ドラゴンテイマー

黒猫優

文字の大きさ
上 下
2 / 28

〜出会い〜

しおりを挟む
「なんで、私だけなの?なんでみんな死んじゃったの?なんで?…」
その答えを求めるように私は周囲を見渡した。
そして見つけた、どす黒く巨大なドラゴンのすがたを
 耳を澄ます
そのドラゴンの心の声が聞こえる様に、なんで殺したのか聞こえる様に。
    私には、特殊な能力があった。それは、人間以外の心の声を聴くことが出来るというもの。
 院長の言うには、私はこの能力のせいで捨てられたらしかった。
 この能力のせいでイジメられたこともあった。
でも、今だけは、今だけは

「……っ」
泣き崩れた、なんで?こんなの、こんなの
…酷すぎる。
齢15歳の少女にとって、それは心を折るのに十分すぎることだった。
 そのドラゴンには、心が、感情が無かった。
それは、意味もなく院長や他の子を殺したということに他ならなかった。
 理由が欲しかった。意味が欲しかった。私が何故一人になったのかの意義が欲しかった。
でも、そんなものは無かった……
一人になってしまった。ただその事実だけがそこに残った。
 言葉にならない悲しみ、虚しさ、絶望が涙となってこぼれ落ちる。
 あぁ、一人は嫌だよ…
涙が枯れるまで私は泣き続けた。


『だいしょうぶ?』
ふと、そんな声が聞こえ顔を向けると、そこには手のひらに収まるほど小さな真紅のドラゴンが心配そうにこちらを見ている。
 「あなた…なに?」
私がそう訪ねたのは、そのドラゴンには心があったためだった。
 『えっ?ぼく?ぼくはただのドラゴンだよ』
『君こそ、あんな奴の襲撃を受けていきてるなんて、ほんとに何者?』
わたしはー
 『まぁ、何者でもいっか。』
そう言うと、ふわりと飛び上がり
『もし、君さえよければ、ぼくと一緒にどこかに行かない?ぼくは君が気に入った。』
「いい…よ。でも一つ…一つだけ約束してくれない?私を…一人にはしないって」
それを聞いた小さなドラゴンは、あぁこの子の心はどこまでも人なのだと、か弱い人なのだと感じた。
 この子をぼくは、守らなければ。
何故そう思ったのかは分からない、けど確かにそう誓ったのだ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ひだまりを求めて

空野セピ
ファンタジー
惑星「フォルン」 星の誕生と共に精霊が宿り、精霊が世界を創り上げたと言い伝えられている。 精霊達は、世界中の万物に宿り、人間を見守っていると言われている。 しかし、その人間達が長年争い、精霊達は傷付いていき、世界は天変地異と異常気象に包まれていく──。 平凡で長閑な村でいつも通りの生活をするマッドとティミー。 ある日、謎の男「レン」により村が襲撃され、村は甚大な被害が出てしまう。 その男は、ティミーの持つ「あるもの」を狙っていた。 このままだと再びレンが村を襲ってくると考えたマッドとティミーは、レンを追う為に旅に出る決意をする。 世界が天変地異によって、崩壊していく事を知らずに───。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ
ファンタジー
神の都合により異世界へ転生する事になったエノク。『スキルコレクター』というスキルでスキルは楽々獲得できレベルもマックスに。『解析眼』により相手のスキルもコピーできる。 メニューも徐々に開放されていき、できる事も増えていく。 しかし転生させた神への謎が深まっていき……?どういった結末を迎えるのかは、誰もわからない。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...