18 / 39
12.
しおりを挟む
「はぁ………………。」
レティシアは肘をつきながら、窓際で項垂れていた。
あぁ、雨だ。暇だ。
先程楽しみにしていた小説は読み終えてしまったし、あまり刺繍は得意ではない。だからと言ってお腹がすいている訳でもない。
本当にどうしたものか………。
レティシアはまた大きなため息をひとつついた。
コンコンコン____。
「どうぞ~。」
「お嬢様。ニコラウス様よりお手紙でございます。」
ニコラウスという言葉に反応し、レティシアは急に背筋をぴんと伸ばした。
「あらあら、また『ニコラウス様』ですか?」
侍女のユリアが、口を右手でかくしながらニヤニヤとこちらを見ている。
「もう分かったからあっちいってて!もう!!」
レティシアは立ち上がり窓際から離れたと思うと、ユリアの背中を無理やり押し、今来た扉から押し出した。
ユリアを追い出したのを確認すると、引き出しからペーパーナイフを取りだし、急いで先程届いた手紙を開封し、中身に目を通した。
ぱー、てぃー………?公のパーティーなんて私何年出てないのかしら……最後に出たのが私の成人祝いの親族だけで行ったものだから…ちゃんとしたパーティなんて10数年行ってないわ…………。
でも、ニコラウスが誘ってくれてるし……うぅぅ…
1人で悩んでいても絶対結論でないわねコレは。と、いうことで登場してもらいましょう。
「ユリア、ちょっと来てもらってもいいかしら?」
「ハイハイ、今度は何ですか?」
ユリアはものすごく面倒くさそうな顔をして、渋々部屋に入ってきた。一応侯爵令嬢なんだけど私、大丈夫かしら???
まぁそんなことは置いておいて問題はコレよ。
「ねぇユリア、ニコラウスにパーティーに誘われたのだけど、どう思う?でも私…………「行きましょう!!!行くしかないですよ!お嬢様が行かなければ他の女性に取られてしまいますよ!!!!」
ユリアはレティシアの言葉を途中で遮り、食い気味にこちらに身を乗り出してきた。
「で、でも………」
「いや、行けますって!大丈夫です!」
「そ、そう……?」
「いぇす!!!!!」
「そ、……そうね。とても緊張するけれど………。ニコラウスに参加する旨を伝えなくちゃね……。」
「やっ……………たぁあああああ!!皆さん!朗報ですよ!お嬢様が、お嬢様がぁぁあああ!!」
レティシアが肯定の意を見せると同時にユリアは部屋を飛び出し、大声を出しながら廊下を駆けていった。
ニコラウスが他の方とパーティーに、と思うと何だか少し妬けてしまうのは、久しぶりに出来た友人だからなのかしら………
そんなことを考えながら、飛び出して行った侍女の背中を目で追った。
その数分後には、服飾屋、宝石店の方が立て続けにやって来て目が回るほど何度も何度も試着と脱衣を繰り返させられた。
最終的には執務をしていた筈の父と母、兄までレティシアの自室にやってきてドレスを選ぶ羽目になった。
まだ私お返事の手紙、書いてないんですけど………
レティシアは肘をつきながら、窓際で項垂れていた。
あぁ、雨だ。暇だ。
先程楽しみにしていた小説は読み終えてしまったし、あまり刺繍は得意ではない。だからと言ってお腹がすいている訳でもない。
本当にどうしたものか………。
レティシアはまた大きなため息をひとつついた。
コンコンコン____。
「どうぞ~。」
「お嬢様。ニコラウス様よりお手紙でございます。」
ニコラウスという言葉に反応し、レティシアは急に背筋をぴんと伸ばした。
「あらあら、また『ニコラウス様』ですか?」
侍女のユリアが、口を右手でかくしながらニヤニヤとこちらを見ている。
「もう分かったからあっちいってて!もう!!」
レティシアは立ち上がり窓際から離れたと思うと、ユリアの背中を無理やり押し、今来た扉から押し出した。
ユリアを追い出したのを確認すると、引き出しからペーパーナイフを取りだし、急いで先程届いた手紙を開封し、中身に目を通した。
ぱー、てぃー………?公のパーティーなんて私何年出てないのかしら……最後に出たのが私の成人祝いの親族だけで行ったものだから…ちゃんとしたパーティなんて10数年行ってないわ…………。
でも、ニコラウスが誘ってくれてるし……うぅぅ…
1人で悩んでいても絶対結論でないわねコレは。と、いうことで登場してもらいましょう。
「ユリア、ちょっと来てもらってもいいかしら?」
「ハイハイ、今度は何ですか?」
ユリアはものすごく面倒くさそうな顔をして、渋々部屋に入ってきた。一応侯爵令嬢なんだけど私、大丈夫かしら???
まぁそんなことは置いておいて問題はコレよ。
「ねぇユリア、ニコラウスにパーティーに誘われたのだけど、どう思う?でも私…………「行きましょう!!!行くしかないですよ!お嬢様が行かなければ他の女性に取られてしまいますよ!!!!」
ユリアはレティシアの言葉を途中で遮り、食い気味にこちらに身を乗り出してきた。
「で、でも………」
「いや、行けますって!大丈夫です!」
「そ、そう……?」
「いぇす!!!!!」
「そ、……そうね。とても緊張するけれど………。ニコラウスに参加する旨を伝えなくちゃね……。」
「やっ……………たぁあああああ!!皆さん!朗報ですよ!お嬢様が、お嬢様がぁぁあああ!!」
レティシアが肯定の意を見せると同時にユリアは部屋を飛び出し、大声を出しながら廊下を駆けていった。
ニコラウスが他の方とパーティーに、と思うと何だか少し妬けてしまうのは、久しぶりに出来た友人だからなのかしら………
そんなことを考えながら、飛び出して行った侍女の背中を目で追った。
その数分後には、服飾屋、宝石店の方が立て続けにやって来て目が回るほど何度も何度も試着と脱衣を繰り返させられた。
最終的には執務をしていた筈の父と母、兄までレティシアの自室にやってきてドレスを選ぶ羽目になった。
まだ私お返事の手紙、書いてないんですけど………
0
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
ふたりは片想い 〜騎士団長と司書の恋のゆくえ〜
長岡更紗
恋愛
王立図書館の司書として働いているミシェルが好きになったのは、騎士団長のスタンリー。
幼い頃に助けてもらった時から、スタンリーはミシェルのヒーローだった。
そんなずっと憧れていた人と、18歳で再会し、恋心を募らせながらミシェルはスタンリーと仲良くなっていく。
けれどお互いにお互いの気持ちを勘違いしまくりで……?!
元気いっぱいミシェルと、大人な魅力のスタンリー。そんな二人の恋の行方は。
他サイトにも投稿しています。
夜会の夜の赤い夢
豆狸
恋愛
……どうして? どうしてフリオ様はそこまで私を疎んでいるの? バスキス伯爵家の財産以外、私にはなにひとつ価値がないというの?
涙を堪えて立ち去ろうとした私の体は、だれかにぶつかって止まった。そこには、燃える炎のような赤い髪の──
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる