気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた

しののめ

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第3章 学園生活 前期

17.お出かけ

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「ねぇ、ロイ兄さん、結局ルー兄さん来なかったけど大丈夫なのかな?」

「多分大丈夫だよ。それより他にノエルが行きたい所は無いのか?どこでも連れてってやるよ。」

「うーーん、じゃあ僕お菓子屋さんに行きたい!お父様にもお土産買って行かなきゃだもんね。」

「……お前は本当に優しいな。よし、分かったじゃあこの街1番のケーキ屋に連れてってやるよ。」


そしてローレンツはノエルの左手を握り、目的のケーキ屋へと向かい歩き始めた。


しばらくが経ち、街の中心部を抜けたあたりを歩いていると、向こうの方からこちらに向かって来る男性の姿が見受けられた。

「ルー兄さんだ!こっちー!」

ノエルがそう呼ぶと、疲れ果てた様子のルーベルトがこちらに手を振り返してきた。

「…………そのまま家に帰れば良かったのに。」

「俺には優秀な従者がついてるもんでな。」

「それは良い働きっぷりで何より。」

2人は長い間、嫌味ったらしい会話を繰り広げていた。

そんな中、ノエルは中々話に入れて貰えなかったのが悔しかったようで、2人の服の裾をつんと引っ張った。

「ケーキ屋さんは!」

「ごめんねノエル、そういえばケーキ屋に行くところだったんだね。よし、僕が店のケーキ全部買い占めてあげるよ。」

「いや、俺が買ってやるからいい。」

「ねぇ、僕そんなに食べれないから皆に1個づつでいいよ?」

「本当に僕の弟がいい子過ぎて困る………。」

「2人とも仲直りしてよ?仲直りしないとケーキは僕とお父様の分だけしか買って帰らないよー!」

そう言って、ノエルは2人の手を掴み再び目的のケーキ屋へと歩き出した。



✿✿✿




「ふんふんふーーん♪」

「ご機嫌だな。」

「だって今日販売開始のチョコレートケーキだよ!僕チョコレートケーキ大好きなの!なんだかすっごくいい気分!」

「ノエルあんまり先に一人で行かないでよ………」

ルーベルトの制止の声を聞かず、ノエルは花歌を歌い、先程購入したケーキの箱を片手に提げ、2人の先を歩いていた。


すると後ろの方からとてつもない速さで走ってくる人影が見受けられた。

その人物は周囲の人に思い切りぶつかりながらこちらへと向かってきた。

「ノエルっ!危ない!」

その言葉もむなしく、その人物はノエルに衝突。
幸にもノエルは尻もちを着いたのみに留まり、に大きな怪我は無かったようだ。

その代わりに、手から提げていたケーキは踏みつけにされ、ぐちゃぐちゃである。

「…………僕のチョコレートケーキ……。」

その人物は、ルーベルトの魔法により思い切り背を燃やされ、あたふたしている所をローレンツによって捕らえられた。


ルーベルト達が捕まえた男性は、市場で盗みを働いたらしく、警官に追われてここまで逃げてきたと言う。

その男性を警官に引き渡した頃には、そこに大きな人集りができていた。


「あれってクーレル家のご子息達では?」

「盗人を捕まえたらしいぞ、いやぁ、本当に出来た方々だな。」



「ノエル、ごめんね。とりあえず馬車はすぐそこに来てるはずだから急ごうか。」

「………うん。」


そうして3人は広場に停められていた馬車へと乗り込んだ。

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