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「それでニコラウス様が何だって?」
「そう、手紙のお返事がまだ来ていなくって……」
レティシアに話しかけた女性はひょいと口にクッキーを運び、紅茶を啜った。
「いつも思ってたけどティアってクッキー作るの上手よね……。」
「ねぇ聞いてるの、マリー???」
彼女の名はマリー・シュミット。レティシアの昔からの友人である。
マリーとは領地が近いということもあってか、幼少期からの付き合いで、今でも時々こうして顔を合わせる程の仲なのだ。
もちろん彼女とは、例の秘密を共有している。
「っぐ!!…………っはぁ………聞いてるわよ。」
「そんなに一気に食べるからクッキーを詰まらせるんでしょ………もう。」
マリーは目の前のお菓子に夢中になり、レティシアの話は右から左へと流れていたようだ。
するとレティシアはクッキーが盛られていた皿を取り上げ、マリーの方へと向き直った。
するとマリーはなにか思い立ったかのように、ニヤリと口の端を釣りあげた。
「で、ニコラウス様に何かあったんじゃないかと思ったって事でしょ?」
「まぁ、簡単に言えばそういうことね……。」
「ふふっ、私はなーんにも知らなーい。」
何か言葉に含みを持たせながらそう言うと、マリーは再びレティシアの手にあるクッキーに手を伸ばし、「もらった!」と声を上げるとサッと奪い取り、もぐもぐと食べ始めた。
そんなマリーに、ついにレティシアは折れたのか、話すことを中断し、1つクッキーを口へと運んだ。
「そう言えばティア!いい提案があるの!」
「あら、どうしたの?」
「近々家でお茶会を開こうと思って居るのだけれどティアもどうかしら?」
「またいつもの方々が集まるのかしら?。」
「勿論よ!」
レティシアは1年ほど前からシュミット伯爵家で開催される小規模なお茶会と称した女子会(笑)に参加しているのだ。
マリーと仲が良い4.5人のご令嬢を集めお茶を飲みながら話に耽る、というのがお決まりコースだ。
その女子会のおかけでレティシアの貴族に対する畏怖の感情も緩和され、今ではその面々と、ノイラート家でお茶会を開催する程である。
「ふふっ、じゃあまたお菓子を持っていかなきゃね。」
「楽しみにしてるわティア。」
「マリーの場合はこっちが本当の目的でしょ。」
そう言ってレティシアはいたずらにマリーに抱きつくと、肩を揺らし、笑いあった。
「そう、手紙のお返事がまだ来ていなくって……」
レティシアに話しかけた女性はひょいと口にクッキーを運び、紅茶を啜った。
「いつも思ってたけどティアってクッキー作るの上手よね……。」
「ねぇ聞いてるの、マリー???」
彼女の名はマリー・シュミット。レティシアの昔からの友人である。
マリーとは領地が近いということもあってか、幼少期からの付き合いで、今でも時々こうして顔を合わせる程の仲なのだ。
もちろん彼女とは、例の秘密を共有している。
「っぐ!!…………っはぁ………聞いてるわよ。」
「そんなに一気に食べるからクッキーを詰まらせるんでしょ………もう。」
マリーは目の前のお菓子に夢中になり、レティシアの話は右から左へと流れていたようだ。
するとレティシアはクッキーが盛られていた皿を取り上げ、マリーの方へと向き直った。
するとマリーはなにか思い立ったかのように、ニヤリと口の端を釣りあげた。
「で、ニコラウス様に何かあったんじゃないかと思ったって事でしょ?」
「まぁ、簡単に言えばそういうことね……。」
「ふふっ、私はなーんにも知らなーい。」
何か言葉に含みを持たせながらそう言うと、マリーは再びレティシアの手にあるクッキーに手を伸ばし、「もらった!」と声を上げるとサッと奪い取り、もぐもぐと食べ始めた。
そんなマリーに、ついにレティシアは折れたのか、話すことを中断し、1つクッキーを口へと運んだ。
「そう言えばティア!いい提案があるの!」
「あら、どうしたの?」
「近々家でお茶会を開こうと思って居るのだけれどティアもどうかしら?」
「またいつもの方々が集まるのかしら?。」
「勿論よ!」
レティシアは1年ほど前からシュミット伯爵家で開催される小規模なお茶会と称した女子会(笑)に参加しているのだ。
マリーと仲が良い4.5人のご令嬢を集めお茶を飲みながら話に耽る、というのがお決まりコースだ。
その女子会のおかけでレティシアの貴族に対する畏怖の感情も緩和され、今ではその面々と、ノイラート家でお茶会を開催する程である。
「ふふっ、じゃあまたお菓子を持っていかなきゃね。」
「楽しみにしてるわティア。」
「マリーの場合はこっちが本当の目的でしょ。」
そう言ってレティシアはいたずらにマリーに抱きつくと、肩を揺らし、笑いあった。
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