気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた

しののめ

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第3章 学園生活 前期

15.お出かけ

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今日はルー兄さん、ロイ兄さん、僕の3人で街中にある劇場へお芝居を見に行く予定なんだ。

実は少し前に劇場のチケットをお父様が友達から頂いたらしくて、それが3枚しか無くて「どうせルーとロイで喧嘩になるだろう。」ってことで僕とお父様で行く予定だったんだ。

だけど昨日になって急に公務が入ったらしく、急遽僕達3人で行くことになったんだ。

と、言うことで僕達は今、馬車に揺られている。

お父様と一緒に行けないのはちょっと寂しいけど、兄さん達と行けるのも楽しみ!

そうそう、今日見に行くのは、ある本が元になっているお話の続編!そのお話は元々好きだったからすっごく楽しみにしてるんだ……!


「ねぇ、ロイ兄さんとルー兄さんはこのお話知ってるの?」

「あぁ、僕は昔読んだことがあるかな。確か家の本棚にあったよね。」

「そうだよ!僕も読んだことあるんだー。ロイ兄さんは読んだことある?」

「お、おう。」

「ロイ絶対読んだことないでしょ。そんな所で意地張らなくても。」

「ロイ兄さん嘘はダメだよ、じゃあ僕がどんなお話か教えてあげるね!」


そう言ってノエルは、ルーベルトの隣からローレンツの隣へと席を移した。

今日は兄が2人共居るため、ちょっとした抗争が起きたが、ノエルを膝に載せることは諦めたようだ。


「………僕知らないって言えばよかった。」

ノエルがそばから離れていってしまい、少し後悔するルーベルトであった。


✿✿✿


しばらく馬車に揺られると、段々と劇場がある広場が遠目に見えて来た。

「ねぇルー兄さん、あそこが劇場?」

「そうだよ。………馬車も止まったことだし降りようか。」

そして3人は降車し、劇場の方へと足を向けた。

「流石に人気作だけあって人も多いな……ノエル、はぐれないように手繋ごうか。」

「いや、俺が繋ぐから問題ない。」

「2人で繋げばいいでしょ、喧嘩しないで!」

ノエルに宥められ、左右に3人で横並びになる事になった。

「僕ね、ほんとに楽しみなんだよ!」

お目当ての劇場を前にして、ノエルはとてもご機嫌な様だ。


入場口に差し掛かると、ルーベルトが3人分のチケットを差し出した。


「ノエル、今日は特等席だよ。」

「ほんと?でもね、実はルー兄さんとロイ兄さんの一緒に見れるのも楽しみなんだよ!お父様には秘密ね。お父様拗ねちゃうから。」

そう言ってノエルは唇に人差し指をあてて、ニコッと微笑んだ。

「可愛い…………。」

「本当にノエル………。」

「よーし!早く席に行こー!」

3人の休日はまだ始まったばかりである。
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