気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた

しののめ

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第3章 学園生活 前期

19.中庭で

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ノエルは現在、学園内の中庭でベンチに座りながらローレンツのことを待っている。

今日も今日とていつもの如く、ローレンツとノエルは2人で帰宅する予定であったが、廊下で他生徒に捕まったらしく、現在、中庭で待っているという訳だ。

相も変わらずノエルは、魔法に関する伝記を手に読書に勤しんでいる。

やっぱりこの話は何度読んでも面白いなぁ。僕もルー兄さん見たいな魔力があったらなぁ……。

そんな事を考えていると不意に右肩の方から声がかけられた。


「ノエル、こんな所で1人?」

そこにはすっとした面立ちのウィルフリートの姿があった。

「ウィル様!ウィル様こそどうしてここに?」

「そこの廊下を通っていたらノエルの姿が見えたからつい声をかけたくなってね。」

するとウィルフリートは柔らかな笑を零した。


ウィル様凄いかっこいい………。そりゃあご令嬢方もほっとかないよね。

そんな笑みに見とれていると、ウィルフリートはノエルの持っていた本を覗き込んだ。

「ところでノエル、この本って学園の図書室にある伝記だよね?」

「え!ウィル様もこの本知ってるんですか?」

「勿論だよ、僕も何度読んだことやら。」

そんなウィルフリートの返答を聞き、ノエルは目をキラキラと輝かせた。

「…………ふふっ、そうだね。数十分くらいなら時間に余裕があるからその伝記、続き一緒に読もうか。」


するとノエルは更に目の輝きを増し、首を縦にブンブンとふった。



ノエルとウィルフリートの伝記語りは、ローレンツが帰ってくるまで永遠と繰り広げられた。



「…………っはぁ、ノエル、遅くなってごめん…ウィルフリート様?」

「君の弟と少しばかりお話させてもらったよ。……そんな目で見なくてもすぐに返すよ。ノエル、じゃあ続きはまた今度。」

そう言うとウィルフリートはノエルの額に軽くキスを落とした。

流石に第2王子に対しては声を荒げられないようで、ローレンツは拳をぷるぷると震わせている。

「ウィル様また今度絶対ですからねー!」

そう言うと、ノエルはローレンツに腕を捕まれ、馬車が停車している場所へと一目散に駆けて行った。


ちなみにこの後、ローレンツはノエルに構って貰えなかったことが気に入らなかったようでノエルがハグをするまで機嫌は治らなかったようだ。
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