69 / 72
第3章 学園生活 前期
19.中庭で
しおりを挟む
ノエルは現在、学園内の中庭でベンチに座りながらローレンツのことを待っている。
今日も今日とていつもの如く、ローレンツとノエルは2人で帰宅する予定であったが、廊下で他生徒に捕まったらしく、現在、中庭で待っているという訳だ。
相も変わらずノエルは、魔法に関する伝記を手に読書に勤しんでいる。
やっぱりこの話は何度読んでも面白いなぁ。僕もルー兄さん見たいな魔力があったらなぁ……。
そんな事を考えていると不意に右肩の方から声がかけられた。
「ノエル、こんな所で1人?」
そこにはすっとした面立ちのウィルフリートの姿があった。
「ウィル様!ウィル様こそどうしてここに?」
「そこの廊下を通っていたらノエルの姿が見えたからつい声をかけたくなってね。」
するとウィルフリートは柔らかな笑を零した。
ウィル様凄いかっこいい………。そりゃあご令嬢方もほっとかないよね。
そんな笑みに見とれていると、ウィルフリートはノエルの持っていた本を覗き込んだ。
「ところでノエル、この本って学園の図書室にある伝記だよね?」
「え!ウィル様もこの本知ってるんですか?」
「勿論だよ、僕も何度読んだことやら。」
そんなウィルフリートの返答を聞き、ノエルは目をキラキラと輝かせた。
「…………ふふっ、そうだね。数十分くらいなら時間に余裕があるからその伝記、続き一緒に読もうか。」
するとノエルは更に目の輝きを増し、首を縦にブンブンとふった。
ノエルとウィルフリートの伝記語りは、ローレンツが帰ってくるまで永遠と繰り広げられた。
「…………っはぁ、ノエル、遅くなってごめん…ウィルフリート様?」
「君の弟と少しばかりお話させてもらったよ。……そんな目で見なくてもすぐに返すよ。ノエル、じゃあ続きはまた今度。」
そう言うとウィルフリートはノエルの額に軽くキスを落とした。
流石に第2王子に対しては声を荒げられないようで、ローレンツは拳をぷるぷると震わせている。
「ウィル様また今度絶対ですからねー!」
そう言うと、ノエルはローレンツに腕を捕まれ、馬車が停車している場所へと一目散に駆けて行った。
ちなみにこの後、ローレンツはノエルに構って貰えなかったことが気に入らなかったようでノエルがハグをするまで機嫌は治らなかったようだ。
今日も今日とていつもの如く、ローレンツとノエルは2人で帰宅する予定であったが、廊下で他生徒に捕まったらしく、現在、中庭で待っているという訳だ。
相も変わらずノエルは、魔法に関する伝記を手に読書に勤しんでいる。
やっぱりこの話は何度読んでも面白いなぁ。僕もルー兄さん見たいな魔力があったらなぁ……。
そんな事を考えていると不意に右肩の方から声がかけられた。
「ノエル、こんな所で1人?」
そこにはすっとした面立ちのウィルフリートの姿があった。
「ウィル様!ウィル様こそどうしてここに?」
「そこの廊下を通っていたらノエルの姿が見えたからつい声をかけたくなってね。」
するとウィルフリートは柔らかな笑を零した。
ウィル様凄いかっこいい………。そりゃあご令嬢方もほっとかないよね。
そんな笑みに見とれていると、ウィルフリートはノエルの持っていた本を覗き込んだ。
「ところでノエル、この本って学園の図書室にある伝記だよね?」
「え!ウィル様もこの本知ってるんですか?」
「勿論だよ、僕も何度読んだことやら。」
そんなウィルフリートの返答を聞き、ノエルは目をキラキラと輝かせた。
「…………ふふっ、そうだね。数十分くらいなら時間に余裕があるからその伝記、続き一緒に読もうか。」
するとノエルは更に目の輝きを増し、首を縦にブンブンとふった。
ノエルとウィルフリートの伝記語りは、ローレンツが帰ってくるまで永遠と繰り広げられた。
「…………っはぁ、ノエル、遅くなってごめん…ウィルフリート様?」
「君の弟と少しばかりお話させてもらったよ。……そんな目で見なくてもすぐに返すよ。ノエル、じゃあ続きはまた今度。」
そう言うとウィルフリートはノエルの額に軽くキスを落とした。
流石に第2王子に対しては声を荒げられないようで、ローレンツは拳をぷるぷると震わせている。
「ウィル様また今度絶対ですからねー!」
そう言うと、ノエルはローレンツに腕を捕まれ、馬車が停車している場所へと一目散に駆けて行った。
ちなみにこの後、ローレンツはノエルに構って貰えなかったことが気に入らなかったようでノエルがハグをするまで機嫌は治らなかったようだ。
22
お気に入りに追加
2,682
あなたにおすすめの小説

俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

転生して悪役になったので、愛されたくないと願っていたら愛された話
あぎ
BL
転生した男子、三上ゆうじは、親に愛されたことがない子だった
親は妹のゆうかばかり愛してた。
理由はゆうかの病気にあった。
出来損ないのゆうきと、笑顔の絶えない可愛いゆうき。どちらを愛するかなんて分かりきっていた
そんな中、親のとある発言を聞いてしまい、目の前が真っ暗に。
もう愛なんて知らない、愛されたくない
そう願って、目を覚ますと_
異世界で悪役令息に転生していた
1章完結
2章完結(サブタイかえました)
3章連載

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない
迷路を跳ぶ狐
BL
自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。
恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。
しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。


アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる