
しばらくこの辺りには来ていなかった為か、沢山の薬草が生い茂っている。
これだけ生えてればこのバスケットいっぱいにしてもそんなに時間かからないわよね……。よし、今日の目標はバスケット満タン!頑張るぞ、私!
レティシアはそう決意し、また森の奥へ奥へと歩みを進めた。
そうしてしばらくの時間が経過し、想像していたよりも多くの薬草を採取することが出来た。その量はバスケットだけでは足りない程であった。
そんな時間経過に伴い、西の方向にある太陽が徐々に傾き始めていることに気がついた。
大分量も集まったし、そろそろ帰ろうかしら?
そう思い、くるりと方向転換し鼻歌を歌いながら小屋の方へ戻ろうとした時、奥のほうで何かがガサリと動くのが目に映った。
「ひゃぇあ!!」
え、ちょっとまって、何か変な声出ちゃった恥ずかしい!!!!でも今何か動いたよね、まって!?!めっちゃ怖いんですけど!?!?
レティシアは動揺し、一方後退りした。
するとまた同じ場所から、うめき声のようなものが聴こえてきた。
「……………………っ”………て‘‘………。」
なんか喋った!?!?やだ超怖いんですけど!?!
ここって熊でも出るっけ??治安悪い!!
そしてレティシアはその辺に落ちていた板を盾に、数分間その茂みと睨み合いを拮抗したが、その後その茂みからうめき声や動きは無かった。
あれ、どっか行っちゃったのかな……?完璧に動かなくなっちゃったけど。
レティシアには謎の度胸と好奇心があるようで、そこで止めておけばいいものを、1歩、また1歩とその茂みに向かって歩みを進めた。
「もしもし……?熊さん居ますか……」
もし熊だったとして人間の言語が通じるのかは微妙なところだが、まぁそこはこの際どうでも良い。
結局好奇心には勝てず、レティシアは落ちていた木の棒を握りしめると、その茂みの中へ右足を踏み入れた。
「っ”ぐ………!」
「ぴゃぁあ!!!!」
レティシアは、その茂みの中にあった重たい物体に躓くと同時に、その場からうめき声のようなものが聞こえると、レティシアも叫び声を上げその場に倒れ込んだ。
いてて…何に躓いて………まって、これって男の人………?それよりこの人めっちゃ怪我してるじゃないの!!
そこには全身から血を流した男性が横たわっていた
「だ、大丈夫ですか!!!大丈夫ですか!!!!」
「……………………ぃ”、じょ………っ”。」
まって、多分大丈夫じゃないよね?どうしよ、流石に私1人じゃあこの人持ち上げられないし………
そうだ、とりあえずポーション飲ませて止血して………とりあえず家に連れて帰りましょう!
そしてレティシアは、バスケットいっぱいに詰めてあった薬草を取りだし、自分のワンピースの裾をちぎると、その男性の傷口に薬草と共に縛り付けた。
「!?!?!?」
その男性は、レティシアの瞳を見つめ、その目を見開いた。
木によって陽の光が揺られ、それに伴いレティシアの瞳も2つの色が入り交じり、ゆらゆらと揺れていたのだ。
手当に没入しているレティシアにそんな男性の様子を気に止める余裕は無いようで、必死に傷口を押さえていた。
「これ、飲んでください!……飲めますか?」
首を振れないのであろう、その代わりにその男性は深く瞬きをし、こちらに視線を送ってきた。
その男性の了承を得ると、母に「非常時に使いなさい。」と言われてポシェットに常時忍ばせている少しお高めのポーションをその男性の口へ運んだ。
口に注いではみるものの、寝たまま体を動かせないため、全て口の端から溢れ出ているようだ。
その男性も苦々しそうな顔でこちらを見ている。
レティシアはどうしたものかと考え、瞬時に思いついた策を直ぐに実行に移した。
レティシアは、そのポーションを口にくいっと含み、その男性の口へとポーションを移した。
「!?!?!?!?」
その男性は驚いたようで、目を見張っている。
まぁ、とりあえずポーションを飲ませることが出来たし、一件落着ね。うん。
そして少しその男性は少し元気を取り戻したようで、自ら起き上がろうとしている。
とは言っても一時的な止血と痛み止めでしかないので体に巻かれた布からは、まだ痛々しい傷が覗いている。
「まだだめですっ!衛兵を呼んでくるので待っててください!絶対動かないでくださいね!!!」
すると、レティシアはその場にポシェットとバスケットを置き、急いで屋敷へと衛兵を呼びに帰っていった。
「…………………ありがとう。」
その男性は地面に横たわったまま、自分の為にせっせと走ってくれている彼女の背中に、小さく口元を綻ばせ、そう呟いた。
今日は、薬草摘みにはもってこいの晴天である。
しばらく馬を走らせると、領地内にぽつりとある小屋に馬を止め、ここまで被ってきた麦わら帽子を置き、更に森の深くへと足を運んだ。
ノイラート家の領地は王都の端も端。驚く程に広大な土地であるため、森の奥まで来れば王都をゆうに抜けてしまうのだ。
しばらくこの辺りには来ていなかった為か、沢山の薬草が生い茂っている。
これだけ生えてればこのバスケットいっぱいにしてもそんなに時間かからないわよね……。よし、今日の目標はバスケット満タン!頑張るぞ、私!
