ドラゴンテイマー

黒猫優

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第ニ章ドラゴンの里

〜別れの話〜

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『キリア!キリア!!…どうして…どうして……………なんで起きてくれないの?…』

ベットには静かにキリアが身じろぎもせずに眠っている。
まる二日ほど眠り続けている

「どうして、キリアちゃん………」

原因も分からない

確かに温かいキリアの頬を撫でながらフィンはつぶやいた。

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眩しい光を浴びてキリアは目覚めた、とても目覚めは良い。

 何かとてもいい夢を見た気がする。そう思いながら学校に行くために支度を始める




ふと服を見るとソレは学校の制服そのもので、
宿屋の一室だと思ってた部屋は孤児院の私の部屋で……

なんでここに…!?

    あの衝撃的な出来事や、その後にあった事は決して夢などではなかった…なかったはずだ。

 「おい、どうしたんだ?キリア」

その声は泣きたくなるほど懐かしく、孤児院ここでは決して聴くことの出来ない声だった。

声の方を見ると男にしては長い金髪を後ろで束ねている、碧目の齢18ほどのレオンハルトと言う名の青年が立っていた

「……ハル…ト?」

「そうだ、動揺しちまったか?だがお前らしくないな…怖い夢でも見たのか?」

「夢…?あれは夢だったの?」

「冗談だよ、こっちが夢だ」

からかうような声で言う彼は、何とも言えないような切ない顔をしていた。


「あと、こっちが現実だって思うなよ。
帰れなくなるからな…」

「ねえ、ハルト」

「あっちには大切にしてくれる仲間がいるんだろ?」

「ハルト?」

「俺もそいつらと一緒に居たかったよ…」

「ねえ………ハルト、聞いて?」

「あっ…ごめん、伝えたい事がありすぎて…何?」

「どうして…もう会えないような事をいうの……?また、皆であそこで会おうって約束じゃない!」

「…………………」

とても長い沈黙、いや実際はせいぜい十秒ほどだったのだろう。しかし私には数時間にも思われた
    
「俺は……もうとっくにっ…死んでんだ…」

涙を堪えるような声…ハルトのそんな声は聞いたことが無かった。

「…えっ…」

「で…でも!…じゃあ!今目の前に居るのは何なのよ!…」

きっとこれは私の中の悲観的な感情の生み出した夢…きっとハルトは生きて…

「…ごめんな…キリア……これはただの夢じゃ無いんだよ…ごめんな…ごめんな……」


 普段気丈な彼が…強がって私達にすら涙を見せたことのない彼が

泣いていた、隠すでもなく誤魔化すでもなく

泣いていた。

そんなの……酷いじゃない…

夢だって、ただの想像だって思いたいのに、


「なんで……!」

前に枯れるほど泣いたはずなのに、また目頭は熱くなって…

「嫌だよ…………」

まるで子供のように泣きじゃくった
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