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第一章オオカミの子
〜キリアの正体〜中
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「捕まえろ」「捕まえろ」「気を失っているうちに捕まえろ」
人間がキリアを捕まえようと群れる。気を失っている少女相手にだ。
【キリアから離れろ】
言葉に魔力を込める。こうすることでただの人間にもカルの声が届くのだ。
(あぁもうめんどくさいな!)
正直言ってぼくはキリア以外がどうなったってどうでもいい。ましてやキリアを傷つけようとしている連中…そう考えてると何人かは、ぼくの殺気に気付いたようで、にげるように去ってゆく。
仕方ない、殺すしか…
「……ふぇ?」
キリアが目を覚ましたようだった。
「な、なに!?」
やっぱり、殺すのはなしだね。
『キリア、コッチ!!』
「うん」
人と人の間をうまくすり抜ける。
「カル!」
ぼくは、キリアを掴み飛び上がった。
『大丈夫だった?怪我してない?』
「大丈夫だよ、ありがと。」
「なんであの人たち、私を捕まえようとしたのかな?」
そう聞くキリアをふと見ると、黒かった髪が少し赤みをおびていたようにおもった。
人間がキリアを捕まえようと群れる。気を失っている少女相手にだ。
【キリアから離れろ】
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