59 / 72
第3章 学園生活 前期
9.試験
しおりを挟む今日は試験の日だ。
試験と言っても単純に今までに習った魔法を各々披露する、と言うものだ。
そしてなんとなんと、今日は特別に前年度の魔法科卒業生が指導をしに来てくれるのだ。
つまりノエルが兄、ルーベルトが卒業生として学園に指導へ来るのである。
とは言っても使う属性が違うのであまり関わることはない。だが当の本人ルーベルトはノエルに会う気満々であるらしく、昨日の晩からノエルに「明日は楽しみにしておいてね?」と何度も話しかけていた。
「リュカ……、僕なんだか凄く緊張してきた…。」
「大丈夫だよ。今まで授業では成功してただろ?」
「それはそうだけど………。」
すると奥の方から声が聞こえてきた。
「あぁ、俺招集掛かったみたい。じゃあまた後で!」
今までずっとリュカが一緒に居てくれたから良かったけど1人だと本当に心細いよ…。
そんなことを考えていると不意に肩をトントンと叩かれた。
さっと振り向くとそこには見知った顔があった。
「ルー兄さん!」
「ノエル静かに!黙って抜け出してきたからバレたら学園長に叱られるからね。」
そう言ってルーベルトは人差し指を唇に軽く押し当てた。
「ほらノエル、緊張しないで。あれからもロイと沢山練習してただろ?大丈夫だよ。ほら、ノエルにも招集掛かってる。行っておいで。」
そう言ってルーベルトはノエルの頬に軽くキスを落とし、軽く背中をぽんと押した。
振り返ると既にそこにはルーベルトの姿は無く、扉の向こうから名前を呼ばれている。
なんだかルー兄さんのおかげで勇気がでた気がする!今の僕なら頑張れる!
そしてノエルは試験会場へと足を踏み入れた。
✿✿✿
「おいルーベルト、お前どこ行ってたんだよっ!」
そう言って一人の青年がルーベルトの頭を小突いた。
「悪かったなアラン。何があったか聞くか?」
「いや、いい。どうせ可愛い弟君だろ?」
「そうなんだよ!ノエルがさ、子鹿みたいにプルプル震えてて可愛いのなんのって!本当になんであの子は……………」
「はいストップ!それ絶対長くなるから止めろ。もう試験始まるぞ?」
アランと呼ばれた青年はルーベルトの話を途中でぶった切り、今から始まる試験に話題を戻した。
アランとルーベルトは同級生であり、今回の試験において卒業生代表としてこの場に居るのである。
「本当に俺も水属性だったら良かったのに…。そしたらノエルにあれこれ指導できるし……。本当にこればかりはロイが羨ましいよ。」
「お前なぁ………そんだけの魔力持っていながら更に属性まで望むなんておこがましいにも程があるんだよ!」
アランは先程よりも強めにアランをぶっ叩いた。
「痛っ!だってノエルが…………。」
「はいはい、弟くんへの溺愛っぷりはもう十分分かったから。マジで学園長はなんでこんな奴を選んだんだか…。」
そんなこんなしていると、初めの合図である鐘が校内に響き渡った。
12
お気に入りに追加
2,305
あなたにおすすめの小説
転生して悪役になったので、愛されたくないと願っていたら愛された話
あぎ
BL
転生した男子、三上ゆうきは、親に愛されたことがない子だった
親は妹のゆうかばかり愛してた。
理由はゆうかの病気にあった。
出来損ないのゆうきと、笑顔の絶えない可愛いゆうき。どちらを愛するかなんて分かりきっていた
そんな中、親のとある発言を聞いてしまい、目の前が真っ暗に。
もう愛なんて知らない、愛されたくない
そう願って、目を覚ますと_
異世界で悪役令息に転生していた
1章完結
2章完結(サブタイかえました)
3章連載
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
【第1部完結】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~
ちくわぱん
BL
【11/28第1部完結・12/8幕間完結】(第2部開始は年明け後の予定です)ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。
使命を全うするために俺は死にます。
あぎ
BL
とあることで目覚めた主人公、「マリア」は悪役というスペックの人間だったことを思い出せ。そして悲しい過去を持っていた。
とあることで家族が殺され、とあることで婚約破棄をされ、その婚約破棄を言い出した男に殺された。
だが、この男が大好きだったこともしかり、その横にいた女も好きだった
なら、昔からの使命である、彼らを幸せにするという使命を全うする。
それが、みなに忘れられても_
転生場所は嫌われ所
あぎ
BL
会社員の千鶴(ちずる)は、今日も今日とて残業で、疲れていた
そんな時、男子高校生が、きらりと光る穴へ吸い込まれたのを見た。
※
※
最近かなり頻繁に起こる、これを皆『ホワイトルーム現象』と読んでいた。
とある解析者が、『ホワイトルーム現象が起きた時、その場にいると私たちの住む現実世界から望む仮想世界へ行くことが出来ます。』と、発表したが、それ以降、ホワイトルーム現象は起きなくなった
※
※
そんな中、千鶴が見たのは何年も前に消息したはずのホワイトルーム現象。可愛らしい男の子が吸い込まれていて。
彼を助けたら、解析者の言う通りの異世界で。
16:00更新
地味で冴えない俺の最高なポディション。
どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。
オマケに丸い伊達メガネ。
高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。
そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。
あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。
俺のポディションは片隅に限るな。
甥っ子と異世界に召喚された俺、元の世界へ戻るために奮闘してたら何故か王子に捕らわれました?
秋野 なずな
BL
ある日突然、甥っ子の蒼葉と異世界に召喚されてしまった冬斗。
蒼葉は精霊の愛し子であり、精霊を回復できる力があると告げられその力でこの国を助けて欲しいと頼まれる。しかし同時に役目を終えても元の世界には帰すことが出来ないと言われてしまう。
絶対に帰れる方法はあるはずだと協力を断り、せめて蒼葉だけでも元の世界に帰すための方法を探して孤軍奮闘するも、誰が敵で誰が味方かも分からない見知らぬ地で、1人の限界を感じていたときその手は差し出された
「僕と手を組まない?」
その手をとったことがすべての始まり。
気づいた頃にはもう、その手を離すことが出来なくなっていた。
王子×大学生
―――――――――
※男性も妊娠できる世界となっています
兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる