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第3章 学園生活 前期
11.訪問
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コンコンコン。
「ハンス兄様、ローレンツ様がいらっしゃっているのですが…………」
「え!なんでローレンツさんが来てるの……って、ノエルに着いてきたのか。過保護なお兄様ですね。」
ハンスは少しローレンツを馬鹿にするようにそう言った。
「……………お前は俺と稽古だ。早く剣を持て。行くぞ。」
「いや、ここ俺の家なんだけど…………」
そう言ってローレンツはハンスの襟元を掴み、ずるずると引きずって行ってしまった。
「………リュカ、なんかロイ兄さんがごめんね。」
「いや、多分大丈夫だよ。どうせ兄様も暇だっただろうし。そんな事より今日は本を夜見に来たんだろ?」
「そうだった!リュカ、早くしないと日が暮れちゃうよ!」
「いやまだ真昼間だし……。ローレンツ様もだけど、ノエルの家は皆そんな感じなのか……、」
ノエルはリュカの裾をつんつんと引っ張り、目で「早く行こ!」と訴えかけた。
「はいはい、分かったから。家の書庫はあっち。」
そして2人は目的の本がある場所に向かって歩き出した。
✿✿✿
「ええと、んー……あっ、これだ。」
沢山の本がぎゅうぎゅうに詰まった本棚から真っ赤な表紙の本を引っ張り出した。
2人が探していたのは、簡単な魔法の詠唱方法が書かれている本である。
ディーゴリー家の主人、つまりリュカの父は魔法司書館の館長を務めている凄い人なのだ。そのため、リュカの家には簡単なものから難しいものまで、沢山の魔法についての本が管理されているのだ。
「早く読もうよ!」
「分かった分かった。そうだな、中庭にでも行こうか。」
「うん、行く!」
そして2人は例の本を持ち、中庭の木陰にあるベンチへと腰を下ろした。
「ノエルって読書好きそうなのにこう言う本って読んだことないの?」
「お父様がまだ危ないからって読ませてくれないんだよ。僕だってもう立派に使いこなせるのに。ほら見て!」
そう言ってノエルは、片手を前に出しそこから水を出して見せた。
「詠唱無しで出来るんだ、凄いな。」
「うん!ロイ兄さんに教えて貰った!」
「本読むよりそっちの方が余っ程出来るようになるんじゃ………」
「今なんて言った?」
「いや、何でもないよ。じゃあ読もうか。」
そしてその本を開くと、急にその本から映像が飛び出してきた。
「なにこれ凄い!これも魔法なの?」
「そうだよ。俺のお父様は凄くてね………………」
しばらくの間、2人はその本を元に色々なことを語らった。
「ハンス兄様、ローレンツ様がいらっしゃっているのですが…………」
「え!なんでローレンツさんが来てるの……って、ノエルに着いてきたのか。過保護なお兄様ですね。」
ハンスは少しローレンツを馬鹿にするようにそう言った。
「……………お前は俺と稽古だ。早く剣を持て。行くぞ。」
「いや、ここ俺の家なんだけど…………」
そう言ってローレンツはハンスの襟元を掴み、ずるずると引きずって行ってしまった。
「………リュカ、なんかロイ兄さんがごめんね。」
「いや、多分大丈夫だよ。どうせ兄様も暇だっただろうし。そんな事より今日は本を夜見に来たんだろ?」
「そうだった!リュカ、早くしないと日が暮れちゃうよ!」
「いやまだ真昼間だし……。ローレンツ様もだけど、ノエルの家は皆そんな感じなのか……、」
ノエルはリュカの裾をつんつんと引っ張り、目で「早く行こ!」と訴えかけた。
「はいはい、分かったから。家の書庫はあっち。」
そして2人は目的の本がある場所に向かって歩き出した。
✿✿✿
「ええと、んー……あっ、これだ。」
沢山の本がぎゅうぎゅうに詰まった本棚から真っ赤な表紙の本を引っ張り出した。
2人が探していたのは、簡単な魔法の詠唱方法が書かれている本である。
ディーゴリー家の主人、つまりリュカの父は魔法司書館の館長を務めている凄い人なのだ。そのため、リュカの家には簡単なものから難しいものまで、沢山の魔法についての本が管理されているのだ。
「早く読もうよ!」
「分かった分かった。そうだな、中庭にでも行こうか。」
「うん、行く!」
そして2人は例の本を持ち、中庭の木陰にあるベンチへと腰を下ろした。
「ノエルって読書好きそうなのにこう言う本って読んだことないの?」
「お父様がまだ危ないからって読ませてくれないんだよ。僕だってもう立派に使いこなせるのに。ほら見て!」
そう言ってノエルは、片手を前に出しそこから水を出して見せた。
「詠唱無しで出来るんだ、凄いな。」
「うん!ロイ兄さんに教えて貰った!」
「本読むよりそっちの方が余っ程出来るようになるんじゃ………」
「今なんて言った?」
「いや、何でもないよ。じゃあ読もうか。」
そしてその本を開くと、急にその本から映像が飛び出してきた。
「なにこれ凄い!これも魔法なの?」
「そうだよ。俺のお父様は凄くてね………………」
しばらくの間、2人はその本を元に色々なことを語らった。
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