上 下
58 / 96

元妻は慟哭する…

しおりを挟む
私がオスカー殿下に抱き着いて
わんわんと泣いていると

バタバタと足音が聞こえて
エドガー殿下が駆け込んで来た。

「深雪!
 どうなった?

 大丈夫か??」

びっくりして
涙が引っ込んじゃった!

「エドガー!
 先触れぐらい、出せ!」

オスカー殿下が嗜めるけど
エドガー殿下は
どこ吹く風?だ!

「深雪が心配で、心配で…

 本当に大丈夫だったか?」

「大丈夫です!

 エドガー殿下こそ!
 お身体の具合は大丈夫なのですか?

 私のせいでお怪我をさせてしまって
 本当に申し訳ありません!!」

「なにを言う!

 俺が至らなかったからだ!

 俺の方こそ!
 深雪を守り切れなくて
 本当にすまない!!」

「エドガー殿下…」

なんで!この人達は!

自分の事は二の次で
私なんかの事を
心配してくれるんだろう…

また涙が溢れてきた。

「深雪…

 話したくなければ良いが

 夫という者との話は
 どうなったのだ?」

「はい。決別致しました…」

「決別!?

 それで良いのか?

 その…愛していたのではないのか??

「はい。愛しておりました!

 でも…

 でも、他の女性を抱いたあの人を
 受け入れる事が
 出来なくって…」

「深雪!
 その辺りにして

 今日は休んではどうですか?」

オスカー殿下が
気遣ってくれたけど
私はかぶりを振った。

「殿下方に
 聞いて頂きたいのです…

 私が夫に愛されていなかったのを
 ご存じでしたよね?」

二人が頷く。

「こちらでは想像が出来ないかも
 しれませんが
 以前の世界では身体を壊すぐらい
 仕事をする事があって

 あの人も、本当に仕事で忙しく
 していたんです…

 だから私が求めても
 疲れているから!って
 拒否されてばかりで…」

二人が痛ましそうな瞳で
私を見つめる。

「私が女性らしくすれば
 女として見られるかも?って
 無駄な努力を続けてみても

 一向に相手をして
 もらえなくって

 いつしか
 女と男ではなく

 姉弟みたいな関係に
 なってしまって…」

二人が息を呑む。

「抱き締められたり
 キスされたりは
 するんですけど

 それだけでは
 満たされない身体を
 ずーっと
 持て余し続けていたら

 いつの間にか
 あの人に期待するのも
 諦めてしまって…」

「でも…

 諦めがつくまでは
 本当に!本当に!
 死にたいぐらい
 苦しかったんです!!

 なのに…
 なのにあの人!
 
 あっさりあの女性ひと
 関係を持ってしまってーー!!」

「私の事は抱かなかったのに!

 あの人の事は
 抱いたの!!

 なんで!!
 なんでーー!!!」

話しているうちに
涙がまた流れてきて

うわぁぁーー!!って
泣き崩れてしまった。

なんで!
なんで!
なんで!
なんで!!!

私じゃなく
あの人だったのーー??

私の事は抱かなかったのに!
あの人の事は抱いたの???

なんで!
なんで!
なんでーー!!!





 

 

 






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。

秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚 13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。 歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。 そしてエリーゼは大人へと成長していく。 ※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。 小説家になろう様にも掲載しています。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

処理中です...