上 下
14 / 47
宝の地図で借金返すって本気か!?

4話

しおりを挟む
やっぱり眠れない。眠れるわけもない。ただでさえ普段から眠れていないのに、こんな洞窟のなかで眠れるなんて不可能だ。

「近くの川で体でも洗うか。」
そう一人言を呟いて、俺は体を洗いに滝のほうへ行った。
滝の水は本当に綺麗で、汚れひとつない。流石はファンタジーだ。夏だからか冷たい水で体を洗うこともそこまで苦ではないので、そのまま水浴びを始めた。…ん?誰か…いる?

ぼんやりと眺める向こう側には水浴びをしている人がいた。なんか不味い気がする。
向こうが俺に気づいた。
「ミ、ミツル!?えっと、向こう向いてて!すぐ出るから!」
あぁ、また厄介な出来事が。ミシェルを見かけないと思ったらこんなところにいたのか。大人しく寝たふりでもしとくんだった。

洞窟に戻るとミシェルが先に戻っていた。取ってきてくれていた野草の収集をしてくれている。
「えっ、と。見えちゃったかしら?」
まぁ、ぼんやりとは見えたが、誰かいると思った瞬間目を背けたからなぁ。それに
「いや、興味がなかったから見てない。怖くなって見ないようにしてた。」
そうするとミシェルは青ざめたような悲しむような顔をしながら、
「そう、そうよね。私なんかの裸なんて」
と言っている。あぁ、もうめんどくさい。俺はそんなミシェルを置いておいて眠ったふりをすることにした。

洞窟のなかに光が差し込む。もしぐっすり眠れていたのなら、自然が起こしてくれるというのはなかなか快適で良いのかもしれない。そんなことを考えていた。

昨日のモスの肉と野草とで朝食をミシェルが作ってくれたので、俺たちはそれを囲んで朝食を取っていた。
「ん?どうしたミシェル?いつもより老けた顔してるけどなんかあったのか?それとも年だと顔がむくむのか?」
リリーは朝からミシェルをいじる。ただミシェルに反撃する気力はないようで、ハハハと笑うだけだった。どれだけ昨夜のことがショックだったんだ。

俺が事情を説明する。するとリリーはなるほどと言い、笑いながら恐ろしいことを言いはなった。
「ミツルは女を愛せないんだよ!」
ミシェルは固まった。
合ってるんだけど誤解を生むようなことを言わないでくれ。


ガブとリリーが水浴びをしてから、朝の準備もして、俺たちは移動を再開することにした。とりあえず今日に町につけたらと思う。

順調に旅を進めていた。途中で襲い来るモンスターの大半は、ミシェルが混乱させ皆で逃げるという方法でやり過ごした。お陰でレベルは全く上がっていない。大丈夫かこれ。

そんなことを思っていると、リリーもそう思っていたのか
「なぁ、私たち逃げてばかりだけどこれってまずくないか?ダンジョン攻略には多少の戦闘は必須だぞ?必ずミシェルの舞が通用するとも限らんし。」
まともなことを言う。
「確かにそうですね。リリーさんの言うとおりです!ミツルさん!次の戦闘から少し戦っていきましょう。」
「そうだな。そうしよう。」

さて、また少し進んでいるとリトルデーモンが2体いた。リトルという名前はついてるけれども、これはかなり怖いな。
「ミ、ミツルさん。このモンスターはやめましょう。なんか危険です。」
そんなことも言ってられない。こういったモンスターはダンジョンでも遭遇するだろう。
「いや、これは戦うべきだ。ミシェル!頼む。」
「任されたわ!」

そういうと、ミシェルは前に出て、舞を始める。ここで驚くべき問題が起きた。
「おい、リーダー。全く聞いてないぞ。どうなってるんだ?」
よくわからない。ミスなんてほとんどしてこなかったはずだが、ミシェルの舞が無効化されている。よくわからんが、これはまずいぞ。

「リリーとりあえずダイスだ!相手が襲ってこないうちに早く!」
そういうと、リリーはダイスを唱える。
2
あぁ、もう肝心な時いつも外れる。そらギャンブルも勝てないわ。なんでお前は普通の魔法を覚えられない魔法使いなんだよ。それもう魔法使いじゃないだろ。

俺たちが麻痺しているうちに、ミシェルはリトルデーモン達になすすべもなく掴まれてしまい、そのままどこかへ行ってしまう。これはまずい。どうにかマーキングしなければ。

しかし、麻痺が解ける頃にはすっかりリトルデーモン達は巣へと戻ってしまっていた。
「やっちまったな。すぐに追いかけよう!リトルデーモンは最悪人間を食うから急がねぇと!」
リリーが珍しく逼迫した顔をしている。
まじかよ。これは本当にまずいぞ。
「で、でも!追いかけるって言ったってどうやって。」
ガブが聞く。その通りだ。急ぎようもない。
「大丈夫だ!リトルデーモンの巣なんてここらなら1つしかないし、大きいから目立つ!ついてこい!」
そんな逞しいリリーに連れられて、この世界に無知な俺たちはミシェルの救出に向かった。

ところで、
「なぁ、リリー?1つお願いがあるんだが、ギャンブル魔法以外も使えるようになってくれないか?」
走りながら、俺はそんなお願いをしてみた。ダメ元で。
「何を言ってるんだリーダー!覚えたくても覚えられないんだよ!誰がこんな魔法好き好んで使うと思ってんだ。」
ギャンブル中毒なら好き好むだろ。
まぁ、でもそうなのか。仕方ない。実際、俺にはそのギャンブルすら出来ないわけだし。俺はその後無言で走り続けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

裏アカ男子

やまいし
ファンタジー
ここは男女の貞操観念が逆転、そして人類すべてが美形になった世界。 転生した主人公にとってこの世界の女性は誰でも美少女、そして女性は元の世界の男性のように性欲が強いと気付く。 そこで彼は都合の良い(体の)関係を求めて裏アカを使用することにした。 ―—これはそんな彼祐樹が好き勝手に生きる物語。

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

 女を肉便器にするのに飽きた男、若返って生意気な女達を落とす悦びを求める【R18】

m t
ファンタジー
どんなに良い女でも肉便器にするとオナホと変わらない。 その真実に気付いた俺は若返って、生意気な女達を食い散らす事にする

名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します

カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。 そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。 それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。 これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。 更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。 ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。 しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い…… これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...