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第2章 少年期

17.屋敷で

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今日のノエルは一日中予定が埋まっておらず、のんびりと過ごす予定である。


ノエルは現在お気に入りのテラスで、昨日買ってきた子供向けの簡単な本を読み漁っている。

1冊、また1冊と、ページを繰る手がなかなか止まない。

そろそろ本を読み始めてから2時間が経とうとしている。


そろそろ目が疲れてきたしお茶でも飲んで休憩しようかな。

そう思い、同じく昨日町で買ってきたクッキーの缶を棚からひっぱりだしてきた。


「エマ、いつもの紅茶お願いしてもいい?」

「かしこまりました。」

そう言うと乳母はさっと部屋の隅にある簡易的な調理場に向かい紅茶を作り始めた。


傍にいた乳母に紅茶をお願いして、クッキーに手を付け始めた。


本当はあのまま、夜ご飯の時にお土産をみんなに渡そうと思っていたけど、昨日は忙しかったみたいでルー兄さんと2人きりでの夜ご飯だった。

だからお土産は今日の夜ご飯の時に渡そうかなって思ってるんだ。



そんなことを考えていると後方から良い香りのする紅茶が運ばれてきた。

「ありがとーね。」

一つ礼をし、乳母が注いでくれた紅茶に口をつけた。


とりあえずこの本を読み切ろうかな。

ノエルはそのまま、日差しの降り注ぐテラスで読書を再開した。





その本を読み終えた後は、徐々に眠気がさして、昼寝をした。


そんなこんなで平和に一日が経過し、もう既に日が傾き始めている。



「そろそろ夕食のお時間です。」

扉の奥から乳母の声が聞こえてきた。

「今行くね。」

簡単に近辺を片し、手にはお土産を持ちダイニングへと向かった。



✿✿✿


今日は、全員が夕食の時間に間に合い既に全ての席が埋まっている。


「それじゃあ食べ始めようか……」


「ちょっといいかな……?」

僕がそう言うと3人の視線がこちらへ向いた。


「えっとね、昨日ルー兄さんと町に出かけたんだけどね、お父様とロイ兄さんにお土産がね、えっと……。」

そう言って手に持っていた袋からガサゴソと渡す品を取り出し、まずはローレンツの元へと向かった。


「……、これ!兄さんの目の色と同じ青の刺繍だよ!」

そう言って、深い青色の細かな刺繍が入ったポケットチーフを手渡した。


「…………、これノエルが選んでくれたのか?」

そう言いながらローレンツは椅子から降りてノエルの背丈に合わせるよう腰を折った。

「うん、そうだよ!ロイ兄さんにピッタリでしょ?」

ノエルは自慢げに腕を腰に当てている。


「あぁ、本当に。宝物にするよ、ありがとう。」

そう言ってローレンツはノエルの額にキスを落とした。


そんな余韻に浸る暇もなくノエルは、ロイスの元へとかけ出した。

若干ローレンツが肩を落としたような気がするがノエルは全く目もくれていない。


「次はお父様だよ!はい、これどうぞ。」

ノエルが硬質な箱の蓋を開くと、そこには水鳥の羽で出来た真白いペンが入っていた。


「ノエル、ありがとうな。凄く嬉しいよ。」

ロイスはノエルの頭を優しく撫でた。


「お土産終わりー!皆でご飯食べよ!」

少し照れくさいのか、はにかむような笑顔を振りまいた。


そのノエルの一挙一動にそこに居た一同が笑みを深め、夕食に手を付け始めた。



夕食を食べ始めてしばらくがするとロイスが口を割った。


「急だが、翌月の初めはノエルの誕生日だろう?」

夕食に夢中になっていたノエルは、顔を上げてロイスと目を合わせ、ぱちくりと瞬きをした。


「うん、そうだね。」


「今までは色々あって、やったことは無かったが、もうノエルも8歳だから誕生パーティーを開催しようと思うんだ。」


ここ周辺の地域では学園に入学できる歳が節目の歳である、と言う考え方が主流である。つまりノエルの場合は8歳になる今年度が節目の歳という訳である。


「え、ほんとに!?!?僕のためのパーティーってこと?」


「そうだよ。」

ノエルは、自分の為にパーティーが開催されるということを知り、物凄く嬉しそうに口角を上げている。


「あぁ、あとそのパーティーに伴ってランディ達が泊まりに来るらしい。」


「てことは、テオも来るの?」

「勿論。ノエルのパーティに家族総出で参加してくれるそうだ。」


自分の為のパーティーと言うだけでもとてつもなく嬉しいのに、テオまで遊びに来てくれるなんて……!



「「……………………。」」


ルーベルトとローレンツは、テオが来るという事実にとてつもなく不服そうな顔をしている。

そんなふたりに対して「まぁまぁ」と言うように、ロイスが目線で語りかけている。



すっごく嬉しい………!テオと会うのは2.3ヶ月ぶりかな……?部屋に帰ったらお手紙書かなきゃ!


相変わらず浮かれると周りが見えなくなるノエルは健在で、既にノエルの思考は来月へと向いていた。



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