気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた

しののめ

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第3章 学園生活 前期

6.再会

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今日も昨日と同じく、ノエルは学園へと足を運んだ。

今日は、魔力についての基礎と一般教養を身につける授業が行われた。

彼らにとって初めての授業ということもあってなのか、常時目を輝かせ、講師の話を聞いていた。



特に何か大きなイベントがある訳でもなく、通常通りに午前の授業を受け終えた。


すると同時に、クラスに居た面々は立ち上がったようだ。それに伴い、リュカもノエルの元に寄ってきた。


「ノエル、昼食摂りに行こうよ。」

「まさか……………!」

「そう、ノエルが楽しみにしてたカフェテラスだよ。」

リュカは、キラキラとした瞳でこちらを見つめてくるノエルに笑顔でそう答えた。


カフェテラスとは、この学園に併設されている大きなレストランの様なものだ。基本的にこの学園の生徒はここを利用して昼食を摂るのだ。


カフェテラス…………!初めて食べるよ……。昨日ルー兄さんに聞いてからずっと楽しみにしてたんだ!


逸る気持ちを抑え、ノエルとリュカは目的地に向かい歩を進めた。


そして、カフェテラスに到着すると既に大勢の人々が席に着き、思い思いのメニューに手を付けていた。


「ねぇねぇ、リュカ。早く行こ!」

「分かったよ。」


そう言って2人はカウンターに食事を取りに行き、空いていた席へと腰掛けた。


「ねぇ、リュカこれすっごく美味しいよ。」

「そうだな。」

ノエルが興奮気味に問いかけるのに対し、リュカはそんなノエルの様子を見て冷静に笑顔で返答をしている。同い年とは思えない、テンションの落差である。


2人が昼食を摂りながら、いつもの如く談笑をしていると不意に奥から悲鳴にも似た歓声が数多く上がった?


「………?リュカ、あっちで何が起きてるのか分かる?」

「あぁ、多分第一皇子か第二皇子でも来たんじゃない?」

「えっ……!皇子様が居るの!?!?」

「ノエルって本当に何も知らないんだな…。」

苦笑混じりにそう言ったが、既にノエルの興味はあちらの人集りに向いているようで、リュカの言葉は耳に届いていないようだ。


「あっ!リュカ、こっちに来るよ…………って、ウィルだ!………、って皇子様だったの!?!?」


何時いつぞやのパーティーで出会い、ノエルの誕生日パーティーの際にテオから紹介して貰った彼の少年であったのだ。


「あっ…………、えっと、ごめんね、騙すつもりは無かったんだ。」

申し訳なさそうにウィルがそう告げる。


「おい、ノエル。愛称で呼ぶなんて失礼だろ。」

リュカが小声でノエルにそう告げると、ノエルはこてんと首を傾げた。

「愛称なの……?ウィルはウィルじゃ………。」

「…………ん、ノエル本当にごめんね。本当の名前はウィルフリート。でもウィルで良いよ。………それよりも今まで騙しててごめんね。もし僕の身分を知ったらノエルが離れてっちゃうんじゃないかって思ってね。」


「え、なんで?ウィルはウィルだよ。でもウィル様、の方が正解かな…?」

そう言ってノエルはおどけて笑った。


「………やっぱりノエルの笑顔にはいつも救われるなぁ。」


「今なんて言った?もっかい!」

「いや、何でもないよ。」


周囲はキョトンとしているがこの時、ノエルとウィルフリートの間には、確かな絆が生まれた。





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