上 下
9 / 96

王妃とは「王」の「妃」と 書くのよね?

しおりを挟む
慌てて泳ぐのを止めて
ベッドから降りて
後ろを振り返ると…

すでにいらしてたよ!
王妃様が!!

こういう時って、あれよ!
先触れとか出すんじゃないの!?

取り繕っても
遅過ぎたかもしれないけど

クスクス笑っている王妃様に
カーテシー擬きをして

「大変失礼致しました!
 深雪と申します。

 宜しくお願い致します。」

って、頭を下げると

「こちらが不躾に

 先触れも出さずに
 寝室まで伺ってしまったの
 ですから
 お気になさらず!

 王妃のマリアーネと申します。

 この国では
 王族と聖女様は同等の存在ですので
 あまりかしこまらないで
 お気軽になさって下さい。」

って、綺麗なカーテシーを
見せてくれた。

映画の世界でしか
カーテシーを知らないけど
これってきっと!
かなり上等なカーテシーの方だよね!

さすがは王妃!!

「深雪様はこちらの世界を
 よくご存じないようですので
 少しお話したいと思いましたの。

 わたくしのお部屋で
 お茶でも如何ですか?」

ちょっと緊張するけど

柔らかそうな金髪で
優しいタレ目の
少女のような王妃さまに
微笑まれて

いなやとは言えずに
一緒に王妃様のお部屋へと
手を繋いで連行されてしまった。

なんで!
どいつもこいつも
手を繋ぐのよ!!

まぁ、イヤじゃないけど!!

連れて行かれた王妃様のお部屋は
メルヘンな世界で

お花・ぬいぐるみ・
甘いお菓子の匂いと
少女趣味全開の部屋だった。

前世の私より
15は若いよね!?

佇まいや言葉遣いは
さすが王妃!って感じだけど

プライベートでは
ロリータ系が好きなのかな?

この世界で初めて
女性らしいお部屋に入ったので
( 男性の部屋も、知らないけどね…)

興味深く眺めていると

「お茶を頂いたら
 ドレスを着てみましょうね!

 深雪様に似合いそうなドレスが
 たくさんあるんですよ!

 娘が居ないので
 深雪様が来てくれて
 本当に嬉しいですわ!」

あっ!
なんかイヤな予感がする…

案の定、お茶と甘すぎるお菓子を
頂いた後は

髪型から化粧に始まって
ドレスをひん剥かれて
あれを着て、これを着て…

完全に着せ替え状態だった私は
王妃様のお部屋を退室した時には

全力疾走した時のように
疲れきってしまった。

リゼったら!
私が着せ替え人形状態だった時に
ニコニコしているだけで
全然助けてくれなかったし…

自室に戻ってから

「リゼったら、ちょっとは
 助けてくれてもいいのに…」

って、八つ当たりをすると

「だって王妃様が楽しそうでしたし
 聖女様も、どのドレスも
 似合ってましたもの…」

「えー!
 この平面顔の私に
 あんなブリブリのドレスが
 似合ってたとでも言うの?」

そう!

王妃様の勧めるドレスは
どれもレースやフリルを使った
めちゃくちゃラブリーな物
ばかりで

どう考えたって
15歳に若返ってはいるものの
完璧な東洋人の私には
似合ってないと思ったのだけど…

「とってもお似合いでしたよ!
 
 ところで、そろそろ
 晩餐のお仕度をしないと
 時間が間に合わないと思うのですが…」

え!?もう??

ぜんぜん休んでないよーー!!



















 
 



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

王女の朝の身支度

sleepingangel02
恋愛
政略結婚で愛のない夫婦。夫の国王は,何人もの側室がいて,王女はないがしろ。それどころか,王女担当まで用意する始末。さて,その行方は?

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

公爵に媚薬をもられた執事な私

天災
恋愛
 公爵様に媚薬をもられてしまった私。

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

処理中です...