レティシアはそう決意し、また森の奥へ奥へと歩みを進めた。
そうしてしばらくの時間が経過し、想像していたよりも多くの薬草を採取することが出来た。その量はバスケットだけでは足りない程であった。
そんな時間経過に伴い、西の方向にある太陽が徐々に傾き始めていることに気がついた。
大分量も集まったし、そろそろ帰ろうかしら?
そう思い、くるりと方向転換し鼻歌を歌いながら小屋の方へ戻ろうとした時、奥のほうで何かがガサリと動くのが目に映った。
「ひゃぇあ!!」
え、ちょっとまって、何か変な声出ちゃった恥ずかしい!!!!でも今何か動いたよね、まって!?!めっちゃ怖いんですけど!?!?
レティシアは動揺し、一方後退りした。
するとまた同じ場所から、うめき声のようなものが聴こえてきた。
「……………………っ”………て‘‘………。」
なんか喋った!?!?やだ超怖いんですけど!?!
ここって熊でも出るっけ??治安悪い!!
そしてレティシアはその辺に落ちていた板を盾に、数分間その茂みと睨み合いを拮抗したが、その後その茂みからうめき声や動きは無かった。
あれ、どっか行っちゃったのかな……?完璧に動かなくなっちゃったけど。
レティシアには謎の度胸と好奇心があるようで、そこで止めておけばいいものを、1歩、また1歩とその茂みに向かって歩みを進めた。
「もしもし……?熊さん居ますか……」
もし熊だったとして人間の言語が通じるのかは微妙なところだが、まぁそこはこの際どうでも良い。
結局好奇心には勝てず、レティシアは落ちていた木の棒を握りしめると、その茂みの中へ右足を踏み入れた。
「っ”ぐ………!」
「ぴゃぁあ!!!!」
レティシアは、その茂みの中にあった重たい物体に躓くと同時に、その場からうめき声のようなものが聞こえると、レティシアも叫び声を上げその場に倒れ込んだ。
いてて…何に躓いて………まって、これって男の人………?それよりこの人めっちゃ怪我してるじゃないの!!
そこには全身から血を流した男性が横たわっていた
「だ、大丈夫ですか!!!大丈夫ですか!!!!」
「……………………ぃ”、じょ………っ”。」
まって、多分大丈夫じゃないよね?どうしよ、流石に私1人じゃあこの人持ち上げられないし………
そうだ、とりあえずポーション飲ませて止血して………とりあえず家に連れて帰りましょう!
そしてレティシアは、バスケットいっぱいに詰めてあった薬草を取りだし、自分のワンピースの裾をちぎると、その男性の傷口に薬草と共に縛り付けた。
「!?!?!?」
その男性は、レティシアの瞳を見つめ、その目を見開いた。
木によって陽の光が揺られ、それに伴いレティシアの瞳も2つの色が入り交じり、ゆらゆらと揺れていたのだ。
手当に没入しているレティシアにそんな男性の様子を気に止める余裕は無いようで、必死に傷口を押さえていた。
「これ、飲んでください!……飲めますか?」
首を振れないのであろう、その代わりにその男性は深く瞬きをし、こちらに視線を送ってきた。
その男性の了承を得ると、母に「非常時に使いなさい。」と言われてポシェットに常時忍ばせている少しお高めのポーションをその男性の口へ運んだ。
口に注いではみるものの、寝たまま体を動かせないため、全て口の端から溢れ出ているようだ。
その男性も苦々しそうな顔でこちらを見ている。
レティシアはどうしたものかと考え、瞬時に思いついた策を直ぐに実行に移した。
レティシアは、そのポーションを口にくいっと含み、その男性の口へとポーションを移した。
「!?!?!?!?」
その男性は驚いたようで、目を見張っている。
まぁ、とりあえずポーションを飲ませることが出来たし、一件落着ね。うん。
そして少しその男性は少し元気を取り戻したようで、自ら起き上がろうとしている。
とは言っても一時的な止血と痛み止めでしかないので体に巻かれた布からは、まだ痛々しい傷が覗いている。
「まだだめですっ!衛兵を呼んでくるので待っててください!絶対動かないでくださいね!!!」
すると、レティシアはその場にポシェットとバスケットを置き、急いで屋敷へと衛兵を呼びに帰っていった。
「…………………ありがとう。」
その男性は地面に横たわったまま、自分の為にせっせと走ってくれている彼女の背中に、小さく口元を綻ばせ、そう呟いた。
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